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『お彼岸』とは? お彼岸にやることや成り立ちを解説

By - COLLY  公開:  更新:

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※写真はイメージ

みなさんは『お彼岸』について、どのようなイメージを持っていますか。

「お墓参りに行ったり、おはぎやぼたもちなどを供えたりする」というイメージを持つ人が多いでしょう。こうした習慣は、現代の日本人にも根付いています。

しかし、お彼岸にお墓参りをする理由や由来、正確な期間などを知っている人は多くないのではないでしょうか。

この記事では、お彼岸の由来や期間に加え、するべきことや避けるべきことなどを解説します。この記事を通して、古来からの週間であるお彼岸について理解を深めましょう。

お彼岸とは

お墓と献花の画像

※写真はイメージ

お彼岸とは、毎年春と秋に、先祖の供養をする期間のことです。

古来からある仏教的な思想や、日本の風習などが結びついて形成されたもので、一説によれば平安時代から存在していたのだとか。

仏教の世界では、私たちが生きている世界を『此岸(しがん)』といい、亡くなった人や先祖がいる世界を『彼岸』と表わしています。

お彼岸の中日となる春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ等しくなることから「東にある此岸と西にある彼岸の距離がもっとも短くなる日」と考えられています。

そのため、お彼岸は「先祖に想いを伝えることができる期間」とされ、お墓参りや法要がおこなわれているのです。

お彼岸はいつからいつまでなのか

お彼岸の期間は、春は春分の日を、秋は秋分の日を中心とした前後3日間で、合計7日間です。

春分の日と秋分の日は毎年変わるため、お彼岸の期間も毎年日程が異なります。

2025年の春のお彼岸

春のお彼岸は『春彼岸』とも呼ばれ、2025年の場合は、春分の日である3月20日を中心とした前後3日間です。

春分の日は、国民の祝日の1つで『自然をたたえ、生物をいつくしむ』ことを目的として制定されました。具体的な日程は以下の通りです。

  • 3月17日(日):春彼岸入り
  • 3月20日(木、祝):春彼岸の中日(春分の日)
  • 3月23日(日):春彼岸明け

彼岸の期間に入る初日のことを『彼岸の入り』、彼岸の最終日を『彼岸明け』といいます。

2025年の秋のお彼岸

秋のお彼岸は『秋彼岸』ともいい、2025年の場合は、9月22日の秋分の日を中心とした前後3日間です。

秋分の日も、国民の祝日の1つで『祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ』ことを目的として制定されました。

