衝撃!! キツネとタヌキのうどんとそば 京都と大阪でこんなに違っていたなんて!
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7月2日は「うどんの日」です。毎年7月2日ころから5日間を半夏生(はんげしょう)といい、夏至から数えて11日めにあたります。農家では昔から半夏生を田植えを終える日の目安としています。うどんで有名な讃岐地方では、田植えや麦の刈り入れが終わったことをねぎらうために、半夏生のころにうどんを打って農家にふるまう習慣がありました。
そこで、香川県のさぬきうどんの協同組合では1980年、この日を「うどんの日」と制定し、各地でイベントが開催されるようになりました。
ところで、「きつねうどん」というと、うどんの上に甘辛く煮た油揚げがのっているものを思い浮かべます。では、「たぬきうどん」といえば、あげ玉(天かす)がのっているうどんを思い浮かべますが…。いえいえ。
京都と大阪では「たぬき」というと、ちょっと違うものを指すようです。7月2日の「うどんの日」に、京都と大阪では「たぬき」が何を指すのか、この奥深い「たぬき問題」について考えてみたいと思います。
「きつねうどん」は、うどんの上に甘辛い油揚げがのっている
うどんは日本各地で独自の進化をとげ、その土地土地でさまざまな形態となっています。水沢うどん、稲庭うどん、ほうとううどん、きしめん、讃岐うどん、博多うどん、五島うどんなどなど、一口に「うどん」といっても、麺の太さや固さ、具やダシの違いで、全国にはさまざまなタイプのうどんがあります。
各地でいろいろなタイプに進化をとげたうどんですが、一般的に「きつねうどん」というと、甘辛く煮た油揚げが乗ったうどんのことを指します。その発祥は明治時代、大阪の寿司屋で奉公していた宇佐美要太郎氏が、うどん屋「松葉屋本舗」を開店したとき、寿司屋の経験を生かし、いなりずし用の甘辛く煮た油揚げを、うどんと別皿で出していたことから始まります。最初は別皿の油揚げでしたが、これをそのままうどんに入れて食べるお客が多く、しかも「おいしい」と評判になりました。こうして「きつねうどん」が誕生しました。
関西では伏見稲荷は商売繁盛の神様として多くの人に参拝されていますが、「きつねうどん」は、この稲荷神社の使者であるキツネの好物「油揚げ」がのっている縁起がいいうどんとあって、全国に広まっていったそうです。
〈参考:『きつねうどん口伝』、宇佐美辰一ほか、ちくま文庫〉
「たぬきうどん」は、うどんの上に揚げ玉。発祥は関東のかき揚げそば
江戸時代の後期、「たぬき」はもともと関東のそばに由来します。「きつねうどん」が誕生する前は、関東ではうどんよりそばのほうが主流でした。最初はそばの上にイカのかき揚げをのせていました。「たぬき」という呼び名の由来として、かき揚げなので、天ぷらの具と衣の比率は衣のほうがずっと多く、中身が少ししかないので、「化かす」=「たぬき」という名前になったともいわれています。
また、当時の天ぷらはゴマ油で揚げるので、かき揚げの衣が茶色っぽく、まるでたぬきのような色合いになったので、「たぬき」になったという説もあります。
はじめは、衣の割りに中身が小さいかき揚げが「たぬき」と呼ばれていましたが、明治時代になると、揚げ玉だけがのっているそばを「たぬきそば」というようになり、そのうちに、揚げ玉をのせたうどんを「たぬきうどん」と呼ぶようになりました。
〈参考:日本経済新聞大阪 夕刊 いまドキ関西 2013年2月27日号〉
京都では、「たぬきうどん」といえば、あんかけうどんの上に刻んだ油揚げ
一般的に「たぬきうどん」というと、揚げ玉がのったうどんを指しますが、京都では、油揚げを2cmの幅の短冊状に切り、九条ネギとともにうどんの上にのせてあんかけにしたものを「たぬきうどん」といいます。
油揚げは「きつねうどん」のように甘辛く煮ず、味つけをしていないものを使います。さらに、あんかけうどんなので、トロッとしています。油揚げとネギとうどんがあんによって味がまとまり、三種類をいっしょに味わうことができます。
京都では、「きつね」については、甘辛い油揚げを「甘ぎつね」とよび、「たぬき」に用いられているような短冊状の油揚げを「きざみきつね」とよびます。「きつねうどん」というと、一般的には、味のない短冊状の油揚げがのったうどんを指し、それがあんかけになると、「たぬきうどん」となります。
つまり京都では、「きつねうどん」といえば、味のない短冊状の油揚げがのったうどんのことで、甘辛く煮た三角形の油揚げがのったうどんは「甘ぎつね」うどんといいます。そして、「たぬきうどん」といえば、「きつねうどん」をあんかけにしたものを指します。京都の「きつね」と「たぬき」は、油揚げの種類と、汁があんかけかどうかで違っているようです。
大阪では「たぬきうどん」そのものが存在しない。「たぬき」といえば「きつねそば」!?