自閉症の息子とスーパーへ 悪気のない店員のひと言が母親の心を傷つける…
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- 出典
- the Mighty
アメリカに住むレイチェル・スローさん。自閉症の息子ブライトンくんのお母さんです。
いつものように息子と、よく行くスーパーに夕飯の買い出しに出掛けた時のこと…
機嫌の良さそうな息子に安心する母
買い物の最中、息子のブライトンくんは機嫌が良さそうでした。
買い物リストを忘れてしまったため、いつもより少し時間はかかりましたが、順調に買うべき食材をカートに入れて行きます。
自閉症の子どもを持つ母親にとって心配なのは「公の場所で子どもが暴れてしまうこと」だと言います。
「買い物中に息子が叫んだり、暴れたりしてしまうことが何よりも心配でした」
その子どもが自閉症であると知らないほかの大人から見ると「単に躾のなっていない子ども」に見えてしまうこともあるそうです。
レジの男性が親切心からかけた言葉…
買い物も順調に進み、あとは支払いを済ませるだけ。
混み合うレジの列に並んでいたところ、スタッフの男性がやってきた息子のブライトンくんにこう話しかけました。
「シールは好き?ほしいかい?」
「きっと親切心からの言葉だったのだろう」とレイチェルさんは語ります。
しかし、自閉症のブライトンくんにとっては見知らぬ男性から話しかけられても、気軽に答えることができません。
そこでレイチェルさんが代わりにこう答えました。
「ええ、大好きですよ!」
スタッフの男性が一瞬、「なぜ自分で答えないのだろう?」という困惑の表情を見せたため、レイチェルさんは笑顔でこう告げます。
「この子は自閉症なんです。だから普通に話しかけられても、答えることが難しい場合もあって」
「でもシールは大好きですよ!」
このレイチェルさんの返答に続く男性スタッフの言葉に、レイチェルさんは深く傷つけられることになります。
悪気はない、でも人を傷つける言葉
「可哀想に…」
男性スタッフの口から自然に出てきた言葉です。
レイチェルさんはこう言います。
「この男性スタッフに悪気があったとは思いません。事実、息子にシールを手渡してくれたし、『荷物を車まで運びましょうか』と申し出てもくれました」
「でも、言葉の端々に顔を出す『憐み』が私を傷つけたんです」
もちろん、レイチェルさんはそこで男性スタッフに「この子は可哀想なんかじゃない」と告げることもできました。
しかし、悪気のない、しかも自閉症の子どもとどう向き合っていいかも分からない男性にそんなことを言っても意味がないことは分かっていました。
だからこそ、ぶつけようのない気持ちをどう消化していいか分からず、今回の出来事を投稿サイト「the Mighty」にアップしたのだと言います。
身近な人からの言葉に傷つくこともある
レイチェルさんは語ります。
「きっと誰だって自閉症の子どもに何と声をかけていいかわからないと悩む時があるでしょう。家族や親戚、友人など身近な人にだって傷つく言葉をかけられる時もあります」
「ただ、『歩み寄ろう』『近づこう』と思ってくれることは本当にうれしいこと。だから、時に傷ついたとしても、人と関わることを恐れてはいけないと思っています」
自閉症の子どもを持つ親の気持ちを、そういった環境にない人が100%理解することは残念ながら難しいでしょう。
しかし、「ちょっとした言葉が傷つけてしまうかもしれない」ということが分かっていれば、その人との距離感や関係から、言葉や行動を選ぶことはできます。
悪意のないひと言で誰かを傷つけたいと思っている人などいないはず。
周囲の小さな心がけが、自閉症のお子さんを持つ両親を、そして自閉症の子ども自身を救うことに繋がるのかもしれません。