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もし明日が来ないとしたら… あなたは大切な人に、どんな言葉をかけますか?

By - grape編集部  公開:  更新:

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これが最後だとわかっていたなら、あなたは大切な人にどんな言葉をかけますか?明日がもし来ないとしたら、どんなふうに今日を過ごしますか?


2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロ。およそ3000人の犠牲者を弔う追悼集会や追悼番組で、一遍の詩が朗読されました。タイトルは、『最後だとわかっていたなら』原題「Tomorrow Never Comes」・・・。この詩には「9.11テロで亡くなった若い消防士が生前に書き残した詩」という説明が付き、チェーンメールで、世界中に広がっていきました。

9.11

7年間のアメリカ留学を終えて帰国したこの詩の翻訳者である佐川睦(さがわむつみ)さんも、留学時代の友だちからのメールで、この詩を知った一人です。1993年の夏、佐川さんは最愛のお姉さんの「かおり」さんを失くしていました。脳の細胞が徐々に機能を失う難病でした。お姉さんの婚約者は、いつの間にか姿を消してしまったといいます。

お姉さんに「ああしてあげたかった」「こんなこともできたはず」そんな気持ちを引きずっている佐川睦(さがわむつみ)さんの胸に、この詩の言葉の一つ一つが染み込んで、涙が止まりませんでした。

「これを、日本語に訳してみたい!」
調べると、この詩の作者は(9.11テロで亡くなった消防士)ではなく、「ノーマ・コーネット・マレック」という母親であることが分かりました。溺れた子を助けようとして、自分も溺れ死んだ10歳の長男サムエル。短すぎる人生を終えたわが子への気持ちを綴ったのが、この詩『最後だとわかっていたなら』だったのです。

「翻訳の許しを得る連絡がついた時、ノーマもまたガンで他界していました。しかも彼女は、誤った情報と共に、自分の詩が伝えられていることに、とても寛大だったといいます。本当に大切な人を失ったときの気持ちは、みな同じであることを、ノーマは知っていたからでしょう。

9.11の後世界中を襲った絶望感の中で、この詩が人々にどれだけ大きな感銘を与えたかは想像に難くない。 犠牲者を偲び平和を願う人々の中から、消防士にまつわる噂もチェーンメールと共に広まっていったののだと思います。

愛する人に、ただその愛しているという気持ちをちゃんと伝えておきたい…皮肉にも、あの歴史的な悲劇は、今自分自身がやるべき本当に大切なことを誰もが思いなおすきっかけとなりました。 まるで暗闇の中で唱える祈りのように、この詩は人から人へと広まっていったのです。

2007年、日本版「最後だとわかっていたなら」が書籍として出版された。 作者ノーマは2004年にこの世を去ったが、その祈りは様々に形を変えながら引き継がれていく。

誰にも大切な人がいる限り、また癒えない傷を抱えている限り、この詩が運ぶ感動の輪は広がり続けるだろう。

全文

『最後だとわかっていたなら・・・』
” Tomorrow Never Comes “

原作 ノーマ・コネット・マレック(Norma Cornett Marek)
(訳:佐川 睦 さん)

あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように祈っただろう

あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて 抱きしめただろう

あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう

あなたは言わなくても わかってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたなら
一言だけでもいい・・・「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう

たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい

そして わたしたちは 忘れないようにしたい

若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを

明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから

微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと

だから 今日
あなたの大切な人たちを しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも いつまでも大切な存在だということを
そっと伝えよう

「ごめんね」や「許してね」や「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう
そうすれば もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから



【原文 全文】

Tomorrow Never Comes
Norma Cornett Marek

If I knew it would be the last time that I’d see you fall asleep,
I would tuck you in more tightly, and pray the Lord your soul to keep.
If I knew it would be the last time that I’d see you walk out the door,
I would give you a hug and kiss, and call you back for just one more.

If I knew it would be the last time I’d hear your voice lifted up in praise,
I would tape each word and action, and play them back throughout my days.
If I knew it would be the last time, I would spare an extra minute or two,
To stop and say “I love you,”instead of assuming you know I do.

So just in case tomorrow never comes, and today is all I get,
I’d like to say how much I love you, and I hope we never will forget.
Tomorrow is not promised to anyone, young or old alike,
And today may be the last chance you get to hold your loved one tight.

So if you’re waiting for tomorrow, why not do it today?
For if tomorrow never comes, you’ll surely regret the day
That you didn’t take that extra time for a smile, a hug, or a kiss,
And you were too busy to grant someone, what turned out to be their one last wish.

So hold your loved ones close today and whisper in their ear
That you love them very much, and you’ll always hold them dear.
Take time to say “I’m sorry,”… “Please forgive me,”… “thank you” or “it’s okay”.
And if tomorrow never comes, you’ll have no regrets about today.

引用:
『最後だとわかっていたなら』
作 / ノーマ・コーネット・マレック
訳 / 佐川睦
音楽 / J [Junpei Tominaga]

出典
「10時のちょっといい話」/TEICHIKU RECORDS/grape YouTubeチャンネル

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