初の快挙!囲碁ソフト『銀星囲碁』が日本棋院のアマチュア最高段位・八段の免状を取得!
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ニンテンドーDSやPlayStationなどでも親しまれている人気の囲碁ソフト『銀星囲碁(ぎんせいいご)』が、日本棋院のアマチュア最高段位・八段の免状を取得したと、開発元のシルバースタージャパンから発表がありました。
『銀星囲碁』は、以前から世界最強囲碁ソフトとしてさまざまな大会に出場し、2002年にはプロ棋士より『初段』の認定を受け、その後は対局テストを重ねるたびに段数を増やし最近では『自称八段』を名乗っていました。一般的に市販囲碁ソフトについては、全てこの『自称』方式を採用しているんだそうです。
しかし、それでは正式とはいえないということで、日本棋院が通常では人に対してのみ行っている段位取得試験に挑戦させ、アマチュア最高位の八段の認定を取得することに成功しました。これは日本棋院史上、世界初のことだそうです。
発表によれば、試験は通常の人が受ける昇段試験方式ではなく、日本棋院が運営するネット対局サービスの『幽玄の間』で公開対局という形で行われたそうです。ここで七段(レーティングポイント3万2500)から対局を開始し、世界中の高段者からの挑戦を受け、50局以上対局を行った時点で、八段を示すレーティングポイント3万3000を超えたことで見事に昇段試験に合格したということです。
囲碁のコンピュータエンジンとしては、2016年に韓国のイ・セドル九段と対戦して大勝を果たした『AlphaGo(アルファ碁)』が有名ですが、今回『銀星囲碁』の能力を大きく向上させたポイントのひとつが『AlphaGo』のAI人工知能の技術である『ディープラーニング(深層学習)』の手法なんだそうです。
従来の囲碁ソフトの解析手法としては、乱数を用いたシミュレーションを何度も行う『モンテカルロ法』が主流でした。これだと解析的に解くことができない問題でも、十分多くの回数シミュレーションを繰り返すことにより、近似的に解を求めることができるという利点がありました。
その反面、乱数によるシミュレーションのため人間らしくない手が増えたり、解析に時間がかかっていたそうなんです。これを実際の対局データを学習させ、それをニューラルネットワーク(人の脳神経を模したネットワーク構造)の多層分析に通すことで、その中からより価値の高い結果のみを短時間で導き出す『ディープラーニング(深層学習)』によって実力を大きく向上させたということです。
ちなみに時を同じくして『AlphaGo』のほうからも『AlphaGo』をさらに進化させた『AlphaGo Zero』が誕生したとの発表がありました。
これまでの『AlphaGo』は』主に何千もの人間のアマチュアとプロの対局データを学習させて強くさせていたそうなんですが、今回はこのステップをスキップして『AlphaGo』が自分自身を相手にして対戦を何度も繰り返して強化データを作成したそうなんです。
レポートによれば、学習はゲームについて何も知らないニューラルネットワークから始まります。このニューラルネットワークと強力な検索アルゴリズムを組み合わせることによって、『AlphaGo』自体がゲームをプレイします。ゲームが進行するにつれて、ニューラルネットワークは、ゲームの最終的な勝者だけでなく、動きを予測するように調整され更新されます。
この更新されたニューラルネットワークは検索アルゴリズムと再結合されて、より強力な学習データが作成され、またセルフプレイゲームの品質も向上し、より正確なニューラルネットワークとより強力な学習データによる『AlphaGo Zero』が誕生するのです。
この技術は、もはや人間の知識の限界に制約されていないため、なんと!イ・セドル九段に勝ったバージョンの『AlphaGo』と対戦させたところ、『AlphaGo Zero』は100勝0敗だったそうです。
最近も自動運転を模索する中『譲り合い運転』を人工知能が自ら編み出したというニュースがありましたが、使い方さえ間違えなければ人間以上の知恵を編み出してくれる人工知能の進化に注目です。
[文・構成 土屋夏彦/grape編集部]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。