ニューバランス『996』を靴屋の元店員が徹底解説　グレーをオススメする理由やサイズ感など

ニューバランスの定番スニーカーである『996』。

その履き心地のよさやデザイン性で爆発的な人気となっており、街中に出れば1人は履いている人を見かけるのではないでしょうか。

筆者もニューバランスのスニーカーが大好きで20足ほど所持しており、『996』も大好きなので頻繁に履いています。

特に『996』のグレーは、飾っているだけでもかっこいいと思ってしまうのは、筆者だけでしょうか。

そんなニューバランス大好きマンであり、靴店の元店員である筆者が『996』について深掘り。

その歴史や履き心地、サイズ感、コーデ、ケアの仕方などさまざまな情報をお届けします！

ニューバランス『996』の歴史

『996』の歴史を語るには、まず『900番台』についても少し触れないといけません。

『900番台』の始まりは1982年のこと。

ニューバランス好きの間では有名な「1000点満点中、990点の出来」という触れ込みのランニングシューズ『990』が発売され、大人気に。

そんな『990』の系譜を受け継いで『995』と続き、1988年に『996』が発売されました。

もとは『M996』というアメリカ製のものだけでしたが、近年は『MRL996（現在は廃盤）』や『CM996』というアジア工場で生産されているモデルが爆発的に普及。

今、ニューバランスの定番といえば『996』か『574』が挙げられることがほとんどというほど、メジャーなシューズになっています。

『996』など、ニューバランスはなぜグレーというイメージが強いのか

多くの人が知っているように、ニューバランスといえば『グレー』というイメージが強いです。

『996』もご多分に漏れず、グレーをイメージする人が多いのではないでしょうか。

何がこのイメージを作ったかといえば、1985年に発売された伝説的なスニーカー『M1300』です。

発売当時、多くのスニーカーが50ドル以下で販売される中、『M1300』はなんと130ドル（現在で換算すると6万円前後）と強気の値段で発売されました。

価格も驚かれましたが、当時の最先端技術が盛り込まれた『M1300』の機能性も大きな話題となり、その値段でも世間に受け入れられることで、一気に『スニーカー界のレジェンド』へと上り詰めたのです。

『M1300』のカラーは正確にはグレーではなく『スチールブルー』というものですが、ともあれここから『ニューバランスはグレー』というイメージが定着し始め、現在では不動の地位を確立しました。

ニューバランスのグレーは70年代のスキーウェアから着想を得たとも、ボストンのアスファルトから取られたものともいわれていますが、他ブランドにはない独自の路線を走り続けています。

ニューバランス『996』のサイズ感

ニューバランス『996』を初めて買おうと思っている人は、そのサイズ感が気になるのではないでしょうか。

外見からも分かるとおり、『996』は細めなデザインになっています。同じく定番の『574』とくらべてみてもこのとおり。

しかし、外見からは正確なサイズが分からないので、26.5cmの『996』と『574』の一番広くなっているところの内寸を、専用の定規で測ってみました。

意外や意外、ほとんど変わらないという結果に！

しかし、『996』と『574』は違うラスト（足形）が使われているので、実際に履いてみると『996』のほうがよりフィットするような履き心地で、『574』のほうは包み込まれるような履き心地となっており、明らかに違いを感じます。

ニューバランスのスニーカーは、多くの人がほかのブランドと比べてサイズが小さめに感じる傾向にあるので、「自分は幅広・甲高の足だ」と自覚がある人は、『996』のサイズ選びにより慎重になったほうがいいかもしれません。

ニューバランス『996』USA製とアジア製の違い

先述したとおり、『996』にはアメリカ製である『M996』や、アジア工場で作られる『CM996』、女性の足にフィットするように作られる『WL996』といったように、さまざまな種類があります。

