60年間虐待を受けた象、保護されるも天国へ…幸せな時間は1ヶ月間だった
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タイのスコータイ県を中心に活動している、ゾウを保護する団体『Boon Lott’s Elephant Sanctuary(BLES)』。彼らは200万m2の森林で、虐待された象や捨てられた象たちを保護しています。
2016年5月16日、BLESは新たに1頭のアジアゾウを保護しました。象の名前は、サオノイ。今まで生きてきた60年もの間、劣悪な調教師の元でひどい虐待を受けてきました。
調教師に過労を強いられ、観光業で毎日たくさんの人を乗せて歩いてきたサオノイの身体はボロボロ。そんな彼女を、団体はたくさんの食べ物で華やかに飾った小屋で歓迎しました。
保護され、少しずつ元気を取り戻していったサオノイ。足腰が弱り時々倒れてしまうこともありましたが、森林で出会った象・ブーンソンやパームプーンと仲良く散歩をできるようになりました。
友人のひとりであるブーンソンも昔、観光業で体を酷使された1頭。
体はボロボロで、片目も失明していたブーンソン。そんな彼は、サオノイに優しく寄り添い続けたそうです。自分の境遇と重なることもあり、親近感を抱いていたのかもしれません
しかし、幸せな日々は長くはありませんでした。ある日、サオノイの容態が急変。突然地面に倒れ、立ち上がれなくなってしまいます。
団体のスタッフが必死に看病し、なんとか立ち上がることができるようになった数日後…彼女は、天国へ旅立って行きました。
横たわり、ピクリとも動かないサオノイを見たブーンソンは、彼女のなきがらに優しく鼻で触れました。きっとブーンソンは、大好きだった友人に別れを告げたのでしょう。
寺院から僧侶たちを呼び、サオノイのお葬式を開いたBLES。式が終わると、昨年10月に亡くなったゾウが眠る横に、なきがらを埋葬することにしました。
サオノイの目をタオルで覆うと、多くの人が彼女の周囲にたくさんのお花と食べ物を添えます。彼らの頬には、涙が伝っていたそうです。
サオノイの世話をしていたスタッフは、彼女についてこう語りました。
サオノイと過ごしてきた時間は、私たちにとって忘れることのできない思い出です。
悲しみの涙はまだ止まりませんが、私たちはこう思っています。
きっとあの子は、今幸せでいっぱいなはずです。身体と心を壊した、あの苦しい生活はもう襲い掛かってきません。
これで彼女は、『本当の自由』を手に入れたのではないでしょうか。
さようなら、サオノイ。安らかに眠ってね。
アジアゾウの寿命は80年であるにも関わらず、60年間しか生きられなかったサオノイ。そして彼女には、生涯で1ヶ月しか幸せな時間がありませんでした。
60年間は想像を絶するつらい日々であり、苦しんだ年月はあまりにも長すぎます。しかし、保護団体のスタッフの行動や温かい友人たちの存在によって、最後の1ヶ月間で少しでも救われたのではないでしょうか。
天国で『本当の自由』を手に入れたサオノイは、今頃元気な体で森林を駆け回っているかもしれませんね。