【オールドルーキー 第7話感想】実はいい人!?増田貴久演じる梅屋敷聡太の心境の変化を紐解く
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grape [グレイプ] entertainment
ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年6月スタートのテレビドラマ『オールドルーキー』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
綾野剛が主演を務める日曜劇場『オールドルーキー』の第7話は、車いすテニス吉木修二(福山翔大)と梅屋敷(増田貴久)の熱意がマッチした見応えのある回となった。
ビクトリーでは、初めてとなるパラアスリートのマネージメントをすることになったのだが、普段なら利益にシビアな梅屋敷が今回は並々ならぬ熱意で参加をしていた。
その理由は、大切な姪っ子への想いからだった。
家族を通じて、会社を通じて、このドラマでいま最も心情が変化している梅屋敷。
最初はカリカリしていて、いつも怒っている様子だったが、今はどうだろう。表情がどことなく柔らかくなったように思える。
また、社内の人間やアスリートに対する思いやりも一段と増している。
最初はイケ好かないと思ったけど、実はいいヤツだった。
これが梅屋敷の正体である。
今回は梅屋敷が目に見えて変化をしていった要因を紐解く。
車いすテニスにかける梅屋敷の想い
梅屋敷にとって大きな存在となっていたのは、車いすに乗る姪っ子の近藤桜(池端杏慈)だった。
桜もテニスをやっていたが、中学1年生の時に脊髄(せきずい)の病気で、その後は車いす生活を余儀なくされ、テニスからも離れてしまっていた。
そんな桜のために、梅屋敷は車いすテニスで活躍する吉木の姿を一度見て欲しいと思ったのだろう。同じ境遇で頑張る人に会えば、何か生きるヒントをもらえるかもしれない。
しかし、梅屋敷のそれはある種の同情だった。可哀想だから手を差し伸べていた感覚に近いのだと思う。
しかし、吉木が熱心にテニスに打ち込む姿を見て徐々に考えが変化していったのである。
その想いはスポンサーへ向けた梅屋敷のプレゼンではっきりとわかった。
「吉木さんのことも、どこかでかわいそうって思っていたんです。でも、必死に頑張っている姿を見て、間違っていることに気づきました。パラスポーツは特別なものではない。どのスポーツともなんら変わらないです。障害はハンデじゃない。君の個性だよって」
ビクトリーの社訓である「すべてのアスリートにリスペクトを」を大切にしている梅屋敷の想いが伝わる言葉であった。
この想いが届いたのか、吉木の試合後、姪っ子の桜は「車いすを買って」とおねだりをしていた。
姪っ子の心境の変化と希望に満ちた言葉に、顔を赤くして涙が溢れ出す、梅屋敷の姿はとても胸に来るものがあった。
新町の影響とライバルだった塔子の存在
梅屋敷が変化したのは、新町(綾野剛)と、ライバル関係にあった塔子(芳根京子)の存在もあるだろう。
最初の頃の梅屋敷を思い返してみると、「自分さえ出来ていれば良い」という考え方だったのかもしれない。仕事が出来る人にありがちである。
仕事が出来ない人に手を貸すこともしなければ、仕事が出来る人を目にすると危機感なのか異常にライバル心を燃やす。
しかし、ここ数話でその関係が変わって来ている。それは新町のチームワーク精神のおかげだ。
前回のバスケットボール選手の回では、新町が周囲にお手伝いをお願いし、チーム一丸となって仕事を成功させた。
個々で戦っていたビクトリーのメンバーが今はチームで仕事をするようになったのである。
今までライバル視していた塔子の見方が変化したのもそのおかげだと思う。
ライバルから仲間に変化したことで梅屋敷のより人間らしい一面が見られたのではないか。
『オールドルーキー』の初回で増田貴久の演技を見たときは、梅屋敷の怒りっぽいイメージに結びつかなかった面もあったが、優しさが溢れ出す今は増田貴久ならではの良さを感じた。
塔子への闘争心が恋心に変わったのは意外であったが、これはこれで今やドラマを盛り上げる要素となっている。
1話だけでなく長いスパンで見ることで、登場人物の心境の変化や主人公が与える影響が見えてくることもある。
『オールドルーキー』はただの1話完結ドラマではない。最初とは明らかに違う、ビクトリーメンバーの成長や変化にも注目していただきたい。
[文・構成/grape編集部]