lifestyle

「肌に優しい洗剤って実は…」 あえて『オーガニックじゃない洗剤』を作った母の真意とは?

By - キジカク  公開:  更新:

Share Post LINE はてな コメント

※写真はイメージ

洗濯研究家として活動している平島利恵さん。「女性の普段の生活を快適に」という想いから、洗濯用洗剤・布ナプキンブランド『Rinenna』(リネンナ)を運営している、株式会社Heulie(ユーリエ)の代表取締役を務めています。

かゆいところに手が届く、さまざまな商品を世に送り出している平島さんに、商品の開発秘話を聞いてみました。

洗濯研究家の平島利恵さん

――株式会社Heulieを始めようと思ったきっかけは?

Heulieの始まりは布オムツ店だったんです。2011年の1月に息子が生まれて、その後すぐ東日本大震災に遭いました。

その時、赤ちゃんに必要不可欠な紙オムツが全部売り切れてしまって、仕方なく布オムツを使ってみたら「意外といい!」と感じたことがきっかけです。

洗ったらまた使えてコスパがいいし、ゴミを捨てる手間もありません。でも、当時売っていた布オムツが全然かわいくなくて…。

かわいさもあり、ずっと買い換えなくてよいワンサイズの布オムツが必要だと思ったんです。

平島さんが発売した布おむつ

――布ナプキンも出産時に考え付いた?

はい。お母さんあるあるですが、赤ちゃん自身は愛おしいんですけど、育てるのに慣れていないと身体の痛み、脱毛、不眠など、想定外のトラブルや弊害が起きるもの。

出産後、子宮が元の形に戻るまでに1か月程度かかります。その間は安静にして過ごさないといけないんですけど、生理みたいな状態が続いてパンツが汚れるんですよ。

使い捨てナプキンを使うと蒸れるので、つけ心地を考えて布ナプキンを買ってみました。

最初は肌触りが気に入ったのですが、血液がついてしまうとずっと濡れた服を着ているような不快感があったので、「機能性は高水準のまま、つけ心地がよく、生理中でもサラサラなものがほしい」と思い、開発したんです。

――ナプキンは毎月の生理にも使うので、女性にとって生活必需品?

そうです。はじめに考えた布オムツは使用時期が限定的ですが、生理は1か月に1回程度来るもの。

生理中は使い捨てナプキンでムレるとかゆくなりますが、人前でボリボリかける部位じゃないし、かける状況だとしても、そこからばい菌が入ったら大変です。そこで、布ナプキンも布オムツと同じ頃に商品化を考え始めました。

――布ナプキンはどれくらいの期間を経て作られた?

結局、納得のいくものができるまでに5年かかったんですよ。なので、発売は布オムツ、洗剤、布ナプキンの順なんです。

生理2日目に1日中試作品をつけっぱなしにして、漏れないかどうかの実験をずっとしていました。実験が毎月1回のチャンスしかないので、布ナプキンが完成するまでは「生理2日目が毎日だったらいいのに!」と思っていました(笑)

完成までに5年かかった、布ナプキン

――自身の出産経験や女性ならではの悩みから、洗剤が生まれた?

生理が始まるタイミングでパンツが汚れたら、それをもみ洗いしないといけませんよね。

あと母親になると忙しくなるのに、洗濯に関する時間が増えるんです。

子供ができて初めて「目に見えないコストがあるな…」と気付きました。

うんちや食べこぼしのシミなど、子供の汚れは普通の洗濯では全然落ちません。

いちいち揉み洗いをしていたらキリがないので、「この作業をなくせたらタイムパフォーマンスがいいのでは?」と思い立ち、当時はメジャーではなかった『つけ置きの洗剤』を作ろうと思ったんです。

――洗剤作りでこだわったポイントは?

こちらも友人に試してもらって、全員の汚れが落ちて成功するまでこだわりました。

値段だけ見ると市販のものと比べて高いように思えるんですが、もみ洗いなど地味に消費する時間を考えたらスプーン1杯30円ぐらいでできる。

そう考えると、何よりもコスパもタイムパフォーマンスもいい洗剤です!

またナプキンを漬け置きする時、正直汚れた水って触りたくないですよね。

だから、浸け置きした水ごと洗濯機の中に入れて『汚れをなかったことにできる仕様』にしたのもこだわったポイントです。

――忙しい人に優しい商品。洗剤の成分にもこだわりがある?

あえてオーガニックの優しい洗剤ではなく、洗浄力を重視しています。というのは私の経験を元にしていて、肌の弱い我が子のために作った洗剤といっても過言ではないからです。

私は子供が4人いるのですが、長男が一番アレルギー体質で皮膚が弱かったんです。特に添加物アレルギーがひどく、身体に入れるものはオーガニックでないとダメなんです。

飲食店の前を通ると、臭いだけで添加物の有無が分かるほど敏感。

だから私も、「洗剤も優しいものに変えないといけない」と思い込んで優しいものに変えたんですが、なんと症状が逆にひどくなってしまったんですね。

実は優しい洗剤を使うと、汚れの落ち方もマイルドなんですよ。だから汚れがしっかり落ちずに残っていて、余計肌トラブルが悪化してしまいました。

私と同じように悩んでいる母親は多くいるから、「肌の弱い赤ちゃんにも十分対応できる洗剤を作りたい」という想いも詰まっています。

『Rinenna』を使う際も、「身体が弱い子供に関しては、すすぎの回数を増やして3回以上にするのがおすすめ」と語る平島さん。

実際に、息子さんの服はすすぎ3回を実践して、症状がずいぶん改善したのだそうです。

――開発事業をしていて、大変なところは?

私は開発のポリシーとして、『世の中にないものしか作らないこと』に決めているんです。すでにあるものは別の開発者が苦労して作ったものだから、作る必要はないでしょう。

しかし、新しいものは知ってもらうことにすごい時間とお金がかかるんです。今でこそオキシクリーンを使った『オキシ漬け』などが話題になっていますが、あれは世間に浸透するのに3年ぐらいかかっています。

商品を開発し、啓蒙活動をして広く知ってもらうことが一番大変だと思います。

――今後の目標は?

私が目指してるものは、『毎日をご機嫌に過ごしたい』ということ。そしてこれからも「女性だったらやって当たり前だよね」という固定観念をなくす商品を作る会社にしていきたいです。

現在、おしゃれ着や布バッグ、傘など撥水加工のある商品を開発中の平島さん。どれも雨の日に快適に使えるような商品だそうです。

平島さん発案のアイディア商品が販売される日が今から楽しみですね!

Instagram:riehirashima

YouTube:@LaundryCHANNEL

ウェブサイト:Rinenna


[文/キジカク・構成/grape編集部]

蓋が閉まった洗濯機

洗濯機の蓋は開けておく?閉める? 企業の回答に「反省」「逆やってた」洗濯機のお手入れをしていますか。洗濯槽の裏側は見られませんが、しっかりとお手入れしていないとカビが繁殖してしまいます。カビを防ぐ方法を確認して、定期的に洗濯槽の掃除をしましょう。

洗濯機にお湯を注いでいる様子

洗濯は『お湯』がいいって本当? 事実に「マジか」「危ないところだった」洗濯槽のカビ対策にお湯を使いたい時はありませんか。お湯のほうが効果が高そうで…と思うかもしれませんが、実際の効果や適切な湯温について日本電機工業会が公式サイトで解説していました。ぜひ参考にしてみてください。

Share Post LINE はてな コメント

page
top