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知らずにやってた… 祭りの屋台料理、持ち帰りがNGな『納得の理由』【専門家監修】

By - エムフロ  公開:  更新:

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屋台の写真

※写真はイメージ

祭りは、花火だけでなく、会場に立ち並ぶ屋台も見どころですよね。

屋台の食べ物は特別感があるため、「持ち帰って自宅でも楽しみたい」「家族のお土産にしよう」と考える人も多いでしょう。

しかし、屋台の食べ物の持ち帰りには、食中毒のリスクがあるため注意が必要です。

専門家による予防・対策法を解説するので、祭りに足を運ぶ予定がある人は参考にしてください。

祭りの屋台で買ったものを持ち帰ると、どんなリスクがある?

屋台の食べ物で気を付けたいのが、長時間の持ち歩き。

祭りに出かける際の注意事項として、各自治体がウェブサイト上でアラートを出すほど、リスクが高いようです。

発生する恐れのあるリスクと食中毒の種類について、茨城県つくば市の筑波胃腸病院で理事長を務める、鈴木隆二医師にうかがいました。

鈴木医師は、こちらの5種類の菌を挙げています。

食中毒の種類 食べ物 症状
黄色ブドウ球菌 たこ焼き・お好み焼きなどの粉もの。 嘔吐・腹痛・下痢。
ウェルシュ菌 カレーなどの大鍋で調理された煮込み料理・焼きそばなど。 水様性下痢・腹痛。
サルモネラ菌 焼き鳥などの、加熱が不十分な肉系・卵系。 発熱・下痢・嘔吐。
カンピロバクター 鶏肉やイカを使った食べ物。 激しい下痢・腹痛・発熱。
腸管出血性大腸菌(O157) 生野菜や、リンゴ飴などの果物を使った食べ物。 血便や腹痛。
重症化すると溶血性尿毒症症候群。

料理に使われた食材によって、発生する食中毒の種類が変わるものの、いずれも下痢や嘔吐、発熱などのつらい症状を伴います。

特に腸管出血性大腸菌は、腹痛・発熱・嘔吐に加えて、軽度の意識障害が起こる恐れもあるため注意が必要ですね。

気温と時間で、食中毒のリスクが急上昇!?

例として挙げられた屋台の食べ物が要注意なのは、なぜでしょうか。

鈴木医師によると、次の点から気をつけたほうがよいそうです。

鈴木隆二医師

屋台で販売される、たこ焼き、 焼きそば、 イカ焼き、 リンゴ飴などは、 常温で放置されたまま再加熱されずに食べられることが多く、食中毒のリスクが高いです。
特に気温30℃前後では、数時間で菌が爆発的に増殖する可能性があります。

気温25~35℃の持ち歩きで「2時間を超えるとリスクが急上昇する」とのこと。

夏は夕方以降でも30℃前後あり、秋口も夏日に戻ることがあるため、食べ物を購入したら、菌が増殖しないように気を付ける必要があるでしょう。

「購入したものをすぐに食べれば問題ない」と安心してしまいますが、屋台の食べ物は以下の点に注意しなければなりません。

・食材や料理の、保存温度管理が適切かどうかが分からない。

・作り置きをしている屋台だと、調理後の経過時間が不明。

屋台の写真

※写真はイメージ

購入前の段階で、すでに菌が繁殖し始めているかもしれず、「いつ作られたか分からない食べ物を、1時間程度持ち歩くだけでリスクが高まる」とのこと。

『19時に購入した焼きそばを、 帰宅した22時にレンジで加熱せずそのまま食べる』などが、食中毒の典型的なパターンだそうです。

特に黄色ブドウ球菌は、加熱しても毒素が壊れず残るため、 長時間持ち歩いた場合、火を通しても安全とは限りません。

そのため、屋台の食べ物は持ち帰らず、その場で食べることが推奨されています。

夏祭りでの食中毒の予防・対策法

屋台の食べ物を満喫するには、鈴木医師がおすすめする予防・対策法を実施してみてください。

・購入後、アツアツのうちにその場で食べる。

・どうしても持ち帰りたい場合は、保冷剤を入れた保冷バッグに入れる。

・持ち帰った後は再加熱が必須。食べ物全体がしっかり温まるまで加熱する。

・食べきれなかったら残さず処分する。

屋台の料理を持ち帰る必要がある場合は、保冷剤を入れた保冷バッグを持参し、しっかり冷やしましょう。

帰宅後は、食べる前に電子レンジで再加熱。食べ物の外側だけ熱く、中心部が冷たいままだと食中毒のリスクが高まるため、必ず全体がアツアツになるまで温めてくださいね。

また、保存に向いていない屋台の食べ物を残しておくのはNG。食べきれなかったら、「もったいない」と思わず処分することも大切です。

浴衣姿の女性の写真

※写真はイメージ

屋台の食べ物は持ち帰らずに、その場で楽しんで

お祭りやイベントでしか味わえない屋台の食べ物は、食べなれたものでも格別においしく感じますよね。

しかし、先述したように食中毒のリスクが潜んでいるので、購入後はできるだけすぐに食べてください。その場で食べれば、楽しい祭りを眺めながら、アツアツな一品を味わえますよ。

専門家が推奨する食中毒の予防・対策法を参考に、イベントを満喫しましょう。

鈴木隆二さんの写真

監修・取材協力 鈴木隆二医師

医療法人社団筑三会・筑波胃腸病院の理事長。
聖マリアンナ医科大学を卒業後、東京女子医科大学消化器病センターにて経験を積み、消化器外科等の診療に取り組む。
病院のウェブサイト


[文・構成/grape編集部]

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