今の自分に合った靴は? 「どんな靴を履いて歩くか」それは生き方の象徴でもある
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
ハイヒールという憧れ
ハイヒールが大好きです。ハイヒールを履くとすっと背筋が伸び、肩甲骨をくっと寄せて胸を張る。
女性を美しく、凛と、エレガントに見せ、気持ちも引き締まるのはハイヒールだと……履けなくなった靴の箱の山を見て思います。
靴のサイズは変わらないのに、履けなくなった靴たち。木型なのか、ヒールの高さなのか。体型の変化だけでなく、歩き方の癖、体重のかけ方、何十年もの時間は足の骨と筋肉を変えていったのでしょう。
鍛錬を重ねて、ベストな状態を維持できている人を、心から尊敬します。時の流れのせいにしてはいけないですね。運動不足が続いた自分のせいであります。
私が足の異変に気づいたのは7、8年前のこと。あるハイヒールを履いていて、どうにもこうにも痛くなることがありました。
まさかの巻き爪、そして外反母趾。デザインが気に入っていたそのハイヒールの靴底は固く、足、そして体全体に負担を強いていたのです。
アメリカのドラマのビジネスシーンで、女性たちがハイヒールを履いてカツカツとオフィスを闊歩している姿への羨望は、やがて(よくそんな靴で一日歩けるなあ)という感心へと。
足が痛くなっても頑張って履く。背伸びをして生きるというのは若さの特権なのですね。
自分の理想、憧れに近い自分を目指すのは、心地よい高さよりも数センチ高いハイヒールを履くようなものなのかもしれません。
少し負荷をかけることは、自身の成長にもつながっていたのでしょう。でも、あるとき足の痛みによって、もうそのやり方では成長できないことを自覚する。
今の自分に合った靴を選ぶ。どんな靴を履いて歩くか。それは生き方の象徴でもあるように思います。
背伸びをするように生きるのではなく、大地を踏みしめて生きていく。それが最近では心地のよく、今の自分に合った歩き方ではないかと思うようになりました。
昨年ニューヨークへ行ったとき、二週間、スニーカーで歩き回りました。そして周りを見回してみると、ほぼみんなスニーカーを履いています。
オフィス街でもスーツを着た多くの女性たちはスニーカーを履いていました。機能性重視、東京でもスニーカー率がぐんと上がったように見受けられます。
でも、機能性ばかりではつまらない。マンハッタンのマノロ・ブラニクやクリスチャン・ルブタンのブティックのウィンドウには、素晴らしくエレガントなハイヒールが並んでいました。
見ているだけでうっとりします。美しく、華奢なデザインの靴はもはや芸術作品。デザインだけでなく、歩きやすさなども計算されているのでしょう。
機能性と憧れの両立。ハイヒールは再び憧れになってしまいましたが、美しいものを鑑賞する楽しみは感性を刺激を与えてくれそうです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」