その違いについて、簡単にまとめました。

筆者は『M996』と『CM996』の両方を所持していますが、個人的な感想でいえば、その違いはどちらも一長一短といったところです。

M996は上質なレザーがアッパーに使用されているのでやわらかい履き心地がしますが、その分、足のホールド力は『CM996』には劣る気がします。

また、前述したように『M996』のほうがクッション性が高い分、『CM996』より少し重め。

このように両者に違いはあれど、その差はもはや『好みの領域』だと思いますので、メイドインUSAにこだわるか否かでどちらを買うかを決めて問題ないでしょう。

ニューバランス『996』グレーの種類

『996のグレー』とひと言でいっても、ベーシックなものから少しユニークなものまで、さまざまなアイテムがあります。

【カラー: GRAY(GR2)】

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まずはベーシックなこちらのCM996。『996』といえばこのグレーという感じがありますね。

全体的にグレーとホワイトで統一されているため、オンにもオフにも使えそうな雰囲気。

実際、セットアップなどのはずしとしても活用できるので、非常に出番の多い定番カラーでしょう。

【カラー：02.ライトグレー】

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続いて紹介するのは、こちらの『CM996』。

前述したニューバランスの伝説的スニーカー『M1300』のスチールブルーを模したカラーで、よりレトロな雰囲気を醸し出せます。

こちらもカラーは違えどファッションに合わせやすいので、「ただのグレーじゃつまらない」「人とはちょっと違った996が欲しい」という人は候補に入れてもよさそうです。

【カラー: A2(GRAY)】

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こちらは、耐水・透湿性に優れた素材として知られる『GORE-TEX』を使用した『996』です。

一般的な『996』はアッパーにピッグスキンスエードが使用されているため、一度汚れが付くとなかなか落ちないという欠点があります。

しかし、こちらのアイテムなら雨の日でも安心。どんなシチュエーションでも996を履きたい人には、うってつけの1足でしょう。

【カラー：B2(GRAY)】

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2023年に『996』が35周年を迎えたことを受けて、発売されたのがこちらの『CM996』です。

多くの『996』はアッパーにメッシュが使用されていますが、こちらはオフィスカジュアルにも使用しやすいようにレザー部分が多めになっています。

カラーもアッパーとアウトソールで統一されているので、前述した『GRAY(GR2)』と比べてもさらにビジネスカジュアルに使用しやすいアイテムでしょう。

このように『996のグレー』といっても種類があり、価格や機能もそれぞれなので、あなたが求めるものに合わせて選んでみてください。

ニューバランス『996』グレーを使用したコーディネート例

『996』を使用した、コーディネートの例をご紹介します。

【ライム色のシャツとジーンズ】

ライム色のシャツとジーンズに、グレーの『996』を合わせてみました。

『996』は細身でスタイリッシュなシルエットなので、きれいめスタイルとの相性がいいです。特にグレーはクセがなく、大人びた印象を与えることができるでしょう。

ライムグリーンのストライプシャツとジーンズは、王道の組み合わせ。ほどよいカジュアル感を残しつつ、清潔感のあるコーディネートになりますよ。

シャツはやや大きめ、ジーンズは細身の、裾に向かって徐々に細くなるテーパードです。トップスに少しボリューム感があるので、テーパードのジーンズで野暮ったさを解消しました。

テーパードだと、『996』のスタイリッシュさも生かせます。堅苦しくなく、適度なリラックス感を持たせられるきれいめのコーディネートは万能です。

【黒パーカーと白パンツ】

パーカーと白パンツを合わせて、大人カジュアルを意識してコーディネートしました。

パーカーは子供っぽい印象になりがちなアイテムでしょう。ですが、黒色ベースのパーカーに白色のパンツを合わせることで、大人カジュアルを演出できる、モノトーン風に仕上げました。

パーカーはフードや袖のリブがグレーというのがポイントです。「白黒だけだとクールすぎるかな」と感じ、フードや袖のリブがグレーになったアイテムをチョイス。

『996』のグレーとの親和性が高く、シルエット全体の統一感が増しますよ。

もちろん、シンプルなモノトーンコーディネートに『996』のグレーを組み合わせてもバッチリです。

【セットアップ】

「セットアップにスニーカー？」と、思う人もいることでしょう。一般的なスニーカーだと難しいかもしれませんが、『996』のグレーなら程よい崩しとして使えます。

『996』は、上品な光沢感のあるピッグスキンスエードがアッパーに施された、カジュアルすぎないスニーカーです。そのため、セットアップと組み合わせても不自然にはなりにくいですよ。

