桐谷健太出演ドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』 刑事ドラマが不得意のスタッフが制作?
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grape [グレイプ] entertainment
2023年4月から放送が始まった、テレビドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系)。
俳優の桐谷健太さんが主演を務め、元体育教師の経歴を持つ刑事・仲井戸豪太を演じています。
grapeでは、ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんが、見どころを紹介する記事を配信中です。
『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』のドラマコラムはこちら
本作は『事件にまつわるすべての人々』を描く群像劇で、刑事や検事だけでなく、一般的な刑事ドラマにはあまり登場しない判事も活躍。
これまでの刑事ドラマとはひと味違う作品となっています。
一体どういった経緯で、従来の刑事ドラマと一線を画す『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』が誕生したのか。
grapeでは、本作のゼネラルプロデューサーである、テレビ朝日の服部宣之さんにインタビューを行いました。
『ゼネラルプロデューサー』という仕事とは?
テレビ番組を制作する職業として知られる『プロデューサー』『ディレクター』『アシスタントディレクター』と比べ、あまり耳馴染みのない『ゼネラルプロデューサー』という役職。
何をする仕事なのかが、想像もつかない人も多いでしょう。
そこで、まずは服部さんが普段どんなことをしているのか聞いてみると…。
プロデューサーとゼネラルプロデューサーは仕事的には差はないです。ドラマを作るという意味でも、そんなに違いはないかもしれない。
ドラマのプロデューサーは企画や脚本を作り、出演者のキャスティングをすることが大きな仕事です。ゼネラルプロデューサーは、後進の育成も大切。若手プロデューサーのちょっとしたお手伝いも、仕事の1つになります。
面白いドラマを作るのはもちろんのこと、未来のヒット作を生み出すプロデューサーを育てるのも仕事だそうです。
自身の幼い頃について「ドラマを見て育った」と語る服部さん。
大学を卒業後、テレビ局に入社し主にお昼に放送されるドラマ、いわゆる『昼ドラ』を制作するようになります。
『昼ドラ』のプロデューサーを10年以上続けた結果、「新しい挑戦がしたい」という気持ちが強くなり、テレビ朝日に転職したそうです。
新しいドラマのアイディアはどこから?
2023年現在、テレビ業界ではコンプライアンスを意識した番組作りを心掛けています。
かつてよりも規制が厳しくなっていることについて、服部さんはやりづらさを感じているそうです。
その一方で、「規制によって生じた制約から新しいドラマの発想が生まれてくる」と服部さんは語ります。
規制があるということは、例えるなら「A4とかA3の紙に最大限に絵を描いてくれ」といわれているような感じです。僕はこの範囲が見えているほうが作りやすいんですよ。
「どんな大きさの絵になってもいいから、好きに描いてくれ」といわれると、僕は凡人なので思い付かないんです。
「逮捕された『その先』を描きたかった」
では、『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』は一体どういった発想から生まれたのでしょうか。
服部さんは2020年放送のテレビドラマ『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』(テレビ朝日系)にプロデューサーとして参加。
当初は、『HERO』(フジテレビ系)や、NHK連続テレビ小説『まんぷく』などを手掛けた福田靖さんが脚本を担当することのみ、決まっていたそうです。
作品のテーマを決めていく際に、「福田さんがこれまで刑事ドラマの脚本を書いたことがない」と聞いた服部さんは、ほかのプロデューサー陣とも相談して、あえて刑事モノに挑戦することにしたといいます。
設定は決まったものの、服部さん自身も刑事ドラマはあまり手掛けたことがなく、素人同然。得意分野ではありませんでした。
服部さんはドラマの構想を悩み続けた結果、ある考えにたどり着きます。
僕らのチームと福田さんが作るんだったら、今までの刑事ドラマとはひと味違うものにしたほうが、なんかお互いが生きるんじゃないのかなとは思いましたね。だから、このドラマにはあまり巧妙なトリックとかないんですよね。
どちらかというと、僕らがやりたかったことって、逮捕された『その先』を描きたかったんですね。
刑事ドラマが得意ではないという『制約』の中から生まれた、『逮捕の後』を描くという発想。
服部さんは、「犯人当てを楽しむことよりも、『その先』の人間ドラマを楽しんでほしい」と話します。
こうして「何事も最初にチャレンジしたい」と思っている服部さんと、コメディータッチな作品を得意とする福田さんによって、全く新しい刑事ドラマ『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』が誕生しました。
『逮捕の先』に感じた魅力とは?
本作の中で、たびたび出てくるセリフに「刑事は3割バッター」という言葉があります。
犯人が逮捕された後、実際に起訴されるのが約3割で、残りの7割近くは不起訴となることを表現したセリフです。
服部さんは、この事実を面白いと感じたそうです。
刑事ドラマって基本的に犯人を逮捕したらおしまいじゃないですか。
だけど、実際に罪に問われるのは大雑把にいって3割しかいなくて、7割の人は罪に問われていないという事実があります。
いざ裁判になると、刑事事件に限っていうと、99.9%の有罪率を誇っているので、検事が起訴するって決めたら、絶対に有罪にしなくちゃいけないんです。
だから検事と刑事の発想の違いとかは、すごくドラマになるんじゃないかと思いました。
新聞や監修を担当する専門家から、ドラマになりそうな情報をインプットしている服部さん。
従来の刑事ドラマでは描かれないような、家宅捜索令状を出す出さないで揉めるシーンにも面白みを感じ、あえてドラマに取り入れているそうです。
これからの時代のドラマとは?
SNSが広く普及し、ドラマの感想をリアルタイムで投稿をする人も増えている中、服部さんはネットの反響もチェックしていると明かしました。
韓国のように、リアルタイムでネットの声をドラマに反映させることはありません。僕の場合は「次のドラマにはどう生かそうかな」と考えますね。
ただ、ドラマの第1話への感想でいわれたこととかが、後半戦でキャラクターに活かされることはすごくありますけどね。
例えば、『こういうところを見たくない』とか『こういうのをいっていると心が痛い』とかっていうのは、なるべくやめようかなと思います。そういうのは考えますね。
服部さんが目指す理想のドラマ像
SNSでの意見も参考にするほど、視聴者を楽しませることを常に考えている服部さんに、今後の目標をうかがいました。
「あの時のあのドラマが好きだった」っていってもらえるものを作りたいです。
僕自身が目指してる最高のドラマは『何年先でも語れるドラマ』です。それが1番かもしれないですね。
ドラマで育った服部さんは、「一生ドラマを作る」とインタビュー中に宣言。
テレビを作る魅力について「街や電車の中で偶然、自分が作ったものについて話している場面に遭遇すると幸せ」と話していました。
ドラマへの熱い想いのある服部さんなら、今後もたくさんの面白い作品を生み出してくれることでしょう。
『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』の制作の裏側については、こちらの記事でも触れています。
桐谷健太を、木曜ドラマの主役に選んだ理由をプロデューサーが明かす
2023年6月8日の最終回を前に、これまでの放送を見たい人は、TVerをはじめとした配信サイトでチェックできます。
『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』Tverで配信中 視聴はコチラから
[文・構成/grape編集部]