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【妻、小学生になる。第5話 感想】2つの家族が教えてくれた、平和を願うということとは・ネタバレあり

By - grape編集部  公開:  更新:

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Twitterで人気ドラマの感想をつづり注目を集める、まっち棒(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。

2022年1月スタートのテレビドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。

この平和がずっと続きますように。こう願うのは野暮なのだろうか。

自分を取り巻く環境はずっと平和だと思い込んで、周りの現実に目を向けないでいると『平和ボケ』だなんて言われる。

第5話では、妻にそんな平和ボケのハトと呼ばれてしまった新島圭介(堤真一)と、妻・貴恵(石田ゆり子)が、生まれ変わりの白石万理華(毎田暖乃)と、母親・千嘉(吉田羊)の壊れかけた家族の歯車を再び動かしていく。

真実を打ち明けるべきなのか、揺れる貴恵

交際相手に裏切られ、万理華が嘘をついて圭介と連絡をとっていたことを知り、千嘉は万理華に手を上げる。

すんでのところで圭介が止めたが、さらに千嘉の怒りを買うことになり、万理華は家から追い出されてしまう。

万理華は新島家に一晩泊まることになり、圭介と麻衣(蒔田彩珠)は、心配はしながらもママと一緒に過ごせることを純粋に喜ぶ。

あの頃と同じようにゲームをして、一緒に寝て、怒られて、笑って。そこにあるのは、平和で、暖かい家族の姿だった。

しかし、それに対比されるのは白石家の崩れかけた家族の姿。

万理華を勢いのまま追い出した後、一人玄関で泣き崩れる千嘉を思うと苦しさが増す。

「だったら出ていけば。この人のうちの子になりたいんでしょ。良かったじゃない、好きにしなよ…!」

千嘉はどこまでも孤独である。言いたくもない言葉が口に出る。心のキャパシティはすでに限界を迎えていた。

真実を打ち明けるべきなのか。母親としての立場や辛さを誰よりもわかっている貴恵自身と、万理華としての胸中を考えてしまうと、やるせない気持ちの残るお泊まりだった。

そんな貴恵にきっかけを作ったのは圭介だった。

本当のことを話すべきではないか。嘘はつき続けたくない…。これは、第2話の「嘘やごまかしで費やしたくないんだ、一分一秒も」という言葉からもわかるように、圭介なりの向き合い方が表れていた。

そして、万理華と圭介は生まれ変わりの真実を伝えることに。当然、千嘉は信じることはなく足早に帰ってしまう。

最近の万理華を見て、変化を感じたことはないかと聞かれても、考えることもなしに…。

千嘉に自身の母親の姿を重ねる貴恵

千嘉は、貴恵と弟・友利(神木隆之介)の母親に似てるという。

幸せにしてくれると相手に期待を抱くも、思うようにいかないと裏切られたと悲観的になる。

そんな母親に、貴恵は好物のオムライスを作ってあげ、イライラしないようにうまく立ち回ってきた。

しかし小学生の万理華には顔色を伺い、ただ黙るしかなかったのだ。

大好きなお母さんに「消えてくんないかな」と言われた日、万理華はもう元には戻れないことを幼いながらに悟り、自分の思いを胸に締まったまま過ごしてきたのかもしれない。

そして苛立った千嘉はついに、万理華に「邪魔なんだよ!」と声を荒げてしまう。貴恵はこう切り出す。

「今までも、娘にそんな言葉をぶつけていたの?子供が黙って聞いてるからって何も感じてないわけじゃないのよ」

そして貴恵は万理華としての記憶についての話をした。自分の母親に、伝えてきたように、優しく。

「楽しかった気持ち、全然思い出せない」

貴恵にとっては思い出せなくなった記憶の話。だがこれは、本当の万理華が抱くようになった気持ちを代弁しているように思えた。

貴恵が千嘉に作ってあげたのは、『オムライス』。万理華には作れない。気付こうとしなかった。余裕がなくて。考えようともしなかった。

「お母さん」じゃなくて、ずっと「ママ」って呼んでくれていたことも。

いつも自分の顔色をうかがって、真っ直ぐ目を見てこなかったことも…。

目の前にいるたった一人の娘は、『万理華じゃない』。

千嘉が貴恵の姿に驚いたのも、『大切な万理華』とは違うということにやっと気づけたからだろう。

圭介達は、生まれ変わりを信じたのは、愛する貴恵との記憶だったが、千嘉は万理華との記憶、そして万理華と過ごした平和で楽しかった日々があったから信じることができたのだ。

2つの家族が教えてくれた、平和を願うということ

『平和ボケのハト』呼ばわりされる圭介が、ここまで簡単に全てのきっかけを作ってしまうのが不思議でたまらない。

確かに以前の圭介こそ、万理華の家族や事情は見ずに、ただ幸せに浸っていたいだけのように思えるし、大切な人が今はたった『一人』しか存在しないのに、白石家と新島家のどちらも幸せに暮らせる方法を見つけ出すのは難しい。

「平和ボケのハトでいられるように…」と語る圭介は甘い幻想を抱いているように見える。

しかし平和が当たり前にあるのものではないということを一番わかっているのは圭介なのである。

幸せな日々は、別れの足音もないまま、突然奪われたのだ。

平和が永くは続かないことを知っているからこそ、『信じる』ことをやめないのである。

ボケているのではない。のほほんとしているのも、良くも悪くも、圭介は馬鹿がつくほど真っ直ぐなだけなのだ。

平和を願うということは純粋に、大切な人の幸せを願い続けたいという気持ちなのではないだろうか。

二つの家族が、私にそう教えてくれたような気がする。

この生まれ変わりが乗り移りを予感させる描写も…

再び動き出す二つの歯車は、どんな奇跡を生んでゆくのだろう。

第5話では蓮司(杉野遥亮)と麻衣の関係が進展したり、最後にはこの生まれ変わりが乗り移りを予感させる描写があったり…。

進む先に待ち受ける多くの選択肢にどのような答えを出していくのだろうか。

妻、小学生になる。/TBS系で毎週金曜・夜10時~放送

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[文・構成/grape編集部]

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