妊婦を運ぶ『陣痛タクシー』 日本交通に聞いた「車内で生まれたことは?」「運転手の本音は?」
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ダルビッシュ有が日本に帰国 向かった先は…?2024年11月12日、メジャーリーグの『サンディエゴ・パドレス』に所属するダルビッシュ有選手が、自身のブログを更新。日本に一時帰国していたことを明かしました。
俳優・火野正平さんが逝去 腰痛の治療に励むも腰部骨折に火野正平さんが亡くなったことが分かりました。ご冥福をお祈りいたします。
- 出典
- 日本交通株式会社
grape [グレイプ] society
みなさんは『陣痛タクシー』をご存じでしょうか。『陣痛タクシー』とは、陣痛が起こった際に、妊婦が優先してタクシーの手配ができるサービス。
スムーズにかかりつけの病院などに行くことができるため、非常に助かるサービスとして重宝されています。
本記事では、『陣痛タクシー』のサービスを提供している、日本交通株式会社協力のもと、『陣痛タクシー』の乗車方法や利用時に注意すること、さらに『陣痛タクシー』の乗務員に聞いた思い出深いエピソードなどをご紹介します。
2012年から始まった『陣痛タクシー』とは
――『陣痛タクシー』とはどんなサービス?
『陣痛タクシー』は、かかりつけの病院など、事前に妊婦の情報を登録いただくことで、陣痛時に優先的にタクシーを手配し、病院までお送りするサービスです。
「妊婦の陣痛時にもタクシーを利用できる」ということを認知してもらうための1つのサービスとして、2012年から取り組みを始めました。
実は都内での取り組みは弊社が初めてなのです。
※写真はイメージ
――具体的な目的は?
『陣痛タクシー』の意義は、以下のように認識しています。
1.緊急時でも迅速に手配し、妊婦の負担をより少なく、安心して病院まで移動して頂く。
2.『陣痛タクシー』として認知いただき、利用者数が増えることで、陣痛時の救急車の利用を減らす。
特に、適正な救急車利用の促進につながることから、陣痛時のタクシー利用は消防庁からも推奨されています。
2023年現在、タクシー業界をあげて『陣痛タクシー』は社会貢献の取り組みであると認識しています。
2013年に東京消防庁から表彰された時の様子(提供:日本交通)
『陣痛タクシー』の利用方法を知っておこう
――どのくらいの人が利用している?
弊社では、2023年2月現在、累計で約34万件のご登録、約11万件のご利用をいただいています。東京都内の妊婦の2人に1人が登録されている状況です。
『陣痛タクシー』の利用方法を聞いたところ、以下のような流れで使えるとのことです。
1.専用の登録フォームから利用者情報を登録。氏名や連絡先だけでなく、かかりつけの病院、出産予定日や自宅など迎え先の住所といった情報も登録。
2.陣痛が来たら、かかりつけの病院に電話し、病院からの指示を仰ぐ。
3.登録した電話番号から、『陣痛タクシー』専用の電話番号へ電話する。その際、迎えに行くタクシーの無線番号(車体横に表示されている番号)と到着予定時刻が伝えられる。
4.迎えに来たタクシーに乗車。事前に病院は登録されているため、道中は行先の説明や道案内をする必要は不要。
※写真はイメージ
――タクシー料金や送迎料金以外に、別途料金が必要?
いいえ、料金は通常のタクシー利用と同等(メーター運賃+迎車料金300円)です。また、『陣痛タクシー』の登録料金もありません。産前・産後で健診に通院される際にもご利用いただけます。
ただし、登録は出産予定日の1か月後に解除になるので注意してください。
――そのほか、利用するうえで用意するものや注意点は?
