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「アニー」が心機一転!愛され続けるミュージカルに新しい風、見どころを『悪役』に聞く

By - grape編集部  公開:  更新:

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2017年4月22日より、新国立劇場でミュージカル『アニー』が開演します。

今年の公演にあたり、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』などので知られる、山田和也さんが16年ぶりに演出家が変わりました。新演出家のもと翻訳台本、編曲、振付、舞台美術、衣裳なども一新しパワーアップを遂げます。

1977年のブロードウェイでの初演から40年、現在でも世界各国で公演が行われているミュージカル。

時代を越えて多大な人気を維持し続けているのは、なぜなのでしょうか?新しい『アニー』の魅力に迫ります。

時代が変わっても、変わらないもの

『アニー』の歴史は、100年も前にさかのぼります。始まりは1927年より新聞に連載されたハロルド・グレイの漫画『小さな孤児アニー(Little Orphan Annie)』。

そこから50年にもおよぶ連載を経て、1977年にブロードウェイで、ミュージカル化されたのです。

ミュージカルの監督と歌詞を務めたマーティン・チャーニンさんによると、『アニー』が40年ものあいだ色あせなかった理由は、不変のテーマがあるからだと語っています。

時代を越えて、子どものみならず大人にも共感を得つづけていたのは、(登場するキャラクター)全員が、実在しそうな人たちだからです。

5世紀にも、15世紀にも、21世紀にも人生に楽観的な人たちもいれば、いじめっ子もいる。もちろん、アニーのような性格を持つ人も。

Variety ーより引用

そして『アニー』と言って思い浮かべるのは『トゥモロー』。ミュージカルを観ていない人でも、一度は耳にしたことがあるであろうあの曲は、「明日はきっと良くなる」という希望を訴えかけています。

信じていればきっと良くなるというメッセージも、時代に関係なく支持され続ける理由かもしれません。

新キャストが語る『アニー』の見どころ

公演に先立ち、ルースター役に抜擢された俳優の青柳塁斗さんに突撃。キャストから見た、新しい『アニー』の魅力を伺いました。

――『アニー』出演のオファーをもらった時の気持ちを教えて下さい

初めて呼ばれたときは「あのアニーに出るんだ」と感無量でした。ミュージカルがあまり上映されない、地元の北海道の友人からも「アニーに出るんだ!」と言われるほど、大きな作品に出るということが驚きで、実感がわくまで時間がかかりました。

今までは、ミュージカルよりアクションやダンスのある舞台を多くやっていて、王道のミュージカルの経験は比較的少ないです。それに自分が出るとなって、最初はどう受け止めていいか分からなかったのですが、日に日に実感が増してきました。

――ルースター役をやることについて、どんな想いを持っていますか?

ミュージカルに出られている方が多くいて、僕がこのような大役をいただけるのは、ほぼ初めてなので、「青柳塁斗ミュージカルもできるんだ」と思っていただけるように頑張りたいと思っています。

長期間あるので、今から2週間やって、夏の公演もあるので、声をからさないようにするのも大事にしたいと思っています。体力勝負で、誰ひとり欠けては作れないので、常に気を張ってやらなければいけないと思っています。

――ルースターの役柄について教えて下さい

マルシアさん演じるハニガンの弟役で、昔から貧乏な家庭に育って、お金にがめつくてずる賢い男です。その姉貴のハニガン、彼女役のリリーがいて、この3人でアニーを利用してお金を捕ろうとしているんです。怖い所もあるんですが、オチャメな『愛されキャラ』という面も持っています。

――ダブルキャストとなるアニー役の野村里桜(のむら りお)さんと会百花(かい ももか)の印象は?

