カラビナリュックの男は何者!?4つの謎を考察 『クジャクのダンス、誰が見た?』第4話
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カズレーザーが学歴に対する持論を展開 塾に通っても勉強できない人は…「塾に通っても勉強できない人は?」と聞かれたカズレーザーさん。「語弊がある言い方だけど…」と持論を展開しました。

YOASOBIの新曲、『ジャンプ』アニメOPに決定! 4月よりTBS系にて放送開始コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraによる音楽ユニット『YOASOBI』。新曲『Watch me!』が、2025年4月から放送開始のテレビアニメ『ウィッチウォッチ』(TBS系)のOPテーマに決定しました。
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年1月スタートのテレビドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
正直に言って、ラーメン店の親父さんである染田(酒井敏也)のエピソードをここまで時間をかけて描いたことには驚いた。
ストーリーの鍵を握る人物だから、当然原作では過去から丁寧に描かれてはいるが、ドラマとしての映像化の中で、ここまで大事に描くとは予想しなかった。
その『踏みにじられた人生』の描き方が丁寧であるほどに、物語は重苦しく沈んでいく。
重苦しい闇の底から差し込む光を探す、転換点になる4話目だった。
クリスマスイブの夜、山下心麦(広瀬すず)の父・春生(リリー・フランキー)が殺され、家は放火された。
容疑者は逮捕されたが、父が残した心麦への手紙にはその容疑者は冤罪であること、それを晴らすために弁護士・松風義輝(松山ケンイチ)に依頼をしてほしいと書かれていた。
松風とともに父の死の真相を追う心麦は、20年前に起きた一家殺人事件の謎にも巻き込まれていく。
『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の、4話までに明かされた気になる情報を整理しておきたい。
一つは、1話冒頭で一瞬映った『細い指』。林川安成(野間口徹)の首に縄をかけた指は細く白かった。20年前の一家殺人事件の犯人は、女なのではないかと推測される。
二つ目は、カラビナをつけたリュックを持つ男。春生の手紙をめぐって暗躍しているこの人物は、最序盤から登場しており、手紙の存在が明かされる前から山下家を監視していたと推測される。
そして、この人物は検察のキャリアがある阿南由紀(瀧内公美)と何らかの親密な関係があると今回明かされた。
20年前の事件を決して掘り起こさせたくない人物が、大きな権力を持って捜査機関に影響を与えている。
三つ目は、刑事の赤沢(藤本隆宏)がこだわる水である。いかにも叩きあげの刑事らしく、いかつく言動も粗暴な赤沢だが、なぜか飲み水にはこだわって自宅から持参したとある天然水を飲んでいる。
その様子は『らしくない』感じが漂う。
心麦が赤沢家を訪ねた際にも、自宅に大量の天然水がストックされている様子が映り込んでいた。
四つ目は、赤沢の妻・京子(西田尚美)の違和感である。ケーキを食べたときの言動。そして心麦を案じている様子は、単純な愛情深さとは何か異質な、過剰なものを感じてしまう。
カラビナの男は遠藤力郎(酒向芳)の冤罪を隠蔽しようとしている当時の検察あるいは警察の当事者だろう。
しかし東賀山事件については未だに動機も犯人も見当がつかない。ただ、赤子以外の家族全員を殺害して縄で吊るすという行為には、明らかに異常な価値観の発露があるように思う。
暗い展開が続く中で、今回は記者神井(磯村勇斗)と松風の丁々発止の会話が数少ない風穴になった。
互いに飄々とした探り合いから、一転して凄味のある啖呵を切り、かたやそれを動じず受け流す。武道の達人が手合わせをしているような演技の見応えである。
互いに力量は認めているのだろうが、決して馴れ合わない松風と神井の関係にもこれから変化があるだろうか。密かに楽しみである。
ここまでのエピソードを見ていると、今作は『伝えたかった父親の想い』を描くドラマなのではないかと思う。
東賀山事件で逮捕された遠藤力郎の、妻や息子に対して届かなかった愛情。伝わらなかった愛情は彼の家庭を壊し、息子の人生を深く傷つけるが、やがて息子は同じ苦しみの中で父親の想いを知る。
だがその時には、既に父と言葉を交わすことは出来ない。
染田もまた同様に、愛情を言葉で伝えなかったことで、妻と息子、そして社会とのつながりを失い転落していく。
一度は這い上がってもなお、孤独の中で悪の誘惑にあらがい続けることは難しい。
最後の瞬間まで想い続けた息子にも、染田の想いは届かない。
孤独で荒れた生活の果てに力郎も染田も、権力や犯罪者に利用され、踏みつけられている。
やるせなさの中で灯る一つの希望は、山下春生が残した娘への想いだ。
真偽の分からない手紙に綴られたその言葉を、娘の心麦は真っ直ぐに受け取り、信じている。
それは『きちんと届いた父親の想い』だ。
娘に届いたひとりの父親の切なる言葉は、孤独の中で踏みつけられた人たちをいつか救い出すと信じたい。
『クジャクのダンス、誰が見た?』第5話あらすじ
ラーメン屋台店主の染田(酒井敏也)が亡くなり、真実はさらに闇の中へ。
そんな中、心麦(広瀬すず)と松風(松山ケンイチ)は春生(リリー・フランキー)の手紙に名前のあった東賀山事件の元弁護人・三木田辰雄(石丸謙二郎)に会いに行くことになりました。そこには『新たな手がかり』が…。
一方、検察の阿南(瀧内公美)は友哉(成田凌)起訴に向けて新たな動きに乗り出します。松風は友哉に言われた“ある一言”で、自分の本心と対峙し…。
『クジャクのダンス、誰が見た?』は、『TVer』で最新話を無料配信中。動画配信サービス『U-NEXT』『Netflix』では、最新話まで全話配信中です。
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[文・構成/grape編集部]
かな
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
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