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「昔、狩られた」「懐かしい…」 熱狂の渦に巻き込んだ『あのブーム』とは?

By - デジタル・コンテンツ・パブリッシング  公開:  更新:

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※写真はイメージ

日本で一大スニーカーブームが起こった1990年代。

当時、シンガポールを旅行していた筆者は、現地の人に日本語で、「NIKEの『エア マックス』あるよ」といわれて驚愕した覚えがあります。

『ナイキ エア マックス 95』は当時、日本では入手困難になり、『エアマックス狩り』などという言葉が生まれてしまったほど。現在では考えられませんが、社会現象といわれるほどの人気を誇っていました。

空気を入れた『NIKE』のスニーカーの誕生経緯とは?

1980年代に『NIKE』は、NBAのスター選手であるマイケル・ジョーダンを広告塔に起用。自社製品のアピールを始めたことにより、スニーカーブームが起きたと考えられています。

『NIKE』が新しくラインナップに加えた『AIR JORDAN(エア ジョーダン)』はアメリカで大ヒットし、このムーブメントが日本にも波及。

ソールにエアバッグを採用した『エア ジョーダン』シリーズや、エアバッグが見える『ナイキ エア マックス』シリーズのシューズを持っていたという人は多いかもしれませんね。

実はこの『エアテクノロジー』の追求は、1970年代から始まっていたものなのです!

ナイキジャパンによると、もともとエアテクノロジーはマリオン・フランクリン・ルーディさんという航空宇宙エンジニアだった人のアイディアでした。

ルーディさんは、1977年に「スポーツ用シューズのソールの中に小さな空気のバッグを入れて、衝撃を和らげる」というアイディアを、『NIKE』の創立者の1人であるフィル・ナイトさんに持ちかけます。

すでに、23社のシューズ会社に断られた後のことでした。

※写真はイメージ

ナイトさんは、そのアイディアを受けて、エアバッグを入れた試作シューズを製作。

実際に自分で履いて、アメリカのオレゴン州のビーバートンにある『NIKE』本社の周りを走ってみたところ…ナイトさんは興奮してオフィスに戻ってきました。

ルーディさん発案のシューズには、これまでにないスムーズなライド感がありました。

これが、『NIKE』のエアバッグを導入したシューズの始まりです。

初めてエアバッグを取り入れた『NIKE』の製品は、1978年発売のランニングシューズ『テイルウインド』です。

1980年代に登場した『エア ジョーダン』シリーズや、1990年代に大ヒットした『ナイキ エア マックス』シリーズは、1970年代に起こった革新を受け継いだ製品だったのです。

※写真はイメージ

ハイテクスニーカーの大ブームが起こった!

1990年代にはハイテクスニーカーが登場して、日本でも一大スニーカーブームが起こりました。

某スニーカーコレクターによると、ハイテクスニーカーとは、これまでになかったテクノロジーを盛り込み、近未来的なデザインを兼ね備えたスニーカーを指すといいます。

『NIKE』に負けじと、シューズメーカーの『REEBOK(リーボック)』もテクノロジーの成果を導入した画期的なスニーカー『Ventilator(ベンチレーター)』、『THE PUMP (ザ・ポンプ)』などを開発してスニーカーブームを牽引しました。

ポンプでフィット感を高める『ザ・ポンプ』

※写真はイメージ

『NIKE』が衝撃を緩和するために空気を利用したのに対し、『REEBOK』はフィット感を高めるために使いました。

それが1989年に登場した『ザ・ポンプ』。シュータン(※)の上部に丸い一種のボタンがあって、これを押して空気を送り込むとスニーカー上部に設けられたチャンバーという空気室が膨らんでフィット感が増すのです。

※足の甲部を覆うベロのようなパーツのこと。

後には、シュータン部分にだけ空気室を設けたモデルに発展し、『Pump Omni Zone II(ポンプオムニゾーンツー)』という人気スニーカーになりました。

衝撃吸収に新素材を投入した『ベンチレーター』

1990年に登場したのが『ベンチレーター』というシリーズのシューズです。

名前はそもそも、送風機という意味ですが、つま先と甲のパーツに通気性に優れたウインドウメッシュを採用。

衝撃を和らげるためにソール部分には、新開発された衝撃吸収材『Hexalite(ヘキサライト)』を搭載していました。

さらには、土踏まずの部分には『TPU』というプラスチックパーツを採用。まるで格子のような形状で、こちらも通気性のよさをアピールしていました。

空気室を複数設けて管でつないだ『DMX』

『REEBOK』では、1997年に『DMX』というシリーズのスニーカーが登場しました。

足の裏、ソールに複数のエアポッドという空気室が設けられており、これが管でつながっているものです。

力のかかりようによって空気が移動し、衝撃を和らげることができるという仕組みになっています。

まずエアポッドが10個ある『DMX 10』が登場し、エアポッドが6個の『DMX 6』、前後にエアポッドが2個付いている『DMX2』などのバリエーションもラインナップに加わりました。

『アルファゲル』を導入した『アシックス』のハイテクスニーカー

※写真はイメージ

『ASICS(アシックス)』では、1987年にソフトシリコーンを樹脂フィルムでシーリングした緩衝材『αGEL(アルファゲル)』を導入した、世界初のハイテクスニーカー『GT-Ⅱ』と『フリークスα』というシリーズのシューズが登場しています。

このソフトシリコーンは、スペースシャトルの衝撃緩衝材として使われたものです。

パックした『αGEL』を、もっとも衝撃が発生するミッドソールのスポンジ部分に埋め込むというブレイクスルーを達成。このモデルの走り心地のよさは画期的なものでした。

『アシックス』では、下記のような緩衝材の開発を継続し、スニーカーだけでなく靴の性能向上に努めているとのことです。

【『アシックス』が開発した緩衝材の種類】
1989年:HEXA GEL(ヘクサゲル)
1992年:PGEL(ピーゲル)
1995年:T-GEL(ティーゲル)
2001年:fuzeGEL(フューズゲル)
2018年:Hyper GEL(ハイパーゲル)

※写真はイメージ

『NIKE』から始まったといえるハイテクスニーカーが一大ブームを巻き起こす中、多くのメーカーが独自の技術と創意工夫を盛り込んだモデルを開発し、世に問いました。

進化したテクノロジーをスニーカーに搭載しようという動きは、2023年の現在でも続いています。みなさんはこれから、どんなスニーカーを履きますか。


[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]

出典
NIKE

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