知らずにやってた… 祭りの屋台料理、持ち帰りがNGな『納得の理由』【専門家監修】
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「食中毒って、夏のワードじゃないの?」 秋も危険な理由とは…【厚労省に聞いた】食中毒が発生するのは、夏だけではありません。 秋には秋ならではの食中毒があるのだとか。一体どういうものなのか、厚生労働省にうかがいました!

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祭りは、花火だけでなく、会場に立ち並ぶ屋台も見どころですよね。
屋台の食べ物は特別感があるため、「持ち帰って自宅でも楽しみたい」「家族のお土産にしよう」と考える人も多いでしょう。
しかし、屋台の食べ物の持ち帰りには、食中毒のリスクがあるため注意が必要です。
専門家による予防・対策法を解説するので、祭りに足を運ぶ予定がある人は参考にしてください。
祭りの屋台で買ったものを持ち帰ると、どんなリスクがある?
屋台の食べ物で気を付けたいのが、長時間の持ち歩き。
祭りに出かける際の注意事項として、各自治体がウェブサイト上でアラートを出すほど、リスクが高いようです。
発生する恐れのあるリスクと食中毒の種類について、茨城県つくば市の筑波胃腸病院で理事長を務める、鈴木隆二医師にうかがいました。
鈴木医師は、こちらの5種類の菌を挙げています。
重症化すると溶血性尿毒症症候群。
料理に使われた食材によって、発生する食中毒の種類が変わるものの、いずれも下痢や嘔吐、発熱などのつらい症状を伴います。
特に腸管出血性大腸菌は、腹痛・発熱・嘔吐に加えて、軽度の意識障害が起こる恐れもあるため注意が必要ですね。
気温と時間で、食中毒のリスクが急上昇!?
例として挙げられた屋台の食べ物が要注意なのは、なぜでしょうか。
鈴木医師によると、次の点から気をつけたほうがよいそうです。
屋台で販売される、たこ焼き、 焼きそば、 イカ焼き、 リンゴ飴などは、 常温で放置されたまま再加熱されずに食べられることが多く、食中毒のリスクが高いです。
特に気温30℃前後では、数時間で菌が爆発的に増殖する可能性があります。
気温25~35℃の持ち歩きで「2時間を超えるとリスクが急上昇する」とのこと。
夏は夕方以降でも30℃前後あり、秋口も夏日に戻ることがあるため、食べ物を購入したら、菌が増殖しないように気を付ける必要があるでしょう。
「購入したものをすぐに食べれば問題ない」と安心してしまいますが、屋台の食べ物は以下の点に注意しなければなりません。
・食材や料理の、保存温度管理が適切かどうかが分からない。
・作り置きをしている屋台だと、調理後の経過時間が不明。
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購入前の段階で、すでに菌が繁殖し始めているかもしれず、「いつ作られたか分からない食べ物を、1時間程度持ち歩くだけでリスクが高まる」とのこと。
『19時に購入した焼きそばを、 帰宅した22時にレンジで加熱せずそのまま食べる』などが、食中毒の典型的なパターンだそうです。
特に黄色ブドウ球菌は、加熱しても毒素が壊れず残るため、 長時間持ち歩いた場合、火を通しても安全とは限りません。
そのため、屋台の食べ物は持ち帰らず、その場で食べることが推奨されています。
夏祭りでの食中毒の予防・対策法
屋台の食べ物を満喫するには、鈴木医師がおすすめする予防・対策法を実施してみてください。
・購入後、アツアツのうちにその場で食べる。
・どうしても持ち帰りたい場合は、保冷剤を入れた保冷バッグに入れる。
・持ち帰った後は再加熱が必須。食べ物全体がしっかり温まるまで加熱する。
・食べきれなかったら残さず処分する。
屋台の料理を持ち帰る必要がある場合は、保冷剤を入れた保冷バッグを持参し、しっかり冷やしましょう。
帰宅後は、食べる前に電子レンジで再加熱。食べ物の外側だけ熱く、中心部が冷たいままだと食中毒のリスクが高まるため、必ず全体がアツアツになるまで温めてくださいね。
また、保存に向いていない屋台の食べ物を残しておくのはNG。食べきれなかったら、「もったいない」と思わず処分することも大切です。
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屋台の食べ物は持ち帰らずに、その場で楽しんで
お祭りやイベントでしか味わえない屋台の食べ物は、食べなれたものでも格別においしく感じますよね。
しかし、先述したように食中毒のリスクが潜んでいるので、購入後はできるだけすぐに食べてください。その場で食べれば、楽しい祭りを眺めながら、アツアツな一品を味わえますよ。
専門家が推奨する食中毒の予防・対策法を参考に、イベントを満喫しましょう。
監修・取材協力 鈴木隆二医師
医療法人社団筑三会・筑波胃腸病院の理事長。
聖マリアンナ医科大学を卒業後、東京女子医科大学消化器病センターにて経験を積み、消化器外科等の診療に取り組む。
⇒病院のウェブサイト
[文・構成/grape編集部]