【『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』第6話】福田靖が描く脚本の魅力とは
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ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんが、2023年4月スタートのテレビドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系)の見どころをつづります。
現在放送中のドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(毎週木曜よる9時)。
サスペンスとユーモアを組み合わせた軽快なスタイルで描かれるドラマで、主人公の仲井戸豪太(桐谷健太)は、最近では重要視されているコンプライアンスなどにはあまり気を使わず、「とにかく犯人を逮捕して被害者から感謝されたい」という熱心な元体育教師の刑事である。
脚本は『オールドルーキー』(TBS系)、『まんぷく』(NHK)、『龍馬伝』(NHK)、映画だと『容疑者Xの献身』などを手がけた福田靖である。
「人生を描く」福田靖脚本の魅力
彼の脚本には社会的や心理的なテーマがあり、人間の関係や社会の問題について考えさせられる要素が含まれており、特に人生の挫折や成功を描く作品が印象的だ。
『オールドルーキー』ではサッカー選手として挫折した主人公が、裏方のスポーツマネジメントにやりがいを見つけ、スポーツ選手たちを支えるというストーリー。
主人公の辛い挫折の経験や、新しく歩む道での葛藤、やりがいを見つけ情熱で溢れていく姿を見ることができる。
同様に連続テレビ小説『まんぷく』も、インスタントラーメンを世界で初めて開発した日清食品の創業者・安藤百福と妻をモデルとした物語であるが、開発するまでの苦難や喜びを描いている。
見る側の受ける印象としては、どの作品も不思議と『元気が出る』作品であるということ。
その理由はきっと、『人生を一生懸命に歩む』主人公が描かれているからではないだろうか。
『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』これも同様である。
元体育教師の仲井戸はデリカシーもなく、刑事として光る才能も今のところないが、捜査の一つひとつに一生懸命であることが伝わってくる。
特に取り調べシーンは、被疑者に厳しい反面、若者には諭すように語りかけるところも、なんだか自分に言われているような気持ちになり、また、仲井戸に親近感を持つことができる。
そんな人の情熱や人間らしさを感じることができるのが福田靖脚本の良さではないだろうか。
『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』福田靖と俳優陣の相乗効果
もう一つ、彼の作品で特徴的なのはテンポの良い会話劇である。
『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』ではシリアスなシーンもありながら、笑いを誘う場面が豊富に含まれている。
性格も様々で個性溢れるキャラクターが多く描かれていることに加え、キャラクターの間の掛け合いやコミカルなシチュエーション、言葉選びにセンスが光る。
ストーリーの展開や会話のテンポが速く、リズミカルであることがわかるだろう。
素早いジョークや二転三転する展開が視聴者を惹きつける良さであると思う。
そんなテンポを魅力とした福田靖脚本では俳優陣の演技力が重要だ。
タイミングの良い演技や表情、身振りなどが笑いを生み出す要素となる。
本作に出演する俳優は表情や身振り、会話のトーンといい、どのキャラクターもしっかり演じられている。
事件だけでは重くなるところを、仲井戸や目黒(磯村勇斗)、仲井戸の妹(比嘉愛未)との会話でクスッと笑いを誘うことで、視聴者を飽きさせない工夫がほどこされている。
福田靖脚本の良さと俳優陣の演技の相乗効果が生まれることでドラマが成立しているといってもいいだろう。どちらかが欠けていても成り立たないと思う。
これらの要素が組み合わさったドラマは、視聴者に楽しい時間を提供し、娯楽を与えてくれる。
『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』の視聴者を引き込み、各回、「明日からまた頑張ろうかな」そんな心軽やかな気持ちにさせてくれるところが素敵だ。
第6話でぐっと近づいたように思える、二階堂(北村有起哉)と、みなみの心境の変化も気になるところである。恋愛要素も含んだ本作の今後の展開にも注目だ!
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[文・構成/grape編集部]