grape [グレイプ] entertainment

多くのカルチャーに影響を与えたLGBTQを扱った名作海外映画たち

By - grape編集部  公開:  更新:

Share Post LINE はてな コメント

性の多様性を取り巻く問題について考えることは、社会においてとても大切です。しかし、身近にそうした人がおらず、考える機会に恵まれない方もいることでしょう。

そんな時は、多様な性のあり方とそれを取り巻く問題をテーマにした映画を観るのがおすすめ。社会派からコメディまでさまざまな作品をご紹介します。

ハッピーなロードムービーから胸えぐられるドラマまで!

フィラデルフィア

まずは、1994年公開、名優トム・ハンクスが主役を演じ、世界的に大絶賛を受けた社会派ドラマ『フィラデルフィア』です。

法律事務所に勤めていた一流弁護士のベケットはある日自分がエイズに感染したことを知ってしまいます。無常にも会社に解雇を告げられた彼は、不当な差別を訴えて事務所への起訴を決意しますが…というのが、本作のあらすじ。

本作は、第66回アカデミー賞で主題歌賞、そして主演のトム・ハンクスは栄光の主演男優賞を受賞しています。

トムの名演はいわずもがなですが、彼に力を貸すライバル弁護士役のデンゼル・ワシントンの演技も見事な仕上がりです。

エイズ、ひいてはゲイの男性への差別を如実に描き出している本作。

とりわけ中盤に主人公のベケットが図書館で調べ物をしていると、エイズ患者が同室にいることをうとましく思った職員に「個室を使いませんか?」とやんわりとした差別を受けるシーンで、ベケットが毅然として断り続けるシーンは胸が締め付けられます。

プリシラ

次は、1995年に公開され、異なるセクシュアリズムを持つ3人のドラァグクイーンを描いたロードムービー『プリシラ』です。

あらすじは、シドニーで暮らすミッチ、バーナデット、フェリシアの3人のドラァグクイーンは、オーストラリアの砂漠地帯でのショーを依頼されてしまい、オンボロバスのプリシラ号に乗って果てしない旅に出る…というものです。

本作の主役3人は、映画『メメント』で主演を演じたガイ・ピアース、『マトリックス』シリーズで名悪役エージェント・スミスを演じたヒューゴ・ウィービング、そしてイギリスの名優であるテレンス・スタンプが演じています。

華やかな女装とメイクをほどこしたパフォーマー『ドラァグクイーン』を題材にした本作。

その魅力の1つは、『ドラァグクイーン=トランスジェンダー(男性の体に女性の性自認)』と思われがちな認識へのカウンターのように、主人公たちがゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーと異なるセクシュアリティを持つところです。

それを湿っぽくなく描いているところも、この作品のポジティブなパワーを感じさせてくれます。

ボーイズ・ドント・クライ

次は、2000年公開、主演のヒラリー・スワンクの苛烈で繊細な演技が激賞された傑作ドラマ『ボーイズ・ドント・クライ』です。

物語は、ネブラスカ州の小さな町に、美青年のブランドン・ティーナが訪れたことで始まります。

彼は地元の女性ラナと惹かれあい、男友達とも親交を深めますが、彼がトランスジェンダーであることが発覚したことで、自体は予期せぬ悲劇に進んでしまう…というのがあらすじです。

のちに映画『ミリオンダラー・ベイビー』で二度目のアカデミー主演女優賞を獲得するヒラリー・スワンクが、初めて同賞を獲得した本作。彼女の表現する主人公ブランドンのたくましさ、健気さ、孤独は必見です。

旧態依然とした町が、異なる価値観を受け入れられず、ブランドンに投げつける心ない言動の数々は、思わず目を背けたくなるものばかりです。

しかし、この話、なんと実話を基にしているんです。現実社会が持つ醜い側面を鮮烈に描き出した傑作映画です。

フィリップ、きみを愛してる!

次は、2010年公開のヒューマンコメディ『フィリップ、きみを愛してる!』をご紹介します。

物語の主人公である、妻と子と平和な日々を暮らしていた警察官のスティーブは、ある日瀕死の交通事故に遭ってしまい、自分を見つめ直す中で、自分がゲイなことに気付きます。

その後、詐欺を繰り返して身を持ち崩し、刑務所へ。しかし、そこで運命の相手である男性フィリップに出会い…というのが、あらすじです。

コメディスターのジム・キャリーが主演を務めた本作。自慢のハイテンションさに加え、繊細なスティーブの内面も描き出す演技は見事です。フィリップ役のユアン・マクレガーのキュートな演技も本作に華を添えています。

嘘を重ね落ちていくスティーブですが、根底にあるのはフィリップへの愛。

思わず舌を巻く彼の詐欺と脱獄計画の軽快さに笑わせられると同時に、その一途な愛にホロリとさせられます。そんな本作、なんと実話が基というのだから驚きです!

アデル、ブルーは熱い色

最後は、2014年公開、第66回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した衝撃作『アデル、ブルーは熱い色』です。

教師を夢見ている高校生のアデルが出会ったのは、美しい青い髪をした画家の女性エマ。瞬く間に惹かれあっていった2人は、ともに幸せな日々を過ごすようになりますが、エマの作品披露パーティーでのとある出来事がきっかけで、2人の心は離れ離れになってしまい…というのが、あらすじです。

本作でエマを演じたのは、のちに『007』シリーズでボンドガールにも抜擢された美しき名女優、レア・セドゥ。儚げで、それでいて人を惑わせるような絶妙な表情は必見です。

また本作は、その激しい性愛描写でも物議を醸しました。

それまで多くの作品では、セクシャルマイノリティたちの性愛描写はあえて意図的に避けられていた節も多かった中で、愛し合う者たちがたどり着く自然な行為として、生々しく描き出しています。

異なる性自認が無数に有ることは当たり前です。

これらの映画を見ると、その当たり前が『どれほど当たり前とされていないのか』について深く気づかされるはずです。


[文・構成/grape編集部]

出典
フィラデルフィア (字幕)The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert (1994) - Christening Priscilla (1/8) | Movieclipsボーイズ・ドント・クライ (字幕版)フィリップ、きみを愛してる!映画『アデル、ブルーは熱い色』予告編

Share Post LINE はてな コメント

page
top