「僕は父が死んだ時、泣くのだろうか?」 すれ違い続けた父に、息子は
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父のことを『パパ』と呼んでいた子どもは、いつから『お父さん』『父さん』『親父』と呼ぶようになるのでしょうか。
もしかしたら、変えるタイミングを逃して、ずっと『パパ』と呼んでいる人もいるかもしれません。
なかには、何と呼べばいいのか分からなくなって、父を呼ぶことができなくなった人もいることでしょう。
これは、そんな『父のことをなんて呼べばいいんだろう問題』を抱えたまま成長した青年の、心温まる親孝行物語です。
すれ違う父子
「僕はこの人が死んだ時、泣くのだろうか?」
そう思った『僕』。
胃がんの手術を受けてベッドで寝ている父。
仕事の忙しさからか、父は約束を破るのが当たり前。存在が遠くなり、どんな人なのかも分からなくなっていきます。
1度会話をしなくなったら、ぎこちなさをなかなか解消できなくなります。
しかし、『僕』は後悔しないために、行動に移しました。
面と向かうからダメなんだ
『僕』はゲームの人気ブログを書いているオンラインゲーマー。
そこで、RPG(ロールプレイングゲーム)である『ファイナルファンタジーⅩⅣ』のソフトを父にプレゼントすることを思いつきます。
『ファイナルファンタジーⅩⅣ』は、世界を救う『光の戦士』になって、ゲームの世界を冒険できるのです。
『僕』はゲームの世界で『息子』と名乗らずに父と友達になり、一緒に強敵を倒して「実は僕、あなたの息子なんですよ」と告白をすることに決めます。
名付けて『光のお父さん計画』。
ゲームを通してなら『お父さん』と呼べそうな気がする…。
初心者な父は、ゲーム開発者もびっくりな理由でゲームをやめようとしたり、慣れない操作でキャラクターに思いもよらない行動をさせたりします。とにかくおかしくて、笑ってしまいます。
ゲームの攻略方法を知り尽くしている『僕』はうまく父を誘導し、成長させ、一緒に強敵を目指していきます。
「このまま名乗らなくてもいいんじゃないか」と悩みながら。
ゲームを選んでよかった
『僕』は父を『お父さん』と呼べるのか。
『僕』の書いたブログ『一撃確殺SS日記』の、ドキュメンタリー連載『光のお父さん』を書籍化したのが、『ファイナルファンタジーⅩⅣ 光のお父さん』です。
出典:『ファイナルファンタジーⅩⅣ 光のお父さん』
ブログ上で多くの人に応援され、異色の親孝行物語はテレビドラマ化もされました。
『僕』は、本でこう語っています。
親孝行は、みんなと同じ形でなくていいのです。『僕』はゲームでした。
自分と親をつなぎやすい形で、歩み寄り、理解して、呼びたかったひと言をいいましょう。
『お父さん』と、あなたが最後に父を呼んだのは、いつですか。
講談社 マイディー 著
『ファイナルファンタジーⅩⅣ 光のお父さん』
Amazon:『ファイナルファンタジーⅩⅣ 光のお父さん』
[文・構成/grape編集部]