がんを自在に操る病院がある? 医療関係者の仕掛ける『罠』に、ぞっとする
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医療の発達で、以前は「治せない」といわれていた病気も完治できるようになってきました。
「もう恐ろしい病気ではない」と、医者が太鼓判を押した病は数知れません。
しかし、目覚ましい研究成果は出ているものの、未だに「がんは、もう恐ろしい病気ではない」とはいえません。
「人の体を正常に形作る」制限を勝手に破って増殖していくことから、『悪性新生物』とも呼ばれるがん。
がん細胞には種類があり、それぞれに対策が異なるといわれています。
そんな治療が難しいがんをうまく利用しようとする病院があったら、どうでしょうか。防衛のできない私たちには、なす術がありません。
転移しないはずなのに、無数に散って育つがん。一方で、なぜかもたらされる『がんの消滅』という救い…もしかしたら、すでに実行されているかもしれない恐ろしい話です。
そんな『がんの可能性』を描いた作品をご紹介します。
「すべてのがんが消えた」謎から、真相にたどり着け
『がん消滅の罠 完全寛解の謎』は、2017年の第15回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品です。
著者である岩木一麻さんは、『国立がん研究センター』の放射線医学総合研究所で、研究に従事していました。
『国立がん研究センター』といえば、「がんになって、病院の情報を探していると必ず名前を目にする」といわれるほど、医療関係者やがん患者の間で有名な病院です。
『がん消滅の罠 完全寛解の謎』は、がん研究の最前線にいた岩木さんだからこそ書けた、圧巻の医学ミステリー!
【内容】
医師である夏目典明は、大学院で西條征士郎先生が辞職する前にいった「医師にはできず、医師でなければできず、そしてどんな医師にも成し遂げられなかったこと」という言葉が忘れられないでいた。
そんな彼のもとに、治る見込みのないがん患者が訪れる。夏目は余命半年と宣告をした。しかし、患者は生命保険の『生前給付金』を受け取ると、がんがすべて消える『完全寛解』が起こってしまった。
「自分のところで診た患者が、次々と『完全寛解』に至る不自然さ」から、夏目は友人たちと謎を追っていく。すると、懐かしい名前が…。西條先生の言葉の意味とは。そして、がんをコントロールする方法とは何なのか。
物語の中に、『リビングニーズ特約』という耳慣れないものが登場します。
これは、生命保険に付加できる『特約』で、保証内容を充実させるために契約することが可能です。
医師により、余命6か月以内と判断されると、保険金を受け取れるというもの。死亡保険金の一部、または全部を、3000万円を上限として生前に受け取れます。
患者は、生前給付金を使って悔いのないように残りの人生を過ごしたり、大切な人にお金を残していく安心感を得たりすることができます。
人間の寿命が延び、2人に1人はがんになる社会。
そんな時代の背景から生まれた『リビングニーズ特約』が、『がん消滅』と組み合わさるとどうなるのか。
物語には、生命保険会社に勤める森川雄一という男が登場し、「患者が末期がんを装い、生前給付金を受け取る詐欺ではないか?」と疑って奔走します。
はたして、夏目とその友人たちは、『がん消滅』の謎を解くことはできるのでしょうか。
生と死、社会問題、そしてもちろん、がんについてまで丁寧に語ってくれる『がん消滅の罠 完全寛解の謎』。一読して、病気と自分の人生について思いをはせたいものです。
下の動画も、ぜひご覧ください。
宝島社 岩木一麻 著 『がん消滅の罠 完全寛解の罠』
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[文・構成/grape編集部]