赤ん坊の妹を連れて野宿 少年のたどり着いた先に、涙
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- 出典
- 厚生労働省
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2014年3月29日、埼玉県川口市で当時17歳の孫が祖父母を刺殺。この痛ましい事件の裏には、悲惨な真実が隠されていました。
この『川口高齢夫婦殺人事件』で逮捕された少年は、過酷な生い立ちを持つ『居所不明児童』だったのです。
※写真はイメージ
『居所不明児童』とは
行政が居場所を把握できない子どものことです。
平成29年6月1日時点で、居住の確認が必要だと判断された児童は、全国で1630人。
調査の結果、居住実態が把握できない児童は、28人。
そして、虐待または虐待の疑いがあったのは、28人中3人でした。
少年が犯罪に追い込まれるまでの日々とは、どのようなものだったのでしょうか。
少年の生い立ち
少年の育った環境は、以下のようなものでした。
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そのほか、ネグレクト(育児放棄)、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待が日常的にありました。
そんな中、野宿生活に限界が来て、一家が生活保護を受給した時、児童相談所が動きます。
少年は、養父からの暴力で前歯を4本なくし、野宿をしていました。これは、すぐに母親と養父から離し、保護しなければならない状況です。
しかし、児相職員は少年が暴力を受けている、明確な証拠を見落としてしまいました。
さらに、母親と養父が「家族一緒でないと駄目だ」と児相職員に反対したため、少年は一時保護をされなかったのです。児童相談所の運営方針が、まだ『説得』に重点を置いている時期でした。
なぜ助けられなかったのか?
毎日新聞の記者である山寺香さんは、『川口高齢夫婦殺人事件』の発生当時、事件や裁判を担当していました。
『川口高齢夫婦殺人事件』に衝撃を受けた山寺さんは、ノンフィクション『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』を出版しました。
少年の裁判員裁判をすべて傍聴し、周辺人物に取材をして、山寺さんは思います。
取材を通して見えてきたのは、「大人の多くが少年に関心を持っていた」という意外な事実。「大人が無関心だから助けなかった」というわけではなく、目に見える『親切』はたくさんありました。
ただ、決定的な『救い』は訪れなかったのです。
『点の支援』では救えない
『川口高齢夫婦殺人事件』で、検察側は無期懲役を求めましたが、裁判の結果、少年は懲役15年となりました。
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この事件で、少年を救えなかったのは、『点の支援』だったからだと考えられています。転居先で、少年には支援の手が差し伸べられますが、「緊急で保護するほど深刻な状態ではない」と皆が判断してしまいます。
助けようとした大人たちは、「目の前にいる少年の現状」という、点でしか見ることができませんでした。少年の育った環境を知っていれば、大人たちの行動も変わっていたでしょう。
「虐待されている児童」である可能性の高い『居所不明児童』を救うシステムは、あるのでしょうか。
山寺さんは、NPO法人の『さいたまユースサポートネット』代表理事である、青砥恭さんに話を聞きました。
データベースを作れば、『長いスパンでの寄り添い方の支援』ができるようになると語る青砥さん。点が線になり、過去の情報と合わせて判断できれば、救うことができる子どもも増えるかもしれません。
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山寺さんは、取材を通して次のように感じたそうです。
「かわいそう」という気持ちだけでは、救うことができない人もいます。決定的な『救い』がなかった少年は、大人から関心を持たれていたことにすら、まったく気が付きませんでした。
「私たち大人ひとりひとりに、『善意』を超えた行動力が望まれている」と気付かされる書籍です。
ポプラ社 山寺香 著
『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』
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[文・構成/grape編集部]