お彼岸はいつ? 何をするの? 成り立ちも知って心を込めた供養を
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お彼岸にお墓参りに行ったり、おはぎやぼたもちを供えたりという習慣は、現代の日本人にも根付いています。しかし、お彼岸にお墓参りをする理由や由来、正確な期間を知っている人は少ないのではないでしょうか。
お彼岸の由来や期間、やるべきこと、避けるべきことを知って、古来からの習慣を受け継いでいきましょう。
お彼岸とは
※写真はイメージ
お彼岸とは、毎年春と秋に2回、ご先祖様の供養をする期間のこと。お彼岸は、古来からある仏教的な思想や日本の風習が結びついて形成されたもので、平安時代から存在していたようです。
仏教の世界では、私たちが生きている世界を『此岸(しがん)』、亡くなった人、ご先祖様がいる世界を『彼岸』と表わしています。
お彼岸の中日となる春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ等しくなることから、東にある此岸と西にある彼岸の距離がもっとも短くなる日と考えられています。
そのため、お彼岸の期間はご先祖様へ想いを伝えられる期間とされ、お墓参りや法要が行われるようになりました。
また、お彼岸は、ご先祖様の供養のほかに、煩悩や迷いの多い世界である『此岸』から、悟りの世界『彼岸』に到達するための『六波羅蜜』という修行を行う期間でもあります。
お彼岸はいつからいつまでなのか
お彼岸の期間は、春分の日、秋分の日を中心とした前後3日間で、合計7日間です。春分の日と秋分の日は毎年変わるので、お彼岸の期間も毎年日程が異なります。
2024年の春のお彼岸
2024年の春のお彼岸は、2024年3月20日の春分の日を中心とした前後3日間です。春分の日は、国民の祝日の1つで『自然をたたえ、生物をいつくしむ』ことを目的として制定されました。
3月17日(日):春彼岸入り
3月20日(水、祝):春彼岸の中日(春分の日)
3月23日(土):春彼岸明け
彼岸の期間に入る初日のことを『彼岸の入り』、彼岸の最終日を『彼岸明け』といいます。
2024年の秋のお彼岸
2024年の秋のお彼岸は、2024年9月22日の秋分の日を中心とした前後3日間です。秋分の日も、国民の祝日の1つで『祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ』ことを目的として制定されました。
9月19日(木):秋彼岸入り
9月22日(日、祝):秋彼岸の中日(秋分の日)
3月23日(土):秋彼岸明け
お彼岸には何をするのか
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お彼岸は、ご先祖様の供養と自身の修行を行う期間といわれています。どのようなことをするのか具体的に見ていきましょう。
お墓参り
お墓参りは彼岸との距離がもっとも近づく、春分の日、秋分の日に行うのが好ましいですが、無理をせずにお彼岸の期間にすませられればよいでしょう。
お参りする時間帯は、午前中や午後の早い時間に行くようにしてください。これは、ご先祖様への時間を最優先し、敬う気持ちを表わすためです。18時前後は『逢魔が時(おうまがとき)』と呼ばれ、魔物に遭遇すると信じられてきた時間帯で、昔からお墓参りは避けられています。
お墓参りでは、墓石やお墓の周辺の掃除や草取りなどを行い、お線香やお花、お水などをお供えします。
仏壇へのお参り
仏壇がある場合には、お仏壇を磨き、埃をはらうなど掃除を行い、お線香、お花、お水、彼岸団子やぼたもち、おはぎをお供えします。
他家へのお参り
地域や各家庭によって異なりますが、お彼岸にご先祖様や亡くなった人の供養のために、ほかの家庭を訪問する場合があります。お供えとして、お菓子やお線香などの手土産や香典が必要です。
法要
お彼岸の時期には、お寺で彼岸会と呼ばれる合同法要が行われることがあります。菩提寺があったり、お寺とお付き合いがあったりする場合には参加するとよいでしょう。法要に参加する時にはお布施が必要です。
