育児休業の取得率が30%超え 男性「夫婦で向き合えた」「会社を明るくしたい」
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- 出典
- 厚生労働省
2024年7月31日、厚生労働省は『2023年度雇用均等基本調査』によって、男性の育児休業取得率が30.1%だったことを公表しました。
同調査によれば、数値は11年連続で上昇。22年度の17.1%から倍以上になっており、男性が育児休業を取りやすい環境が整いつつあるのかもしれません。
『育休』は取るべき? 男性2人にインタビュー
子供を授かった夫婦は、さまざまな選択に迫られることになります。その1つが、仕事と子育ての両立です。
共働き世帯の場合は、出産した妻だけでなく、夫も育児休業を取得するか否か、悩むことがあるでしょう。
職場によっては、男性の育児休業取得に協力的でない場合もあるため、「まとまった休みを取ってしまったら、会社の負担になるのでは」「将来的に出世などに響くのでは」と、心配する声も少なくありません。
※写真はイメージ
2歳になる男児を育てる筆者。自身も育児休業を取得した経験から、関心があったため、育児休業を取得した男性と、そうではない男性の2人にインタビューを実施しました。
それぞれに当時を振り返ってもらいつつ、育児休業を取得するメリットやデメリットについて聞きました!
まずは、育児休業を取得したAさんに聞きますね。取得したのは、いつで、どれくらいの期間でしょう。
2023年8月に、1か月間取得しています。初めての子育てで不安があったため、夫婦で話し合いを重ねました。
初めての子育ては、大変だったのでは?
正直、大変なことだらけです。これまでの、仕事中心の生活からガラリと変わりました。
日中も深夜にも関わらず、子供にミルクを作らなければいけません。それ以外にも、オムツ替えや沐浴(もくよく)、夜泣きを繰り返す寝かし付けなど、さまざまなことに追われる日々でした。
それは大変でしたね…。
大変な1か月間でしたが、子供の成長を間近で見られたこと、夫婦で子育てに向き合えたことは、何ものにも代えがたい時間です!
おかげで、現在1歳になる、子供との心の距離を縮められたと思っています。
仕事への復帰はスムースでしたか。
育児休業に入る前に、同僚がうまく仕事を引き継いでくれたので、助かりました。しかし、休業中でも仕事のことが気がかりで、完全に忘れることはなかったですね。
復帰してからの1週間は、本業を離れて社内の管理業務を担っていました。そこまではよかったのですが…。
『そこまでは』…?一体、何があったのでしょう…。
本格的に本業に就くと、残業もしなければならない状況に…。平日は、ほとんど妻が1人で子供の面倒を見ていました。
子供が熱を出すことが日常茶飯事だったため、妻に過度の負担がかかる時は、定時で仕事を切り上げたり、早退したりと、肩身の狭い思いに駆られていたのです。
なかなか、会社の理解を得られるまでにはいきませんでしたか。
育児休業中の経験を社員に伝えていくことで、理解を深めてもらうきっかけになればと思っています!
そうすることで、実際に育児休業を取りやすい環境が整うことに期待したいです。
育児休業を取らない理由は?
Bさんは、どうして育児休業を取らなかったのですか。
正直なところ、育児休業を取得する選択肢はありませんでした。子供が生まれたのは、年末の繁忙期です。しかしそれ以前に、会社で1か月間連続で育児休業を取った人が1人だけいたのですが、当時の状況を繰り返すと思うと…。
一体、何が…。
育児休業を取った人の穴を埋めるため、1人の社員にシワ寄せがいってしまいました。
元々、それぞれが抱える仕事だけでも精一杯の会社です。1人が減った時の苦労を知っているからこそ、再びあの時の状況を繰り返すわけにはいきません。
育児休業者が戻ってきてからは、どうなりましたか。
責任を感じて、会社を辞めてしまう事態になったんです。
誰も彼の気持ちに寄り添えるほど余裕はなく、疲れきっていたこともありましたね。
会社の誰1人として、子育てに対する理解がなかったのが、原因だと痛感しています。
それは、残念でしたね…。
子育て経験のある人の意見に、耳を傾けることが大事でしょう。育児休業の仕組みを理解するため、セミナーに参加するのもいいかもしれません。
子育ての経験が、仕事のアイディアにつながるはず!せっかくの経験を無駄にすることなく、復職できる環境を整えていかないと、会社の未来は明るくならないと思います。
育児休業の取得は、労働者の権利です。
しかし、働く職場の環境が整っていなかったり、子育てへの理解がなかったりする状態だと、育児休業の制度があっても、利用をためらってしまう人もいるようです。
とはいえ、責任ある立場であったり、進行中のプロジェクトを抱えていたりなど、さまざまな理由から、長期間続けて育児休業を取れないケースもあるでしょう。
その場合は、子供の誕生から8週間以内に、28日間を限度として2回に分割できる『産後パパ育休』の制度もあります。子育てと仕事を両立させるために、このような制度を検討してもよさそうですね。
またインタビューした2人の男性が共通して話すのは『復職してからのケアの大切さ』。
取得者が経験を語る機会を設けたり、取り組みやすい仕事から始めてもらったりと、復帰してからの仕事を想定しておくべきではないでしょうか。
育児休業を取ったからといって、子育てが終わるわけではありません。
仕事とうまく両立しながらも、子供の成長を安心して見届けられる環境が整っていくことに期待するばかりです。
[文・構成/grape編集部]