『砂浜のゴミ』 理論や単なる道徳心ではなく、日頃からの実践的な積み重ねが大切
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
波打ち際のビニール袋
自分の家の庭に、ゴミを捨てるか。家の中のゴミを、そのままにしておくか。ゴミ屋敷という特別な状況は別にして、さて多くの人はどうするでしょうか?
先日、千葉の鴨川に姪の子どもたちを連れて一泊。海の前のホテルだったので、朝、散歩しようと砂浜に降りていくと……引き潮の波打ち際に大きなビニール袋が。
そして砂浜をよく見てみると、さまざまなゴミが散在していました。ホテルのバイキングで使うビニール手袋、山葵、醤油の小さな袋、ペットボトル、プラスチックのカップ、お菓子の袋……拾っていくと、15分もかからないうちにビニール袋はいっぱいになりました。
バイキング用の手袋や山葵、醤油がなぜ砂浜に落ちているか謎です。食べ物を持ち出して、砂浜で食べようとしたのでしょうか。
漂着ゴミの状況も惨憺たるものです。以前、沖縄の久米島へ行ったとき、白砂のビーチにはなぜこんなものが?と思うようなゴミが打ち上げられていました。
ペットボトル、醤油の瓶、お酒の瓶、洗剤の容器、注射器、蛍光灯、カップラーメン、お菓子の袋、漁網、ブイ、浮き……。そのほとんどが中国、韓国からのものでした。
海洋プラスティック問題が大きく取り上げられてはいますが、『人間たち』はどのくらいの危機感を持っているのでしょうか。
国連の持続可能な開発目標SDGsでは、2025年までにあらゆる種類の海洋汚染を防止、大幅に削減する、と謳っています。
国や市町村、市民団体で取り組むことももちろんですが、「ゴミを平気で捨てる」というのは、個人の意識の問題です。
美しい海にゴミを捨てることは平気なのか。胸は痛まないのか。自分の目の前からゴミがなくなればいいと思っているのでしょうか。
犬の散歩をしながら、ゴミを拾っているおじいさん。家の前を掃きながら、両隣の家の前の掃き掃除をしているおばあさん。
そんな人生の先輩の姿を見ていると、このような美しい気遣いをつなげていかなくては、と思います。
失われた精神性を取り戻すのは、とても難しい。例えば「はしたない」という言葉が聞かれなくなるとその精神性まで失われ、はしたないことへの箍(たが)が外れるのです。
姪の子どもたちと一緒に、砂浜のゴミ拾いをしました。遊びたかっただろうに、一生懸命に拾ってくれました。
環境に対する意識を高めるには、理論や単なる道徳心ではなく、こうした日頃からの実践的な積み重ねが大切なのです。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」