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顔は笑顔でも目が笑わない、瀧内公美演じる検察官が切ない 『クジャクのダンス、誰が見た?』第6話

By - かな  公開:  更新:

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『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。

2025年1月スタートのテレビドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。

かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。

「私を信じてください」と言った時の松風(松山ケンイチ)のまっすぐな視線が、ドラマ全体の分水嶺(ぶんすいれい)だった。

前回も同じようなシーンがあった。遠藤友哉(成田凌)に皮肉を言われた松風は、内面の迷いから一度視線を落とし、結局は友哉の信頼を得られない。

しかし、今回の二人の対面は、弁護してあげる側と弁護してもらう側の関係から、互いに対等な立場として希望を探す共闘へと転換する素晴らしい場面になった。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

クリスマスイブに殺害された父・山下春生(リリー・フランキー)は、娘の心麦(広瀬すず)に自分を殺害した容疑で逮捕された青年・遠藤友哉は冤罪だと手紙を残していた。

父の手紙を信じ、弁護士の松風とともに事件を調べ始めた心麦は、父の殺害に20年前の一家殺人事件が深く関わっていることを知る。

二つの事件を覆った闇は深く、検察や警察内部にも不審な動きがある中、心麦は検察官の阿南由紀(瀧内公美)に呼び出される。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

原作もドラマも、この作品の面白さは、森の中を迷っているかのような、同じ所をぐるぐる回る感覚だと思っている。

全体的に展開はじっくりと遅め。

そして主人公の心麦も、寄り添う松風も特殊な能力などない普通の人である。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

松風と相棒の波佐見(森崎ウィン)の調査の手段は、まともかつ地味で現実に即している。

今週、新たに判明した事実としては、一つは阿南がやりとりをしている謎の男は、おそらく彼女の父親で、法曹の世界の人間であるということ。

林川歌と心麦は別人だということ。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

しかしこの情報については、スマホの写真二枚だけが手がかりであり、真実と断定できるものかは疑わしい。

そして、今回、生前の山下春生が裁判を傍聴していた事件の弁護士として鳴川徹(間宮啓行)が登場する。

関西弁で陽気にまくし立てる、圧の強い男を舞台を主戦場とするシェイクスピア劇の名優・間宮啓行が演じる。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

ここで当然、暗躍するカラビナ付きリュックの男との関連を疑いたくなるが、リュックの男は鷹揚な口ぶりの標準語であり、鳴川のまくし立てるような関西弁とはいまいち結びつかない。

鳴川のあっけらかんとした明るさは、心強い味方が登場したように思える。

ただ、なぜ春生が鳴川が弁護する裁判を見に行っていたのか、その理由は未だに分かっていない。なにげに引っかかるところだ。

今回はエリートとしての道を歩む検察官・阿南由紀の事情がじっくりと描かれている。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

阿南は心麦と松風に立ちはだかる、いわば敵側の人物ではあるが、その生い立ちと苦悩は多くの女性の共感を呼ぶであろうキャラクターである。

婚外子として愛人の母親とエリートの父の間に生まれた阿南は、典型的な『お前が男だったらよかったのに』な女だった。

精神的にも金銭的にも自立せず、男の愛と財産を頼りに生きる母親を嫌悪しながらも、それでも見捨てることが出来ない。

仕事中にかかってくる母からの贈答品選びの電話を下らないと苛立ちながらも、すぐに切ることが出来ない。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

過去には母の依存を振り切るように同僚の検察官と結婚したものの、『愚かな女はごめんだが、自分より優秀な女はもっとごめんだ』という男の隠されたエゴに深く傷つく。

両親の愛という土台も、自分を評価する軸も不安定なまま、強さを装って生き抜こうとする彼女の姿は、未熟でも父の愛を信じ父親の過去に対峙しようとする心麦とは対照的だ。

友哉と松風、心麦と阿南。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

それぞれ父親との関係に揺れながら、子として、一人の大人として、彼らは事件に向き合おうとしている。

今回、心麦は林川歌ではないと分かったことで、過去をめぐるパズルのパーツが一つ、外れてしまった。

シンガポールにいる林川歌の話は真実なのか、もし真実でないのなら、そこまでして林川歌の存在を誤魔化そうとする理由はなんなのか。

『クジャクのダンス、誰が見た?』場面写真

依然謎を覆い隠す森は深いが、時折光もさす。

ここからのクライマックスを楽しみにしている。

『クジャクのダンス、誰が見た?』第7話あらすじ

『自分は林川歌ではない』と確信した心麦と新たな協力者の弁護士・鳴川。だが、2人は神井から心麦の母子手帳の写真を見せられる。

そこには、手紙に名前のあった『阿波山京一郎』と『高畑まのか』の名前が…。心麦は松風と会いに行くことに。そこで心麦は封印されていた衝撃の家族の秘密を知ることになる。

そして、そのことによって真実の『代償』が容赦なく襲いかかる。

『クジャクのダンス、誰が見た?』は、『TVer』で最新話を無料配信中。動画配信サービス『U-NEXT』『Netflix』では、最新話まで全話配信中です。


[文・構成/grape編集部]

かな

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