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森羅万象とどうつながっていくか 本来持ち続けてきた『自然(じねん)』の感性を意識する

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

『自然(じねん)』を生きるということ

日本は、実に災害の多い国です。地震、台風、火山の噴火。それに加え近年ではゲリラ豪雨、線状降雨帯がもたらす災害に見舞われるようになりました。

地球温暖化、気候変動が原因なのでしょうか。自然が激しくなっている……のでしょうか。大雨による河川の氾濫や土砂崩れなどは、治水や植林なども原因の一つになっているのではないかと推測します。

自然が本来あるべき姿を、人間の都合の良いように作り替える。もちろん、それが功を成していることもあるのですが、必ずしもそれだけではないように思えます。

自然とどのように共に生きていけばよいのか。日本人は、環境問題以前に自然と共に、自然と調和をはかりながら生きてきました。

自然に生かされている。森羅万象の中に神を見出し、感謝と祈りを捧げました。四季の移ろいの中の美しさも儚さも味わい、花鳥風月を愛で、それを伝統文化として昇華させてきました。

西洋の絵画には宗教画が多いのに比べて、日本の絵画には自然を描いた作品が多いことにも現れています。

日本にはもともと自然(じねん)という考え方がありました。これは「あるがままの状態」「自ずから然(しか)らむ」という仏教的な思想から来ています。

私たちは森羅万象の一部であると考えられてきました。

 『自然(しぜん)』という言葉は、19世紀末に入ってきた英語『Nature』の訳語です。西洋では、キリスト教的な世界観の中での 『自然(しぜん)』は、人間がコントロールするべき野生であると考えられています。

天地創造したのは唯一神であるからです。ここが日本の自然に対する捉え方と西洋の捉え方の違いです。

現代の日本人はどうでしょうか。本来持ち続けてきた『じねん』の感性を意識する時ではないかと思えてなりません。

森羅万象とどうつながっていくか。すべては『与えられたもの』。私たちはその恵みによって生かされている。こう考えると、思わず頭を垂れたくなります。

日本は、天災による破壊と復興を繰り返してきました。それが日本人の忍耐強さにつながっているとも言われています。

その根底には、自然(じねん)という意識が深く根差していたからなのかもしれません。それは、私たちの遠い記憶や遺伝子に受け継がれてきた優しさであり、謙虚さであり、愛なのだと思います。

※記事中の写真はすべてイメージ


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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