独特の視点に思わず唸る『幻の画家 不染鉄(ふせんてつ)展』を見てきました

《山海図絵(伊豆の追憶)》大正14(1925)年 木下美術館蔵

素晴らしい芸術作品を世に残す人物は、その性格や経歴が変わっていることが多いものです。

レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画以外にも建築や科学で偉業を成しとげ、パブロ・ピカソは結婚しても愛人を作ったり浮気をしたりと恋多き芸術家でした。

中には絵の勉強のためになぜか漁師になったという画家もいます。それが『幻の画家』と呼ばれている『不染鉄(ふせんてつ)』です。

写生旅行に行ってそのまま漁師に?幻の画家・不染鉄

《薬師寺東塔の図》昭和45(1970)年頃 個人蔵

不染鉄は日本画を学んでいた20代の初め、写生旅行で訪れた伊豆大島や式根島でそのまま漁師のような暮らしをしながら3年を過ごしたそうです。

その後は京都市立絵画専門学校(現在の京都市立芸術大学)に入学し、首席で卒業。

在学中から帝展に入選するなど、高い評価を得ていましたが、戦後は画壇を離れて奈良で制作を続けていたといわれています。

《廃船》昭和44(1969)年頃 京都国立近代美術館蔵

これまで不染鉄の作品を美術館で展示する回顧展は、1996年に奈良県立美術館で行われた1度きり。そのため『幻の画家』と呼ばれているのだそうです。

実際に見に行ってきました

そんな不染鉄の回顧展が、東京駅の丸の内北口改札を出てすぐの『東京ステーションギャラリー』で開催されているとのことで、実際に行ってきました。

写真などで見る以上に一つひとつがすごく繊細なうえ、独特の視点で描かれているせいか離れて見るのと近づいて見るのとで印象が変わります。

特にポスターにも使用されている、富士山が印象的な『山海図絵(伊豆の追憶)』は、下のほうに太平洋と海岸線を緻密に描いているのに、上のほうには富士山の向こう側、日本海側の家々もしっかり描いています。

《山海図絵(伊豆の追憶)》大正14(1925)年 木下美術館蔵

本来なら見えない場所までを見渡しているような、とても不思議な感覚を味わうことができます。

今回展示されている作品は、絵画のほか絵はがきや焼き物など約120点。

没後40年にして、東京では初めての開催となる回顧展です。ぜひ知られざる魅力を発見しに行ってみてはいかがでしょうか。

『没後40年 幻の画家 不染鉄展』

会期:2017年7月1日(土)〜8月27日(日)
会場:東京ステーションギャラリー
開館時間:10時〜18時(金曜は20時まで)
休館日:月曜日(7月17日は開館)、7月18日
入館料:一般900円、高校・大学生700円、中学生以下無料
URL:http://www.ejrcf.or.jp/gallery/


[文・構成/grape編集部]

出典
東京ステーションギャラリー

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