LGBT教育は道徳で?保健で?科学で?どこで扱うのか
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2018年から小学校、2019年から中学校で道徳の教科化が始まる。現在、作成中の教科書の中にLGBTの話が出てくるかどうか興味がある。先生とLGBT教育について話していると道徳教育の中で対処できるとおっしゃる方が多いからだ。確かにその通りなのかもしれないし、現段階では、それが現実的なのだろう。しかし、LGBT教育の話は道徳だけの領域なのだろうか。
LGBT教育に詳しい女子栄養大学客員教授の橋本紀子さんが、ある雑誌に寄稿されたコラムによれば、フランスでは「科学」の生物領域でLGBTの話を取り上げる。「女性、男性になること」という項目の中で、胎児の性決定の際、XX(男性)やXY(女性)など性染色体役割を説明する。そして、たとえXXでも女性の染色体をもち、女性の外見を備えた男性がいること(20000人に1人)に触れ、性的アイデンティティや性的思考についても解説する。歴史的、社会制度的な側面、生命倫理の点からなど様々な方向からLGBT教育が行われているようだ。
フィンランドでは、中学も高校も「人間生物学」と「健康教育」で扱っている。カップルと家族の項目では法的婚姻以外の事実婚、パートナー法に基づく同性同士の結婚などについて歴史的変遷をたどりながら説明している。
お隣、韓国でもLGBT教育は行われており、性教育の一環として保健、体育、家庭、道徳、生活と倫理の教科で扱われている。中学の「性と健康」という単元の中で、「時代の流れによって変化する性文化」で「同性愛差別の禁止」を取り上げ、「現在の韓国は、国家人権委員会法で同性愛者への差別を禁じている」との説明がある。高校では「性差別と性的少数者問題を理解し、これの克服に努める」と記され、他の会社の教会書ではゲイパレードの写真を掲載し、「一部の国では性的少数者の人権保障を主張する行為が公然と行われている」と記載されている。
橋本教授は、こうした世界のLGBT教育を比較しながら、「人間の多様性も含めた性教育は、人体に対する生理学等の科学的知見を前提に進めるべきで、日本は、その点が世界と見てもかなり遅れている」と述べている。
道徳だけではなく、科学的知見から子供たちがLGBTについて学ぶことで、「自分もそうなっていたかもしれない」、「誰にでも起こりえること」ということを理解し、それから道徳的な視点に移った方が理解度は高くなる。道徳教育で教えることはもちろん間違ってはいないし、道徳だけでも扱った方がいいことに異論はない。ただ、「おじいちゃんやおばあちゃんにもやさしくしよう」などといった「誰にでも優しく」といった扱いになると上辺だけで通り過ぎていってしまう可能性はあるだろう。
参考:「LGBT教育をどこで扱うか」橋本紀子(「体育科教育」8月号(大修館書店))
記:イシコ
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