電柱から降りられない猫を助けた作業員が停職処分に 人々が会社に猛抗議
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アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアで電話会社『Verizon』の技術者をしているモーリス・ジャーマンさんは、屋外で仕事をしていました。
すると、近所の住民が彼に声をかけてきたのです。
「うちの猫が電柱に登ったまま降りられなくなっています。助けてもらえませんか?」
海外メディア『CBS Philly』によると、『マンマ』という名前の猫が12時間近く電柱のてっぺんで震えていたのだそう。飼い主はアニマルレスキューや消防隊員にも助けを求めましたが、うまくいかなかったといいます。
それを聞いたモーリスさんは作業用のクレーンを使ってマンマを助けてあげました。
猫を助けた男性が停職処分に
マンマは無事に飼い主の元に返され、ハッピーエンドとなるはずでした。
ところがこの一件によって、モーリスさんは会社から3週間の停職処分をいい渡されてしまったのです。
Verizonによると、モーリスさんがマンマの救出のために使ったクレーン車は、マンマがいた場所では使用が許可されていなかったということ。
モーリスさんは「規則を守らず、従業員と顧客の安全をおびやかした」として、処分の対象となってしまったのです。
Verizonの担当者も「我々も喜んで処分を下しているわけではありません」としながら、「不運なことに、この従業員の目的は称賛に値するものでしたが、彼は自らの命と周りにいた人たちを危険にさらしたのです」とコメントしています。
するとこの処分について知った、マンマの家の近所に住むアマンダさんという女性がVerizonに猛抗議。『CAT’S LIVES MATTER(猫の命は大切だ)』というメッセージとモーリスさんへのサポートを示し、この出来事の拡散をFacebookで呼びかけました。
投稿を見た人たちからは「Verizonの契約をキャンセルする」「この男性は報酬を受け取るべきよ。Verizon、態度を変えなさい」といったコメントが多く寄せられています。
ところがその中にVerizonの従業員のコメントがあり、今回の出来事についての背景を詳しく説明しています。
あなたは誤解しています。モーリスさんは猫を助けたから処分を受けたのではありません。彼はいくつかの重大な安全規定を破ったのです。このルールは特に彼自身の命を守るためのものなのです。
我々は過去2年間に、似たような状況で2人の作業員の命を失いました。彼らは感電死したのです。
弊社の技術者は高所にある電線の扱いについての訓練を受けていません。今回のケースではモーリスさんは危険な電線に触れる必要がなかったのでしょう。
あなたがたが我々の従業員に対して行っていることに感謝しています。しかしながら、私たちは今後も世間からどのような非難を浴びようと、我々の従業員の命のために同じ選択をするでしょう。
幸い今回のマンマの救出では誰もケガをしませんでした。しかし、Verizonの担当者のいうとおり、近所の住民やモーリスさん本人がケガをする可能性があったのは事実です。
一方でモーリスさんが助けてあげなければ、マンマの命がおびやかされていたかもしれません。
アマンダさんはモーリスさんのために寄付金サイトを立ち上げ、多くの人たちの寄付によって数日で目標金額に達しました。この寄付金は3週間も仕事ができないモーリスさんにとって大きな助けとなることでしょう。
今回のことにモーリスさんが落ち込むことなく、これからもその優しさをもったまま、自身と周りの人たちの安全を第一に考えて仕事をしてもらいたいですね。
[文・構成/grape編集部]