また、靴下を差し色にすれば、全体の印象が変わるのも、このコーディネートのポイント。今回は鮮やかな青色にしましたが、赤色や緑色ともマッチします。

【チェックシャツで少年コーデ】

古着のチェックシャツを使って、カジュアルで少年っぽいイメージのコーディネートを組んでみました。

シャツに入った白のラインと、スニーカーの色味を合わせています。

【あえて全身でカラー・トーンを統一したコーデ】

全身を淡い色味でそろえたコーディネート！

スポーティなTシャツワンピースとスニーカーの相性が抜群でかわいいですよね。

コーディネートの例について紹介しましたが、『996』のグレーはファッションの調和をとってくれるので、あまり深く考えなくても、ある程度スタイルが決まることが多いです。

あなたのファッションスタイルに、ぜひ取り入れてみてください。

ニューバランス『996』グレーを安く入手するためには

アジア工場で生産される『CM996』は、定番ながら安く買える機会があります。

特にAmazonでは『CM996』が定期的にセールになるので、もしあなたがAmazonユーザーであればチェックするのがオススメ。

また、Amazonにしかない限定カラーもあるので、ニューバランスが好きな人なら一度は覗いてみる価値はあるでしょう。

一方、アメリカ製である『M996』は、新品はセールになる機会がほぼないといえます。

2023年4月現在、ニューバランス公式ショップでも約35000円するアイテムですので、偽物が出回ることも。極端に価格が安いものには注意してください。

ニューバランス『996』が汚れた時のケアの方法

せっかくお気に入りのシューズを買ったなら、なるべく長く履きたいと思うことでしょう。

多くの『996』はアッパーにスエードが使用されているので、「どうやってケアをしたらいいんだろう」と悩んでしまうこともあるかもしれません。

基本的に靴は水洗いはしないほうがよく、『996』も同様です。スエードの色が薄くなってしまったり、乾燥してしまったりするため、ケアにもっと手間がかかることも。

また、ほとんどの『996』はアウトソールにポリウレタンが使用されているので、水分と反応して起こる『加水分解』という致命的な損傷を助長してしまう可能性があります。

極力、水洗いは避けたほうがいいでしょう。

ちなみに、試しに『996』を水洗いしてみた体験記事もありますので、気になった人はぜひこちらもチェックしてください。

それでは、基本的な掃除の方法を紹介します。

まず、シューケアの最初のステップとしては、買ってすぐに防水スプレーをかけるのがオススメ。防水スプレーは、雨だけでなく汚れも予防してくれます。

『996』のピッグスキンスエードは雨を弾きやすいという性質もありますが、一方で汚れると掃除が大変です。それならば、汚れる前にケアしたほうが簡単でしょう。

汚れてしまった時は、まずは汚れをかきだすためにブラッシングをします。

スエードの毛が寝ているか、立っているかだけでも印象がガラっと変わるので、スエードの靴を持っているならブラシは1つ持っておくことをおすすめします。

その後、汚れが濃いところに専用の消しゴムをかけましょう。

シューケア用の消しゴムは、強くこするとスエードが削れて不格好になってしまうので、優しくかけるのがポイント。

また、汚れているところだけにかけるとそこだけ白くなって悪目立ちするので、広範囲にかけるのがコツです。

最後に、ブラシでスエードの毛並みを整えてあげれば完成です。

欲をいえばスエードの栄養スプレーなどをかけてあげると発色がよくなり長持ちもするようになります。

しかし、手間をかけすぎてもストレスになってしまうと思うので、自身のスタイルにあったケアだけをして、リカバーできなくなったら新しいものを買うというのもよい選択でしょう。

『996』についてのまとめ

筆者は靴店の元店員でさまざまな靴を見て、履いてきましたが、『996』は本当にいいスニーカーだと断言できます。

履き心地もいいですし、ファッションにも取り入れやすいので、1足あると非常に心強い味方になってくれるでしょう。

筆者も初めて『996』を履いた時には、なんだかオシャレになった気がしてとても嬉しかったことを覚えています。

まだ『996』を履いたことがないのであれば、ぜひ一度試着してみてください。それをきっかけに、あなたのニューバランスライフがスタートするかもしれませんよ！

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[文・構成／grape編集部]