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「『勝手口』がわからない…」 若い人達に覚えて置いて欲しい言葉

By - 押阪 忍  公開:  更新:

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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。

ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。

勝手口が判らない…

お盆の8月です。夏のご挨拶の時季でもあります。長年の生活習慣のお気持ちが、宅配便で届けられる月でもあります。

ところで、拙宅には正面玄関と勝手口かってぐちがあります。昭和時代までは新築の際、敷地に余裕があると、お客様を迎える正面玄関と、郵便受けが付き、日常買物などで出入りする勝手口を別々に設けたものです。

拙宅は東南の角地かどちで、南に正面玄関、その南の角を曲ってすぐの東に、勝手口があります。

さて、きょうのお話ですが、先日正面玄関のブザーが鳴りました。お客様と思い「誰方どなたでしょうか?」と尋ねると「宅配便で~す」という若者の声…。

「悪いけど、先の角を曲って勝手口に来て下さ~い」
「えっ、かってぐちですか?」
「そうです!」
「かってぐちって判りません」
「え?判らない? 左の角を曲った所に別の出入口があるから、そこへお願いしま~す」
「ハ?ハイ!?」

家のあるじは、先廻りをして勝手口に廻り、その若者を待ち受けました。

22〜23歳位の青年でした。荷物を受け取り、

「ハイ、ご苦労さん、勝手口って判らなかった?」
「え~、知りませんでした」
「留学生ですか?」
「いえ、日本人です」
「何年ぐらい勤めてるの?」
「半年ぐらいかな?」
「一戸建ての家では、勝手口といって別の小さめの出入口があるので、覚えて置くといいね…」
「ハ、ハイ、… どうもです…」

てなことで、玄関と勝手口がついとなっている家もまだまだあり、『勝手口』の表現も若い人達に覚えて置いて欲しいと思い、世間話として、敢えて書かせて頂きました。

<2020年8月>

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フリーアナウンサー 押阪 忍

1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2020年現在、アナウンサー生活62年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。

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