【震災遺構を歩く】『奇跡の一本松』が物語る震災からの5年
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2011年の東日本大震災から5年。被災地の現状を自分たちの目で確かめるため、私は岩手県に行った。
被災地を車で巡っていくと、大きな被害を受けた陸前高田市にたどり着いた。
車が多く通っている2車線の国道を囲んでいたのは、数々の建物ではなく平地。震災当時、津波が押し寄せて来た場所だったと頭では理解していても、周りがガランとしていることがなんだか不思議に思えてしまう。度々見かける工事現場も、復興を感じさせると共に「まだ復興までは時間がかかる」と思わせてしまうような雰囲気。
震災前はどのような街の風景だったのだろう、と考えながら私はゆっくりと揺れる車内から通り過ぎる景色を眺めた。
産経ニュースによると、震災当時陸前高田市には2万4,246人の住民が住んでいた。しかし津波で壊滅的な被害を受け、一瞬にして1,759人が命を落とし、又、行方不明となった。
海から離れた場所に住宅が見えたものの、 実際津波で被害を受けた世帯は全体の半数を超えていた。以前住民はここでどのような生活を送っていたのだろう、毎日どのような景色を見ていたのだろうと考えていると、現在と過去の光景が流れ込んできた。
陸前高田市気仙中学校
そんな陸前高田の風景だったが、走っていくと所々にポツリと建物が建っている。
一見普通の古い建物に見えるが、良く見ると窓が外れて割れていたり、瓦礫が中に溜まっていたり、建物の外側が崩れていたりする。そして建物の上に標識が設置されていて、それには津波の襲来時にどこまで浸水したかが表示されている。
そのようないくつかの建物の内、私たちは陸前高田市気仙中学校の校舎の前で車を止めた。実際中学校の敷地内は立ち入り禁止となっているので、安全な場所に車を寄せ、徒歩で中学校の近くへと向かった。
建物自体は立っているが、教室であったと思われる部屋の窓はすべてなくなり、中には瓦礫が見える。3階建ての校舎の内3階まで浸水したことを示す標識が付けられていて、そこには14.2メーターまで津波が達したと書かれてあった。
校舎の中を見ると、中で子供たちが平和に授業を行っていたことが想像できないぐらい、柱や天井が崩れ堕ちていた。入り口に下駄箱のような棚があるのみで、他には中学校であったことを示す痕跡は残されていなかった。
津波が押し寄せてくる前まではここから生徒の笑い声や、部活動の掛け声が聞こえていたのだろう、と思うととても切ない気持ちになってしまった。
震災当時、学校にいた中学生たちは…