大学の修了制作で作った『木彫り』作品 大反響のワケに「思わず合掌してしまった」
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「三度見した」「これはバグってる」 花見のために買った『三色団子』に、20万人が驚愕三色団子を片手に、花見を楽しんでいた、@WT_nekoyanagiさん。 2025年4月7日に、花見の様子をXに投稿したところ、20万件以上の『いいね』が寄せられ、大きな反響を呼びました。

「猫を作ります」 完成した木彫り作品に「いや、天才すぎる」「普通に涙が出た」「完成しました」というコメントを添えて、Xに木彫りの作品を公開したのは、鑄(@CopperAndHammer)さん。 動物をモチーフにした数多くの作品を制作しており、たびたび話題になっていました。
- 出典
- @ne_ne_wood
木材を彫って形や模様などを作る、木彫り。
寺院などを訪れた際、木彫りで作られた仏像を目にしたことがあるのではないでしょうか。
手や足など体の各パーツだけでなく、表情まで細かく作り込まれており、見ているだけで圧倒されますよね。
木彫作家が学生時代に作ったのは?
2025年3月に、京都府南丹市にある京都伝統工芸大学校の仏像彫刻専攻を卒業した、濱里(@ne_ne_wood)さん。
同年2月末、同大学での修了制作として完成させた木彫り作品をXで公開すると、たちまち反響を呼びました。
仏像でも種類はいろいろありますが、濱里さんが学生時代の集大成として選んだモチーフは…。
仏法を守護する『八部衆』の1柱を表現した、3つの顔と6本の腕を持つ阿修羅像でした!
指先の爪や顔のパーツ、胸飾りまで細やかに彫られており、『力作』というほかありませんね。
濱里さんによると、頭部から足にかけては1つの木材から彫り出しているとか。左右の腕は別の木材で作られており、取り外し可能だそうですよ。
木彫りの阿修羅像には、1万件を超える『いいね』が付き、このような声が寄せられていました。
・思わず合掌してしまいました。
・すごく御利益がありそうな阿修羅像ですね!
・素晴らしい才能ですね!実物を見てみたいです。
この阿修羅像からは、濱里さんの並々ならぬこだわりが感じられますよね。
では、制作の際にどのような点に苦労したのでしょうか。grapeは、濱里さんに話をうかがいました。
阿修羅像の制作で苦労したこととは…
――制作の際、特に苦労したことはありますか。
奈良県奈良市にある興福寺の阿修羅像をモデルにして作ったのですが、興福寺の像は脱乾漆造りという技法で作られていて、木ではないのです。
そのため、木材という別の素材を使ってどのように表情を表現するかを考えながら彫刻しました。
――木彫りならではの魅力はなんだと思いますか。
木彫りの魅力としましては、職人自身で刃物を研ぐところから始まり、一刀一刀に神経を研ぎ澄ませて彫刻するので、完成品から伝わる荘厳さがあると思います。
大学卒業時には「卒業後は、伝統工芸を未来へつないでいく人間になりたいです」と強く語っていた、濱里さん。
2025年4月13日現在は、岐阜県の北部に位置する高山市で、木彫りの修行を行っているそうです。
近い将来、伝統工芸の継承者として、阿修羅像のようにたくましい背中を我々に見せてくれることでしょう。
[文・構成/grape編集部]