願いを、ささやかでも行動に移してみる 心と身体を喜ばせるように By - 吉元 由美 公開:2020-09-13 更新:2020-09-13 エッセイ吉元由美 Share Post LINE はてな コメント 吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。 今日、ふらりと旅に出よう ふらりと旅に出たい。木々を震わせながら吹く風を感じたい。何も考えずに波の音を聞いていたい。ぽっかりと海に浮かんでいたい。渓流の水の冷たさ、草原の匂い。 ほとんどの時間を家で過ごすのは決して苦痛ではありませんでしたが、自然の中に身を置きたいという思いは、旅への渇望をつのらせます。 実際、それなりに移動をし、何も気にすることなく旅を楽しんでいる人たちもいます。14歳になるシニア犬がいること、この夏は手首を骨折してすっかり体力が落ちてしまったことなど、社会の事情に加えてふらりと出かけられない事情が重なってしまいました。 つのる思いを叶えられないことが、さらに気力を奪っていく。少しずつ空気が抜けていく風船のように、自分が萎んでいくのです。 遠くへ行けないなら、近くの行けるところへ行こう。真昼の暑さを避け、午後4時すぎに車で15分ほどの広い公園へ行きました。 その公園は広い芝生の緑地の中にソメイヨシノ、ヤマザクラ、ケヤキ、クヌギ、コナラ、ミズナラなど多くの木が心地のいい木陰を作ります。四季折々の光景を楽しめ、我が家から一番近い、自然を感じられる場所です。 子どもたちがボールを追いかけている。若いお父さんが、よちよち歩く幼子を見守っている。ベンチで寄り添う恋人たち。木陰で本を読んでいる男性。おしゃべりに興じる女性たち。 公園という場にそれぞれの時間が流れている。そんな時間の尊さをふと思う。いつもならなんとも思わないあたりまえの日常のありがたさを感じるのは、自分の体が思うように動かないという体験があったからかもしれません。 散策していると、ユニークな枝振りの百日紅の木がありました。小さな赤い花が手毬のように。枝がくねくねと曲がりながら広がっています。その木陰で、おじいさんとおばあさんがお昼寝をしていました。 こうして年を重ねて、二人して公園で寛ぐ時間を楽しめる。なんでもない日常なのでしょうが、なんでもないことを「できる」ということが、実はしあわせなのだと思うのです。 何度も歩いたことのある公園ですが、気持ちの持ち方で発見することも変わります。目に映るすべてのものが語りかけてくる…そんなスイッチが入ったようです。 一回りして、先ほどの百日紅の木のあたりに戻ると、お昼寝していたおじいさんとおばあさんは、フリスビーに興じていました。お互いにキャッチできずに、拾っては投げ、拾っては投げを繰り返し、おばあさんの高らかな笑い声が空に吸い込まれていくようです。 ふらりと旅に出たい。広い緑地の真ん中に寝転んで、空の広さを抱きとるように。ほんの2時間、近くの公園をふらりと。 すっかりリフレッシュしました。願いを、ささやかでも行動に移してみましょう。心と身体を喜ばせるように、楽しませるように。 ※記事中の写真はすべてイメージ 作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー [文・構成/吉元由美] 吉元由美 作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。 ⇒ 吉元由美オフィシャルサイト ⇒ 吉元由美Facebookページ ⇒ 単行本「大人の結婚」 森口博子、タクシーに乗って行き先を告げたら運転手が…?タクシー運転手の対応に反響が上がりました。タクシーに乗車して、目的地を告げると…? 「違和感ない!」「美しい」 森高千里が奇跡の『4ショット』写真を公開!2024年10月26日、歌手の森高千里さんがInstagramを更新。音楽番組『うたコン』(NHK)に出演した際の、オフショットを公開しました。 Share Post LINE はてな コメント
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
今日、ふらりと旅に出よう
ふらりと旅に出たい。木々を震わせながら吹く風を感じたい。何も考えずに波の音を聞いていたい。ぽっかりと海に浮かんでいたい。渓流の水の冷たさ、草原の匂い。
ほとんどの時間を家で過ごすのは決して苦痛ではありませんでしたが、自然の中に身を置きたいという思いは、旅への渇望をつのらせます。
実際、それなりに移動をし、何も気にすることなく旅を楽しんでいる人たちもいます。14歳になるシニア犬がいること、この夏は手首を骨折してすっかり体力が落ちてしまったことなど、社会の事情に加えてふらりと出かけられない事情が重なってしまいました。
つのる思いを叶えられないことが、さらに気力を奪っていく。少しずつ空気が抜けていく風船のように、自分が萎んでいくのです。
遠くへ行けないなら、近くの行けるところへ行こう。真昼の暑さを避け、午後4時すぎに車で15分ほどの広い公園へ行きました。
その公園は広い芝生の緑地の中にソメイヨシノ、ヤマザクラ、ケヤキ、クヌギ、コナラ、ミズナラなど多くの木が心地のいい木陰を作ります。四季折々の光景を楽しめ、我が家から一番近い、自然を感じられる場所です。
子どもたちがボールを追いかけている。若いお父さんが、よちよち歩く幼子を見守っている。ベンチで寄り添う恋人たち。木陰で本を読んでいる男性。おしゃべりに興じる女性たち。
公園という場にそれぞれの時間が流れている。そんな時間の尊さをふと思う。いつもならなんとも思わないあたりまえの日常のありがたさを感じるのは、自分の体が思うように動かないという体験があったからかもしれません。
散策していると、ユニークな枝振りの百日紅の木がありました。小さな赤い花が手毬のように。枝がくねくねと曲がりながら広がっています。その木陰で、おじいさんとおばあさんがお昼寝をしていました。
こうして年を重ねて、二人して公園で寛ぐ時間を楽しめる。なんでもない日常なのでしょうが、なんでもないことを「できる」ということが、実はしあわせなのだと思うのです。
何度も歩いたことのある公園ですが、気持ちの持ち方で発見することも変わります。目に映るすべてのものが語りかけてくる…そんなスイッチが入ったようです。
一回りして、先ほどの百日紅の木のあたりに戻ると、お昼寝していたおじいさんとおばあさんは、フリスビーに興じていました。お互いにキャッチできずに、拾っては投げ、拾っては投げを繰り返し、おばあさんの高らかな笑い声が空に吸い込まれていくようです。
ふらりと旅に出たい。広い緑地の真ん中に寝転んで、空の広さを抱きとるように。ほんの2時間、近くの公園をふらりと。
すっかりリフレッシュしました。願いを、ささやかでも行動に移してみましょう。心と身体を喜ばせるように、楽しませるように。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」