医療費削減につながるか? 薬の飲み忘れを防止できる『薬箱』が登場!
公開: 更新:
エアコンをつけてるのに寒い… 企業が教える対策に「そうだったのか」冬に暖房を入れる際は、できるだけ効果的・効率的に部屋を暖めたいところですよね。とはいえ、暖房効果をアップさせるには具体的にどうすればいいのか、知らない人もいるでしょう。 本記事では、アイリスオーヤマ株式会社(以下、アイリ...
ラップの芯は捨てないで! 玄関掃除に活用すると… 「便利」「ナイス裏技」玄関掃除で掃除機を使いたくても、衛生面が心配で使いにくいという人も多いかもしれません。そこでおすすめしたいのが、家にあるトイレットペーパーやラップの芯を使う方法です。掃除のプロが紹介する裏技をご紹介します。
凸版印刷とデンソーウェーブが、iPadと連動したICタグを読み取れる通信機能付き『薬箱(くすりばこ)』を共同開発したと発表しました。
ICタグ薬包と通信機能付き薬箱
自宅に飲み忘れなどの薬が大量にたまる『残薬』について調べていくとさまざまなことが見えてきます。医師から処方された薬を、いざというときのために飲まずに取っておく人が多いということ。
一概に悪いことだとは言い切れないわけですが、数種類の薬を処方してもらい、選んで服用するため残薬が出てしまうケース、また自己判断で薬を中断してしまうケース。状況によっては決められた通りに服用せずに症状が悪化してしまって、さらに薬が増えてしまうということにもなります。
ちなみに飲み残しの薬は、少なくても100億円、多ければ6500億円ぐらい発生しているのではないかという厚生労働科学特別研究の調査結果があります。(平成27年度厚生労働科学特別研究「全国規模の医療費削減効果の推計」)
『残薬』が増えるということは、医療保険が薬代を一部負担していますから、税金がそこに使われていることになります。つまり処方されても使わない薬があるということは、税金が無駄に使われていることになりかねない行為なんです。
それ以外にも副作用や誤用トラブルが問題になるそうです。例えば、風邪だと思ってあまっていた薬を自分の判断で服用したところ、さらに具合が悪くなったというケースもあります。
これまでも家庭の『残薬』を把握しようという動きは、自治体を中心にさまざまな形での取り組みがあります。
例えば、奈良県大和郡山市では、薬局などで『節薬バッグ』の配布をしているそうです。自宅に残った薬を入れてきてもらうことで、薬局で新たに処方された薬と同じものや、効能が重なるものがあれば、薬剤師が医師に連絡して処方量を減らすなど判断してくれるそうです。
また、製薬会社のモリモト医薬(大阪市)では、残薬を活用しやすいよう1錠ごとに薬の種類や消費期限などの情報を記載した新しい包装手法を開発し、年内の生産開始を目指しているそうです。
さすがに『残薬』が6500億円にのぼるかもしれないとなると、「薬が残ってしまうことは常にあるし仕方ない」、「いざというときに必要なんだからいいのでは?」という安易な感じで放置している場合ではないんです。さらなる対処法を考えるべきだという声が高まる中、今回の「薬箱」が考案されたというわけです。
さらに、日本は少子高齢化の波は続いているため、1人暮らしの高齢者も増加の一途をたどっています。全世帯中の11.8%が65歳以上の単独世帯なんだそうです(厚生労働省「平成26年国民生活基礎調査」)。単独世帯の高齢者をどう守っていくかについても、社会問題のひとつになっています。
『薬箱』には、専用のICタグと通信機能(凸版印刷が開発)と、ICタグの読取機器(デンソーウェーブが開発)が組み込まれており『残薬の見える化』を実現させています。
これによってお年寄りの薬の飲み忘れを防止したり、遠隔地からの見守りサービスにも役立てられたりできるとしています。こうしたことから孤独死などを未然に防ぐことができるようになるということなんです。
凸版印刷の生活・産業事業本部の藤川君夫さんによれば、2017年の凸版印刷は「可能性をデザインする」というスローガンを掲げていることから、これまでのノウハウをもとに、今回、いままでにないものをデザインしていく取り組みとしてICタグを活用してみたということです。
印刷会社が医療分野に関わることに意外に感じる方も多いと思いますが、印刷技術を「情報を加工すること」ととらえ、ICタグをみなさんの暮らしに貢献できる製品にしていきたいと語っています。
実は、ICタグはこうした薬の管理以外でも医療現場で活用が始まっています。京都桂病院心臓血管センターでは医療機器の入出庫管理をICタグで行うシステムを開発したそうです。高度管理医療機器の在庫や使用状況をリアルタイムに把握できるようになったことで、請求漏れや誤廃棄、盗難が激減し、発注数がこれまでの10分の1程度にまで削減されたんだそうです。
医療分野におけるIT情報技術の応用はまだまだ工夫していかねばなりません。
[文・構成 土屋夏彦/grape編集部]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。