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磯村勇斗は何にでも変化する職人肌 『クジャクのダンス、誰が見た?』第3話考察

By - かな  公開:  更新:

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『クジャクのダンス、誰が見た?』の写真

SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。

2025年1月スタートのテレビドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。

かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。

昨今、身内に限らず、友人でも同僚でも、そして推しの対象としても、人を信じることが難しくなっていると思う。

SNSが当たり前になり、それぞれが感じた感情が『言葉』として、証拠のように残る。

写真や動画で生活や人となりを多少盛って演出することも容易だし、虚飾を暴いて拡散することも同様に容易になった。

自分の知らないその人の側面を知った時、それが自分が想定したものとは違う時、私たちはその感情とどう向き合えばいいのか。

そのことを強く感じた『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)第3話だった。

殺された父・山下春生(リリー・フランキー)が娘の心麦(広瀬すず)に残した手紙には、逮捕された被疑者・遠藤友哉(成田凌)は冤罪だと書かれていた。

手紙に書かれた父の願いで、友哉の冤罪を晴らすために弁護士の松風義輝(松山ケンイチ)を訪ねて事件を調べ始めた心麦は、父の死が20年前に起きた一家殺人事件に関係していることを知る。

更に事件を嗅ぎ回る週刊誌の記者・神井(磯村勇斗)から、自分が父母の実子ではないことを示唆された心麦は激しく動揺する。

『クジャクのダンス、誰が見た?』の写真

ここまで3話見ていて、かなり原作準拠で誠実に、空気感まで含めて丁寧に作られていることを好印象に感じる。

だからこそ、原作に加味して描かれているドラマのオリジナル要素を興味深く見ているのだが、そのうちの一つが週刊誌の記者・神井を演じる磯村勇斗の怪演である。

『クジャクのダンス、誰が見た?』の写真

原作の神井もぶしつけで、一見したところはいわゆる『マスゴミ』を体現しているようなキャラだが、ドラマの神井は更に三つくらい輪を掛けて胡散臭い。

とりわけ2話、編集部で「誰だと思ってんですか?神井ですよ?みんな知りたくないんですかねえ?真実を!」とニヤニヤ笑って言い放つシーンは最高に薄気味悪く、印象に残った。

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真実を暴くということが単純な正義ではなく、ある種の強い暴力性を伴っていること、そして神井自身がその暴力性を自覚しながら突き進む狂気を感じるいい場面だった。

磯村勇斗は、何にでも変化する職人肌の俳優だと思う。

出世作は特撮、そして連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)のヒロインの恋人役で更に知名度を上げた。

その後は凶悪な不良や、やさぐれ感が愛おしいゲイ、そして最近では『不適切にもほどがある!』(TBS系)でのムッチ先輩と秋津真彦の二役と、ありとあらゆる役を素の痕跡を残さず見事に演じている。

ダークな役になると絶妙な色気を醸し出すところは、綾野剛を彷彿とさせる。

今回の神井もまた、彼の千変万化なキャリアを更に格上げする役の一つになることは間違いないだろう。

『クジャクのダンス、誰が見た?』の写真
『クジャクのダンス、誰が見た?』の写真

父、伯母、そしてラーメン屋の染田(酒井敏也)。

自分を取り巻く人々の嘘、欲、秘密に翻弄されて深く傷ついた心麦は、今回のラストで松風が作ったちくわ入りカレーをきっかけに父への信頼を取り戻す。

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父がついていた嘘も秘密も直視して、飲み込んで、自分に注いでくれた愛情を一途に信じる。

そのスイッチは命の根源である『食べること』『食べさせること』の記憶だった。

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「松風さん、覚えといてください。私の言うことの証人になってください」と心麦が宣言する言葉はドラマのオリジナルである。

まだ子供っぽくて、強がりの痛々しかったヒロインの中に、愛情の記憶が一本の強い筋を通す。

心震える、感動的なシーンになった。

『クジャクのダンス、誰が見た?』の写真

今回、物語の鍵を握る人物として検察官の阿南由紀(瀧内公美)が登場している。

彼女は誰かに電話をして、事件の進捗状況をこっそり報告しており、それは警察とは別の権力が今回の冤罪をコントロールしようとしていることを意味している。

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過去を覆い隠したい、そして現状を維持しようとする強い力が、心麦と松風、そして友哉に襲いかかろうとしている。

目指すクジャクの森は、まだ遠い。

『クジャクのダンス、誰が見た?』第3話あらすじ

『春生(リリー・フランキー)の手紙を偽造した』と供述したラーメン屋台店主の染田(酒井敏也)。

『クジャクのダンス、誰が見た?』の写真

一方、松風(松山ケンイチ)は友哉(成田凌)の弁護人となった。そして、記者・神井(磯村勇斗)から春生と友哉の動画を手に入れる。

そこには、事件を覆す衝撃的な春生の告白が記録されていた。

何も知らない心麦(広瀬すず)は染田のラーメンを食べに行くも、そこには憔悴した染田がいて…。染田の脳裏には後悔の人生が蘇り…。

『クジャクのダンス、誰が見た?』は、『TVer』で最新話を無料配信中。動画配信サービス『U-NEXT』『Netflix』では、最新話まで全話配信中です。


[文・構成/grape編集部]

かな

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