宇宙の時の流れの一雫にも満たない時間を生きる命の重さを、しみじみと思う
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
星空の片隅で
1日の長さは、1年に0.000017秒ずつ伸びている。月は1年に3.8㎝ずつ地球から遠ざかっている…ということを、多くの人は知っているのだろうか…。
と、冒頭から疑問を投げてしまいましたが、0.000017秒など感じられない時間とは言え、私が(これが1年)と思っている長さが不変のものでなかったのは、結構な衝撃でした。
物理学者の全卓樹は著書『銀河の片隅で科学夜話』(朝日出版)の中で、1日の時間が延びるのは、毎日の潮の満ち引きのときに海水と海底の摩擦が起こり、これが地球の自転を遅らせている原因だとつづっています。
そして月はその反作用で地球から遠ざかる…そして500億年後、1日は45日ほどの長さになるらしい。月は小さく見えて、潮の満ち引きもなくなるでしょう。
もっともその頃には膨張した太陽から宇宙線が降り注ぎ、人間は住んでいられない環境に。とても想像の出来ない未来がそこにあります。
先日、車の中でラジオを聞いていたら、国立天文台の教授が超新星爆発について解説していました。超新星爆発とは星の終わり。質量の大きな恒星がその一生を終えるときに大爆発を起こし、数ヶ月から数年にわたり太陽のように大きく明るく見える。
今、オリオン座の右肩にあるベテルギウスが暗くなり始めたために、終焉が近いのではないかと考えられているそうです。
宇宙は不思議に満ち溢れています。教授の話を聞いていると、その超新星爆発がこの数年のうちに起こりそうなかんがあります。
ラジオを聞きながら何だかわくわくしてきました。ナビゲーターの女性もうきうきした声で「何時頃起こるのでしょうか? 来年あたりですか?」と質問すると教授は「1、2万年のうちに…だと思います」と。
ああ、私は宇宙時間の中にいるのだった…。「近いうち」の桁が違いすぎます。
この果てしない宇宙の時空間の中に生きている私たち、なんて小さな存在でしょう。でも、そんな小さな存在である私たちの悲しみや孤独は時にとても深い。
生きようとする力は強く、その愛はとてつもなくあたたかい。宇宙の時の流れの一雫にも満たない時間を生きる命の重さを、しみじみと思うのです。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」