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「骨折だけで殺すとか…」 競走馬の安楽死を否定する人に知ってほしい思い

By - grape編集部  公開:  更新:

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部位は異なるものの、骨折により安楽死の処置がとられたディープインパクトとシャケトラ号。

なぜ、競走馬は骨折により安楽死しなければならないのでしょうか…投稿者さんの意見は以下のものでした。

理由は、簡単にいうと
『馬は歩けないと生きていけない』
からです。

馬は身体がとても大きい動物です。それ故に、心臓の働きだけでは全身の血流が上手くいきません。その助けをしているのが、脚なのです。

馬の蹄は裏面が柔らかくなっており、着地するときに広がり、地面を離れるときに収縮する、この作用を繰り返すことでポンプのような役割をしており、この作用により、古い血液を心臓に戻しています。これを『蹄機作用』と言います。

蹄機作用が正常に働かなくなるとどうなるか、勘の良い方ならわかると思いますが、古い血液が徐々に脚に滞るようになってきます。

自分の指に輪ゴムを巻いておくと徐々に指先が鬱血して青くなってきますよね?あの状態が馬の脚で起こるようになってきます。当然、骨折とは別の症状が出てきます。

そして当然それは痛みを伴うものになってきます。

結果、馬にとって痛い箇所が増えるだけ。そのまま悶え続け、餌も食べられなくなり、動く気力もなくなり、ただただ苦しみ続けて最期を迎えることになります。

it_keiba ーより引用

この意見を受け、中には「歩けないのであれば、寝かせておけばいい」という人もいることでしょう。

そうした疑問に対しても、投稿者さんは返答しています。

では、馬を寝かせておいたら?

これもダメです。下になっている部分が自身の体重に耐えられず壊死してきてしまいます。

馬は寝たまま寝返りをうつことが困難(できる子もいますが)なので、一旦立ち上がって反対側を下にする必要があります。

故に、骨折している脚では上手く立ち上がることが出来ない為、寝かせておくこともできないのです。

もし人間なら、言葉が通じますので『安静にしていてください』の一言でいくらでも治療が進みます。

犬や猫は言葉は通じませんが、身体が軽い為、こちらもいくらでも治療のしようがあります。

でも、馬はそうはいかないのです。

蹄機作用があることを、馬自身は知りませんし、伝える術もありません。
痛いから動かない、もしくは痛いから暴れる、しかできないのです。
そしてその先に待つのは症状の悪化しかありません。『現状維持』すらできないのです。確実に、『悪化』の道しかありません。

自力で脚を着ける程度の骨折であれば、治療を選択するはずです。事実、今回安楽死の処置をされたシャケトラは、骨折から復帰していますから。

今回は、そうではなかった、ということです。

随分長くなってしまいましたが、これが、馬が骨折したときに安楽死の処置をされる理由です。

it_keiba ーより引用

一連の投稿を「どうか知識として知っておいてください」と語る投稿者さん。

そこには、こんな思いがありました。

どうか、馬屋で働く人達の気持ちを軽視するような発言はしないでください。

誰よりも、 『安楽死なんてさせたくない、助けてやりたい』

って思っているのに、それが出来ないことを知っているし、受け入れなければならないのですから

どうか、よろしくお願い致します

it_keiba ーより引用

命に関する問題だからこそ、さまざまな意見があって当然です。安楽死を選ぶことが「正解」ともいいきれません。

ただ、「安楽死を選びたくない」という思いを強く抱いているのは、ほかの誰でもない競走馬をそばで見守ってきた関係者の人たちです。

しかし、苦しませたまま生かすのも、それこそ人間のエゴのように思えます。

安楽死を選ぶに至るまで、私たちには分かり得ないさまざまな葛藤があったはずです。

そうした思いを想像すると、安楽死に対する見かたも、変わってくるのではないでしょうか。


[文・構成/grape編集部]

出典
it_keiba

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