ふたりは普段から明るくて元気で『根っからのアニー』です。りおちゃんはパワフルで、子どもならではの表情をみせるタイプです。ももちゃんは1歳年上なんですが、繊細なお芝居をします。そしてみんなとコミュニケーションをとってくれます。

歌い方や声質にも違いはあるんですが、僕は表情の違いに印象を持っています。りおちゃんだったら体全体で表現してぶつかってきますが、ももちゃんの場合は自分の感情を、細かいところまでみせてきます。

どちらにも独特の特徴があって、どちらも面白いんです。なのでお客様も2回来て、2度楽しめますよ。役者の立場からしても、ふたりそれぞれ違うので、常に新鮮な状態でお芝居ができます。

――他のキャストはどうですか?

僕の姉貴、ハニガン役のマルシアさんも、いじわるとかをする役でもありますが、引っ張ってくれます。歌もとても上手で、ダンスもできて…なんでもできるんです。とても頼りになっています。

藤本さんは口数は少ないですが、背中で語るタイプです。常に笑顔で見守っていてくれて、やるってなったときに肩をたたいて「がんばろうな」と言ってくれます。

――稽古場での空気はどんな感じでしたか?

子どもたちがいるおかげで、みんな笑顔が絶えない現場でした。そして子どもたちからは、舞台に立てる嬉しさやお芝居の楽しさが伝わってくるんです。それでいて、歌もお芝居もあの年齢でできるのはすごいことで、刺激をもらっています。

――子どもたちはイタズラをしたりするんですか?

イタズラしていましたよ。「これ解いて!」と、とてもむずかしいクイズを突然紙に渡されたりしました。控室で着替えている時にも構わず入ってきたりするくらいのやんちゃです。

ストレッチのために寝っ転がっている時に、僕をまたいで追いかけっこをしたりもしていました(笑)

長く愛された作品を、より多くの人へ

――なぜアニーは40年間、世界中で愛され続けてきたと思いますか?

これは観た瞬間に分かると思うんです。稽古場でもこの話題になって「これは40年やるよね」と言ってました。

脚本そのものも素晴らしいし、曲は絶対聞いたことがあるし、舞台観てないけど『トゥモロー』だけは知っていたり。それだけ歴史があって、みんなの印象に残っているんだと思います。

内容だけではなくて、内容の中にある奥深い夢と希望と元気を与える、そして作品になって、曲も良くて、笑いを与えられるということで。これは観たら本当に分かると思います。

――過去の作品とはどう向き合いますか?

今回は演出家の山田和さんのもと、心機一転するということなので、僕たちから新しいキャラクターを作れると考えています。

固定概念なしで作っていけるから、難しい部分もあるかもしれませんが、自分から発信できるという楽しさはあります。

――どういうルースター像をつくろうと思っていますか?

個性あふれるベテランの役者さんに囲まれているので、自分も個性が出せるようにしたいと思います。悪役でも、どこか憎めない所をみせていきたいと思います。

そして子どもたちも見る作品なので、おちゃらけた側面も出しながら、お客さんに笑ってもらいながらも「カッコいい」と思ってもらえたらなと思います。

――最後に、読者にメッセージをお願いします

4月は、新生活など、多くの人の環境が変わる時期だと思います。息抜きにアニーを観に来ていただければ、元気をもらうことができると思います。夢と希望の詰まった作品なので、パワーとエナジーを与えられたらなと思っています。

たくさんの子どもたちが出ているので、自然と笑顔になれるものがアニーだと思います。

疲れたら見に来て、いつの間にか笑ってたなって思える作品ですので、ぜひお友達と一緒に来てほしいなと思います。


40年間愛され続けてきたミュージカル『アニー』は2017年、新しい風が吹き込まれます。懐かしいのに全く新しいミュージカルが、4月22日に開幕しています。「1度観れば感じるスゴさ」あなたもぜひ感じてみてください。

丸美屋食品ミュージカル アニー
新国立劇場 中劇場
2017年4月22日(土)~5月8日(月)
全席指定:8,500円(税込)

青柳塁斗
1990年3月29日生まれ。
自身をラーメン好きの大食いと語る青柳さん。ですが、2017年に入ってからは体調のために1度もラーメンを食べていないのだとか。ずっと我慢しているが、いつ解禁するか、逆に悩み始めている。


[文・構成/grape編集部]

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