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「我を飼える人間よ、来いッ!」 『最強の猫』譲渡会に突撃した結果…!?

By - いとう舞香  公開:  更新:

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『最強の猫』に会いにきた人たちは…?

ここに集まったのは、「ぜひ、自分に人慣れの任を与えていただきたい!」「たとえ慣れてもらわずとも、猫がそこにいるだけでよいのだ…」と思っているような、広い懐と尽くす心を持った人たち。

猫との出会いを希望する『上級者』以外にも、この会場に足を運んだ人たちには、さまざまな理由があるようです。

来場者

SNSで拡散されていたのを見て、譲渡会というものに興味が湧いたので来ました。斬新なコンセプトとユニークなポスターに惹かれました!

来場者

もう6匹飼っているので新たに引き取ることはできないけど、我が家にも『シャーシャー猫』がいるので、募金で応援をしたいと思ったんです。

来場者

『シャーシャー猫』と暮らしているけど、なかなか距離を縮められなくて…。スタッフの方にアドバイスを聞きに、遠方から来ました。

譲渡会の写真画像を見る(全25枚)

猫と目線を合わせる来場者たち

猫の写真

新しい出会いを待つ保護猫

譲渡会を行うのは、動物との出会いのきっかけを作るため。たとえ、今すぐに動物を迎え入れる予定がなくとも、こうして保護動物の現状を知ることが、幸せな未来への一歩といえます。

ここに集まった人たちの優しさは、募金箱という形でも寄せられていました。「今、引き取ることはできずとも、幸せな動物を増やしたい」という想いは同じなのです。

会場内には、『ねこかつ』のカレンダーや書籍に加えて、保護猫シェルター『ボニズハウス』による猫用グッズの販売コーナーも。これらの売り上げは、今後の保護活動で活用されます。

譲渡会の写真

保護猫の写真が収録された『ねこかつ』グッズ

猫用グッズの写真

グッズの売り上げの一部は活動にあてられる

譲渡会の写真

グッズ売り場にも『猫好き』による人だかりが!

里親との新しい出会いにつながりづらいとされる、『シャーシャー猫』。

あえて『シャーシャー猫』を集めた譲渡会を開催したのは、どういった理由があるのでしょう。そして、そういった猫と一緒に暮らす場合、飼い主はどうすればいいのでしょうか。

あえて譲渡会に『シャーシャー猫』だけを集めた理由とは?

これまでも、ペットショップを併設する企業もある中、あえてホームセンターで譲渡会を行うなど、挑戦的な活動を行ってきた『ねこかつ』。

代表である梅田達也さんに、今回の『最強の保護猫譲渡会』について話をうかがいました。

いとう

人慣れしていない猫を集めた譲渡会ということで、SNSでも斬新な発想が注目を集めていましたね。
今回の『最強の保護猫譲渡会』は、どういった経緯で開催される運びとなったのでしょうか?

梅田さん

私たちは、猫を選別して保護していないんです。なので中には、歳を重ねていたり、ハンディキャップを持っていたり、人に慣れていない子もいて。
それで、人に慣れていない子っていうのは、どうしてもなかなか里親さんに巡り合えないんですよね。

いとう

悲しいことに、それはよく聞きますね…。
例えば里親希望者が飼育初心者であれば、人間と猫の両方を思うと、まず選択肢から外れてしまいますもんね。

梅田さん

基本は『ねこかつ』でも、ある程度人に慣れてから譲渡会に出すようにしているんですが、どうしてもなかなか慣れない子もいて…。
何年も待ち続けるより、「そういう子でも迎えたい」と思ってくれる里親さんに早く出会えたほうが、その子にとって幸せだと思ったんです。

梅田さん

出会いにつながるようになれば、今後、社会全体が『シャーシャー猫』を積極的に助けていくことができると思います。
里親が見つかりづらいとされている子たちですが、「1匹でも素敵なご縁につながれば大成功だ」と。「わずかな可能性だとしても、やろう」と思い、提案しました。

猫の写真

たとえわずかな可能性でも『出会い』に賭けて

『人慣れしていないと飼育が比較的難しく、出会いに恵まれにくい』というのは、保護動物全般にいえること。そういった動物は人間社会において、殺処分に近い場所に立たされてしまいます。

そんな現状に一石を投じるべく、まずは出会いの場を作ることにしたという、梅田さん。SNSで話題になったこともあり、この日は予想以上の賑わいに驚かされたといいます。

いとう

『まずは出会いの場を作る』という目的は、見事に達成していますね!
来場者の方に話をうかがうと、「猫たちが意外とおとなしくてビックリ」といった声が多かったです。

梅田さん

『シャーシャー猫』は臆病なので、こういった場で怒ることは、ほぼないですね。無理に手を出したら怒りますけど、基本は緊張したら声も出さずに縮こまります。
いってみれば、ある意味『一番静かな譲渡会』かもしれません(笑)。

団体によって流れは異なりますが、『ねこかつ』の譲渡会では基本的に、会場でアンケート用紙を記入し、後日、条件などを確認しながら話を進めていきます。

アンケート用紙では住所や年齢といった基本情報に加え、これまでの飼育経験や、家のおおまかな間取り、動物を育てる上で必要不可欠な心構えなどを確認。

家は広ければいいというわけではなく、『猫を飼育する上で適切な環境か』を確認します。もちろん、脱走対策ができるかも重要です。

譲渡会の写真

観葉植物の有無は、猫に有害なものもあるため

いとう

譲渡は、まず会場でアンケート用紙を記入し、条件が一致すれば打ち合わせをしてトライアル開始…という流れとのことですが、『シャーシャー猫』特有の変更点はあるのでしょうか?

