【妻、小学生になる。第1話 感想】第1話から名シーン炸裂、演者の揺るがぬ演技力が光る注目作
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Twitterで人気ドラマの感想をつづり注目を集める、まっち棒(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。
2022年1月スタートのテレビドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
ある日突然、最愛の人と二度と言葉を交わすことができないと知ったら、人はこの先の人生に何を願うのだろうか。最愛の人がいない世界で何を希望として生きていけば良いのだろうか。
今作は、妻を亡くし生きる希望をなくした愛妻家の男と大人になりきれない娘に訪れた、家族の愛の物語である。
『妻、小学生になる。』最愛の人を亡くし、ゾンビと化した父親と娘
新島圭介(堤真一)は妻・貴恵(石田ゆり子)を愛してやまない愛妻家。
二人には引っ込み思案な性格の一人娘、麻衣(蒔田彩珠)がいるが、貴恵はそんな娘と夫をいつも太陽のような笑顔で優しく包み込む存在だった。
ある日三人は、菜園で収穫を終え、車で家へ帰る。
「君と出会った瞬間から、僕の人生の主人公は君だ」
「君が牛丼なら僕は紅生姜だし、君がミートボールなら僕はパセリ…」こんなクサい台詞でもこれが圭介なりの妻への向き合い方であり、精一杯の愛を伝えようとした結果なのが何より愛おしい。
しかし別れは当然やってきた。
帰りの道中、事故で妻は帰らぬ人となった。その瞬間、父と娘、二人の時間は止まった。『ゾンビ』になったのだ。
10年後の二人は会話もなく、買ってきた弁当を別々で食べるだけ。
同じ家にいながら二人は心もバラバラのすれ違いの生活を送っていた。
そして、ゴミや食べ残しが放置されたリビング、手入れされずに朽ち果てた庭。三人の日々が詰まった家はただ10年という時間だけを過ごしてきたように思う。
戸惑いを隠せない圭介と麻衣
そんなある日、ランドセルを背負った小学生が家に訪ねてくる。
「私は新島貴恵。あんたの妻。麻衣の母親」
突然の出来事、亡くなってちょうど10年。生まれ変わった妻が小学生の姿で帰ってきたのである。
口調もその笑顔も愛する妻のような女の子・白石万理華(毎田暖々)。記憶の中の妻と同じように振る舞う万理華を二人は信じることができず、戸惑いを隠せない。
娘の麻衣にとっては、自分よりも背も小さい見知らぬ小学生が母親など馬鹿げた話で、憤りを感じるのに無理もない。
しかし、頬をツンとしてくるところも、太陽の微笑みで自分のことを心配してくれるのも、全て大好きなお母さんなのである。
「出てってよ!そこはママの場所だから!」という麻衣の悲痛の叫びは、別れに区切りをつけることができない行き場のない感情を自分達にぶつけているようだった。
圭介も麻衣も、なかなか向き合うことができない。しかし貴恵はそれに動じず、二人の背中を押すのである。
そんな貴恵の純粋な笑顔や言葉が、二人の止まった時計の針を動かし、画面の向こうの私にも暖かな太陽の光が差した。
20歳の娘に、祝うことができなかった10年分のバースデーケーキ、ハバネロミートボールの手作り弁当。
何もしてあげられなかった空白の10年をいとも簡単に埋めていく貴恵。その愛を受け、圭介と麻衣の二人は小学校へ急ぐ。
北朝霞駅のホーム。プロポーズした場所。結婚記念日。プレゼント。家族旅行。
思い出を投げかけ合う時、周りの小学生が二人に注目しているなんてどうでもよく思えた。確かにあの場所には『三人』しかいなかった。
圭介、麻衣、そして小学生になった貴恵が手を繋ぎ走り出す。
ただ愛で繋がった三人が、新しい人生へと共に駆けていく姿に思わず涙してしまう。
そしてそれを祝うかのように、止まっていた風車がまた風を受けて勢いよく回り出す。
第一話にして、私の語彙力では到底言葉にできない史上最強の名シーン集に刻まれることになった。
『妻、小学生になる。』最大の魅力
初回は過去と現在がリンクしていく描写がとても印象的だった。事故の日、菜園で食べたハバネロ。出会った日に出してくれたミートボール。夜食に作ってくれたハバネロミートボール。
過去の出来事を丁寧に取り上げることで、今作った弁当に込められた愛をより深く感じさせ、新しい人生を歩んでいく希望が見えるのだと思う。
今作の魅力の一つに演者の揺るがぬ演技力がある。
太陽のような笑顔で微笑む石田ゆり子さんの安定感。そして中身は中年世代の母親、また、石田ゆり子さんの写鏡という重圧を一ミリも感じさせずに演じ切る、毎田暖々さん。
そして、身長も年齢も小学生より上なのに、完全に『子ども』に見える娘役の蒔田彩珠さん。
さらに、老け込んでもはや表情も無くなっていたが、貴恵と新しい時間を過ごす中でゾンビから見事に生還する堤真一さん。
「君が18歳になったら結婚しよう!」
そんな犯罪級の衝撃発言もなぜか「えっ、是非結婚してください!」という気持ちにさせられてしまったのも、堤さんの腕のなせる技なのかもしれない。
また、家族を囲む俳優陣もこれからの出番を期待させる。
人間は沢山の大切なものを失うが、その絶望の中で生きていかなくてはならない。
最愛の妻が小学生に生まれ変わって帰ってくる…そんなことが現実の世界では起こることなんてきっとないだろう。
しかしこの作品は、ファンタジーだからこそ描くことができる、見えない日常の小さな奇跡や純粋な愛と向き合う物語だと感じた。
残りの人生は余生だと思っていた夫と娘が、最愛の妻に再会し、これからの人生に希望を見出していく姿をこれから見守っていきたい。
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妻、小学生になる。/TBS系で毎週金曜・夜10時~放送
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[文・構成/grape編集部]