陣痛時の利用では、大きめのバスタオルかレジャーシートなどを用意してタクシーの到着を待っていただきます。
また、登録完了まで1週間程度かかる場合もあるので、予定日の1か月前までを目安に、早目の登録をおすすめしています。
『陣痛タクシー』を手配いただく前に、必ずかかりつけの病院に連絡し、指示を仰いだうえで利用してほしいです。
『陣痛タクシー』の実情に迫ってみた
――どんな人が『陣痛タクシー』の運転手に選ばれる?
弊社の場合は、陣痛時にいち早くお迎えに上がれるよう、助産師による妊婦の送迎に関する講習を受講した上で、全乗務員を対象としています。
送迎に関する講習会の模様(写真:日本交通)
送迎中に起きた、3つの出産エピソード
『陣痛タクシー』の乗務員に「病院までの送迎中に赤ちゃんが生まれるケースもあったか」と聞いたところ、「病院へ妊婦を引き継ぐ前に、車内で出産にいたるケースが何度かあった」との回答が!
ここからは、陣痛タクシーを運転していた時の驚きのエピソードを3つご紹介します。
乗車5分後に破水が始まってしまったが…
1つ目は妊婦と母親の2名で乗車された時のエピソード。乗車時からすでに激しい陣痛が始まっており、かなり切迫した状況の中でタクシーは発進しました。
乗車5分後には破水が始まり、とても病院まで間に合う状況ではなかったので、狭い路地を走行中、冷静に広い道路に出てから停車し、行き先の病院に連絡をとったそうです。その電話中になんと出産!
その後、乗務員は車内の状況を病院に伝えながら、医師の指示の下で救急車を手配し、母子ともに無事、病院に搬送されました。
自身の子育て経験をいかして…
2つ目は病院へ向かう途中に陣痛が激しくなってしまったケース。初産のため夫婦で動揺されていましたが、乗務員には2人の子供がいるため、自身の経験を踏まえ、呼吸法を教えながら病院まで送ったそうです。
病院到着後、医師が駆けつける前に車内にて出産。後日お客さまから、感謝のお便りが届いたといいます。
担当した乗務員は当時のことを、次のように振り返りました。
母子ともに健康で、無事出産できたので大変よかったです。乗車前からすでに陣痛が始まっており、送迎中は実はかなり緊張しました。
「自分の身内だったら何ができるか」を考え、声掛けしながら送迎しました。
後日お客様から届いた感謝の手紙には、赤ちゃんの写真も入っており、改めてこの仕事してよかったと感じています。
続けて、「これからも1人でも多くの妊娠している人の力になれるように頑張ります」と語っており、その時の経験がモチベーションにつながっているようです。
不安を取り除くために何度も『声掛け』を!
最後は、妊婦と夫の2人で乗車してきた時のエピソードを紹介します。
乗車時には落ち着いていた妊婦が、直後から陣痛が始まったとのこと。
同乗する夫が病院に連絡を入れ、乗務員は妊婦の不安を取り除くべく「もうすぐですよ」と何度も声を掛けたそうです。
病院到着前には破水が始まり、到着して乗務員が後部左側ドアのほうに回り込んだ瞬間に出産!
すぐさま乗務員が受け止め、「寒いだろう」と思い、すぐに赤ちゃんをバスタオルで包み、先生が駆けつけるまで10分間抱きかかえていたといいます。
その後、「出産後、赤ちゃんを抱いた時の感激は忘れられない」とのことで、汚れたシャツは感動のまま記念に残したいと語っていたそうです。
社会的意義のある『陣痛タクシー』
――やりがいや魅力について、乗務員からはどんな声がある?
先ほどのエピソードのように、緊急時など乗務員にとっても非常に緊張する場面があります。
しかし、「人の役に立っている」ということは乗務員にとって、大きなモチベーションや励みになっています。
『陣痛タクシー』は、陣痛時にスムーズに病院まで行くことができるだけでなく、救急車の正しい利用の促進にも貢献する社会的な取り組みです。
徐々に認知度も高まっていますが、「知らなかった」という人は、もしもの時のために利用方法などを覚えておくといいでしょう。
[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]