梅田さん

従来の流れとの変更点は、特にはないですね。 ただ、従来2週間のトライアルというのは、猫が人や新しい環境に慣れるためのものなんですが、今日の子たちは、まずトライアルでは慣れません。

いとう

2週間のトライアルで慣れるくらいなら、とっくに団体さんやボランティアさんのほうで人慣れさせていますもんね…。
そう考えると、トライアルは里親側の心の準備期間というか、最終確認のようなものなのかもしれませんね。

『シャーシャー猫と暮らす』ということ

基本的に保護動物は、人間と適切なコミュニケーションをとることができない状況で育った子が多いとされています。

元野良猫の場合、人間に慣れてしまうと危害を加えられることもあるため、親猫から「人間は怖いものだから、警戒しなくてはいけない」と教わって育つのだとか。

さまざまな事情から、『シャーシャー猫』となった保護猫たち。そんな彼らと暮らす上で大切なことについて、梅田さんに話をうかがいました。

いとう

近付くと逃げる、触ろうとすると怒る…となると、『猫のベテラン』ともいえる団体さんやボランティアの方ですら、かなり大変かと思うのですが…。

梅田さん

基本的に猫って、猫同士でいると群れになっちゃうので、少数の猫と人間での関係性が築けたら、早く人に慣れてくれるんです。なのでボランティアさんに頼んではいるんですが、手が足りていなくて…。
元々の性格や保護前の境遇の違いもありますし、すぐ慣れてくれる子もいれば、何年経っても触らせてくれない子もいます。

梅田さん

『シャーシャー猫』を迎えたら、その子に合わせて気長に見ていただきたいです。いつか慣れてくれるかもしれないですが、なんなら「慣れてもらわなくてもいいや」という心構えで。

いとう

確かに。「絶対にいつか慣れてくれる」という保証はないですもんね。
譲渡会がSNSで話題になった時、『シャーシャー猫』と暮らした経験のある人からは「『もうずっと慣れてもらわなくてもいい!』くらいの覚悟が必要」という意見もありました。

梅田さん

「ベタベタくっついてきたり、甘えん坊になったりしなくてもいい」という気持ちは必要かなと。
同じ空間で一緒に生活をして、距離をとって触らせてくれないとしても、その子は心を開いてるかもしれないですよね。ただ愛の表現方法が違うだけで。

いとう

ベタベタとくっつく関係だけが愛じゃないですもんね…。人間だって、他人と賑やかにするのが好きな人もいれば、1人でいるのが落ち着く人もいますし。

譲渡会の写真

コミュニケーションは相手を知ることが大事

人間と動物という違いはあれど、それぞれ性格や価値観が異なり、個性があるのは同じ。

ペットとの生活というと、どうしても触れ合いの多い関係性をイメージしがちですが、『安心できる相手とほどよい距離感を保ちながら、穏やかな日々を送る』というのも、また1つの素敵な共同生活といえるでしょう。

これまで、さまざまな性格の猫と触れ合ってきた梅田さん。『シャーシャー猫』に限らず、猫との生活を検討している人に向けて、このように想いを明かしました。

梅田さん

今回は『シャーシャー猫』に限った催しなんですが、『ねこかつ』では、いろんな猫を保護しています。保護団体は全国にたくさんあって、みんな頑張っているんですが、それでも助けることができているのは、ごく一部です。
里親希望者さんが増えたら、もっとたくさんの子を助けられます。ですので、ぜひ『保護猫から迎える』という選択肢をとっていただきたいです。

猫の写真

家族を待つ保護猫は全国にたくさん

猫の譲渡会の写真

猫との『出会い』を作りにきた来場者たち

『最強の保護猫譲渡会』は、人と猫をつなぐ、優しさにあふれた場でした。

私たちの普段のコミュニケーションと同じように、人間と動物も、日々の積み重ねによって心の絆を強めていくもの。

小さな猫たちからすると、人間は『大きくてよく分からない生き物』です。中には、人間によってつらい思いをした子もいるため、警戒するのは仕方のないことといえます。

そんな猫たちの立場を想像し、ほどよい距離感で想いを通じ合わせようとできる、心優しい人こそが、この日集まった猫たちを家族として幸せにできるのでしょう。

【保護猫カフェ ねこかつ】

川越店:埼玉県川越市脇田町8-3 MTFビル3階
大宮日進店:埼玉県さいたま市北区日進町2-851-1 MKビル2階
※各店舗の営業時間や定休日については下記ウェブサイトをご覧ください。

ウェブサイト:保護猫カフェ ねこかつ
X:@nekokatsu_1
Facebook:@cafe.nekokatsu
Instagram:hogonekocafe_nekokatsu


[文・構成/grape編集部]

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