  • 9月20日(土):秋彼岸入り
  • 9月23日(火、祝):秋彼岸の中日(秋分の日)
  • 3月26日(金):秋彼岸明け

お彼岸には何をするのか

お墓参りをする子供の画像

※写真はイメージ

お彼岸は、先祖の供養と自身の修行をおこなう期間といわれています。

具体的にはどのようなことをするのか、それぞれ見ていきましょう。

お墓参り

お墓参りでは、墓石やお墓の周辺の掃除や草取りなどをおこない、線香や花、水などをお供えします。

先祖への時間を最優先し、敬う気持ちを表わすため、午前中や午後の早い時間に行くようにしてください。

なお、18時前後は『逢魔時(おうまがとき)』と呼ばれ、魔物に遭遇すると信じられてきました。

このように、夕方はお墓参りには適さないとされていたり、暗くなって足元が見づらくなったりするため、安全のためにも避けるのが得策です。

お墓参りは、彼岸との距離がもっとも近付く春分の日と秋分の日におこなうのが好ましいとされています。

ただ、無理して春分の日や秋分の日にお墓参りをする必要はありません。お彼岸の期間中に済ませるとよいでしょう。

仏壇へのお参り

家に仏壇がある場合には、お仏壇を磨いたり、ホコリを払ったりするなど掃除をしましょう。

掃除が終わったら、線香、花、水に加え、彼岸団子、ぼたもち、おはぎなどをお供えすればOKです。

他家へのお参り

地域や家庭によっては、先祖や亡くなった人の供養のために、お彼岸にほかの家庭を訪問する場合があります。

その際はお供えとして、菓子や線香などの手土産や香典を持参しましょう。

法要

お彼岸の時期には、寺で『彼岸会』と呼ばれる合同法要がおこなわれる場合があります。

菩提寺があったり、寺とお付き合いがあったりする場合は参加するとよいでしょう。なお、法要に参加する際はお布施が必要です。

六波羅蜜

六波羅蜜(ろくはらみつ)とは、お彼岸の中日以外の6日間でおこなう修行のこと。

仏教で定められた『親切』『言行一致』『忍耐』『努力』『反省』『修養』を1日1つずつおこないます。

お彼岸は先祖を供養するだけでなく、煩悩や迷いの多い世界である『此岸』から、悟りの世界である『彼岸』に到達するための修行をおこなう期間でもあるのです。

修行と聞くと難しそうなイメージがありますが、周囲の人々に感謝し、自分を静かに見つめる期間にしてみてもよいでしょう。

お彼岸で用意するもの

おはぎの画像

※写真はイメージ

ほかの項ですでに触れている通り、お彼岸の供え物は、春のお彼岸ならぼたもちを、秋のお彼岸ならおはぎです。

供え物に線香を加え、これら3つを持ってお墓参りにいくとよいでしょう。

以下でそれぞれ詳しく解説するので、準備する際の参考にしてみてください。

ぼたもち(春)またはおはぎ(秋)

お彼岸の供え物は、もち米とうるち米を混ぜて炊いたものを小豆餡で包んだ『ぼたもち』と『おはぎ』が一般的です。

ぼたもちは春のお彼岸に用いられ、名前の由来は春に咲く牡丹(ぼたん)の花です。

秋に収穫し、春まで保存していた小豆は皮が固くなるため、こしあんで作られています。

一方、おはぎは秋のお彼岸に用いられ、呼び名は秋に咲く萩の花に由来しています。

秋に収穫された小豆は皮が柔らかいため、つぶあんで作るのが一般的です。

お彼岸の時期に、墓や仏壇に供える花に決まりはありません。故人が好きだった花や、季節の花を選ぶとよいでしょう。

ただし、鉢植えやトゲのある花、香りの強い花は、お彼岸に限らずよくないとされているため、避けるのが無難です。

線香

お墓参りや仏壇にお参りする時には、線香を用意しましょう。

線香には「仏前を清め、香りにのせて故人に感謝や想いを伝える」という意味があります。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売されている場合があるため、お墓参りに行く途中で手に入れるとよいでしょう。

お彼岸にしてはいけないこと

子供の指でバツサインの画像

※写真はイメージ

お彼岸は喪に服す期間ではなく、お墓参りや法要など先祖の供養をおこなう期間のため、してはいけないことはありません。

ただし、中にはお見舞いや結婚式などをおこなうのを避けるという人も。特に、年配者には配慮するようにしましょう。

お見舞い

先祖や故人の供養をするお彼岸に、病気やケガをしている人へのお見舞いは控えましょう。

「すぐに亡くなると思っている」「お墓参りを連想させる」「縁起が悪い」などと受け取られ、相手に悪い印象を与えてしまう場合があります。

結婚式に関する事柄

結婚式、結納、挨拶、招待状の送付などの結婚式に関する事柄は、お彼岸の期間中は避けるのが無難です。

人によっては「先祖や故人への思いやりに欠ける」と考えていたり、お彼岸の行事を大切にしていたり、お彼岸の準備で忙しくしていたりするかもしれません。

どうしてもお彼岸の時期におこないたい場合には、理由をきちんと説明するなどして、相手に配慮するようにしましょう。

神道の儀式

お宮参りや神社参り、建前などの神道の儀式は、古来から「仏教の行事であるお彼岸の期間には、おこなわないほうがよい」とされています。

神社に参拝する予定を立てている人は、お彼岸の期間を外しておくとよいでしょう。

お彼岸とお盆の違い

花 菊 農園直送の画像

※写真はイメージ

お彼岸と似た仏教行事として『お盆』を思い浮かべる人もいるでしょう。お盆は『7月盆(新盆)』と『8月盆(旧盆)』の2つに分かれています。

多くの地域では毎年8月15日をお盆の中心として考え、8月13~16日までの4日間がお盆です。

お盆は先祖の霊が現世に戻ってくる期間といわれ、先祖の霊を迎えて見送るために、『迎え火』や『送り火』と呼ばれる、玄関先や墓の前で火を炊く風習があります。

お彼岸とお盆は「墓や仏壇にお参りして先祖に感謝を伝え、供養をおこなう仏教の行事」という点は共通しています。

ただし、実施時期と供養の方法や意味合いが異なるため、注意が必要です。

お彼岸を詳しく知って心を込めた供養をおこなおう

お彼岸は、この世(此岸)とあの世(彼岸)が1年で一番近くなる時期です。「先祖や故人に感謝を伝え、供養する」という由来を知ると、お彼岸への思いも深くなりますね。

お彼岸にしてはいけないことはありませんが、こうした習慣を大切にしている人もいるため、親族など周囲の人には配慮するようにしましょう。

祖父母や父母に任せていたこの習慣を子孫に受け継いでいくために、年に2回のお彼岸の時期を家族で大切に過ごしてみてはいかがでしょうか。


[文・構成/grape編集部]

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