『残業キャンセル』は権利?ワガママ? 社労士に聞いた、正しい働き方
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『#残業キャンセル界隈』といったハッシュタグを、SNSで見かけた人もいるでしょう。
これは、仕事が終わっていようがいまいが定時で退勤し、プライベートの時間を大切にする人たちの間で広まっている言葉。
上司からの残業依頼も悪びれることなく『キャンセル』して帰宅する、そんな新しい働き方の価値観を象徴しているようです。
「自分の時間を大切にする、素晴らしい考え方だ」と共感の声があがる一方で、「それは社会人としてどうなの?」と、戸惑いの声も聞こえてきます。
『残業キャンセル』は、どんな時でも胸を張って選んでもいいのでしょうか。
社労士「断っていい残業、ダメな残業があります」
そもそも、会社からの残業命令は、断っても問題ないのでしょうか?
大阪府茨木市で、社会保険労務士法人こころ社労士事務所を運営する、香川昌彦さんに話を聞いてみました。
――残業依頼を『キャンセル』して帰っていいのでしょうか。
大前提として、残業は『命令されれば絶対にやらなければならないもの』ではありません。
会社が従業員に時間外労働をさせるには、労働組合などとの間で『36協定(サブロク協定)』を結び、その範囲内で依頼する必要があります。
協定の範囲を超えた違法な残業や、必要性が曖昧な『付き合い残業』のようなものは、断っても法的にはなんの問題もありません。
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――断ると問題になるのは、どんなケースですか?
注意が必要なのは、会社側に『業務上の正当な理由』がある場合です。具体的には以下のようなケースが考えられます。
・絶対に納期を遅らせられない、取引先との重要な締め切り。
・大規模なシステム障害など、緊急のトラブル対応。
・その人がいないと、ほかの従業員の業務がまったく進まなくなってしまう状況。
このような、会社の事業に大きな影響を与えるような正当な理由がある場合、従業員は原則として残業命令を拒否することはできません。
――正当な理由がある残業を断り続けたら、どうなりますか?
正当な理由がある残業命令を、自己都合で繰り返し拒否していると、人事評価でマイナスの影響が出てもおかしくありません。
最悪の場合、就業規則違反として懲戒処分の対象になる可能性もゼロではないでしょう。
『残業キャンセル界隈』という言葉の響きだけを鵜呑みにして、なんでもかんでも拒否してしまうと、自身のキャリアに傷がつくかもしれません。
大切なのは『対話』
法律やルールも大切ですが、この問題の根っこにあるのは、上司と部下のコミュニケーションなのかもしれません。
上司は、なぜ残業が必要なのかを丁寧に説明するべきでしょう。
また、部下は、どうしても対応できない事情がある場合は、正直にそれを伝えて相談することが大切です。
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『命令だから』『権利だから』と一方的に主張し合うのではなく、お互いの状況を尊重し、歩み寄る姿勢が、気持ちのいい職場環境を作っていくのではないでしょうか。
定時で帰ることは、決して悪いことではありません。
ただ、時にはチームの一員として、協力することが求められる場面もあります。このバランスを上手に取っていきたいものですね。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]
監修・取材協力 香川昌彦
社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表社会保険労務士
大阪府茨木市を拠点に、就業規則の整備や評価制度の構築、障害者雇用や同一労働同一賃金への対応などを通じて、労使がともに豊かになる職場づくりを力強くサポート。
ネットニュース監修や講演実績も豊富でありながら、SNSでは「#ラーメン社労士」として情報発信を行い、親しみやすさも兼ね備えた専門家として信頼を得ている。
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