六波羅蜜
六波羅蜜とは、お彼岸の中日以外の6日間で、仏教で定められた『親切』『言行一致』『忍耐』『努力』『反省』『修養』を1日1つずつ行う修行のことです。修行というと難しそうですが、周囲に感謝をし、自分を静かに見つめる期間にしてもよさそうですね。
お彼岸で用意するもの
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お彼岸で用意するものを紹介します。
ぼたもち、おはぎ
お彼岸のお供え物は、もち米とうるち米を混ぜて炊いたものを小豆餡で包んだ『ぼたもち』と『おはぎ』が一般的です。
ぼたもちは、春のお彼岸に用いられ、ぼたもちという呼び方は春に咲く牡丹の花に由来します。秋に収穫し、春まで保存していた小豆は皮が固くなるため、こしあんで作られているのです。
おはぎは、秋のお彼岸に用いられ、おはぎという呼び方は秋に咲く萩の花に由来します。秋に収穫された小豆は皮が柔らかいため、粒あんで作られるのが一般的です。
お花
お彼岸の時期に、お墓やご仏壇に供える花に決まりはありません。故人が好きだったお花や季節の花を選ぶとよいでしょう。ただし、鉢植えやトゲのある花、香りの強い花はお彼岸に限らずよくないとされています。
お線香
お墓参りやご仏壇にお参りする時には、お線香を用意しましょう。お線香には仏前を清め、お線香の香りにのせて故人へ感謝や想いを伝えるという意味があります。
お彼岸にしてはいけないこと
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お彼岸は、『喪』に服す期間ではなく、お墓参りや法要など先祖の供養を行う期間なので、仏教的にしてはいけないことはありません。
しかし、人によっては、お見舞いや結婚式などを行うことを嫌う可能性もあります。特に年配者には配慮しましょう。
お見舞い
先祖や故人の供養をするお彼岸に、病気やケガをしている人へのお見舞いは控えるようにしましょう。『すぐに亡くなると思っている』『お墓参りを連想させる』『縁起が悪い』と受け取られてしまうことがあります。
結婚式に関する事柄
結婚式、結納、挨拶、招待状の送付など、結婚式に関する事柄は、『ご先祖様や故人への思いやりに欠ける』ととらえる人もいます。相手がお彼岸の行事を大切にしていたり、お彼岸の準備で忙しくしていたりするかもしれません。
どうしてもお彼岸の時期に行いたい場合には、その理由をきちんと説明するなど相手に配慮した行動を取りましょう。
神道の儀式
古来から、お宮参りや神社参り、建前などの神道の儀式は、仏教の行事であるお彼岸の期間には行わないほうがよいとされています。
お彼岸とお盆の違い
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お彼岸とお盆は、お墓やご仏壇にお参りして、ご先祖様に感謝を伝え、供養を行う仏教の行事であることは共通していますが、実施時期と供養の方法や意味合いが異なるのです。
お盆の時期は、『7月盆(新盆)』と『8月盆(旧盆)』の2つに分かれており、旧盆の多くの地域では毎年8月15日をお盆の中心として考え、8月13日~8月16日までの4日間です。
お盆は、ご先祖様の霊が現世に戻ってくるといわれており、そのご先祖様の霊をお迎え、お見送りするために、玄関先やお墓の前で『迎え火、送り火』と呼ばれる火を炊く風習があります。
お彼岸を詳しく知って、心を込めた供養を行おう
この世(此岸)とあの世(彼岸)が1年で一番近くなるお彼岸の時期に、ご先祖様や故人に感謝を伝え、供養するという由来を知ると、お彼岸への思いも深くなりますね。
お彼岸にしてはいけないことはありませんが、こうした習慣をとても大切にしている人もいるため、親族など周囲の人に配慮した行動を取りましょう。
祖父母、父母に任せていたこの習慣を子孫に受け継いでいくために、年に2回のお彼岸の時期を家族で大切に過ごしていってください。
[文・構成/grape編集部]