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「今までの日曜劇場とは少し違う」 無骨な阿部寛、若手2人のスマートな有能さ『キャスター』第1話

By - かな  公開:  更新:

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『キャスター』場面写真

SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。

2025年4月スタートのテレビドラマ『キャスター』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。

かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。

冒頭から自分語りで申し訳ないが、2001年から15年ほど書店員をしていた。

文芸書の担当として仕事に慣れた頃だった。人文書の担当から「オカルト本かと思ったけどテレビ関連本だった」と回ってきた新刊があった。

タイトルは『どんと来い、超常現象』。著者名は上田次郎。表紙には不敵に笑う俳優の阿部寛。

数秒考えて、「あ、ドラマのTRICKの」と理解した。

当時、テレビの関連本は、ごく一部の例外を除いてさほど売れなかったため、たかをくくっていたら、発売直後からかなり売れて慌てて追加発注した。

売っている時は、「ふざけた本だ」と苦笑いしたが、今改めて思えばそのふざけた本を陳列していたこの時期が、阿部寛という『やたらと背の高い色男』がこの国を代表する堂々の名優へと脱皮しつつある、そのときだったのだと思う。

阿部寛と、若手2人のスマートな有能さ

日曜の夜9時、TBS系のドラマ日曜劇場。通称『日劇』に阿部寛が戻ってくる。

新参者の刑事、東大合格請負人、下町工場の悩める社長、捜査する潜水士、公安外事課の刑事と、八面六臂であらゆるヒーローになった阿部が今回挑むのは、ニュースキャスター

大手メディアの報道がことあるごとに『マスゴミ』と揶揄されて権威が沈み続けるいま、そこにヒーローは成立しうるのか。

低視聴率にあえぐ民放局の報道番組・ニュースゲートのテコ入れに招請されたのは、公共放送を辞した型破りなキャスター、進藤壮一(阿部寛)。

スクープを猛烈に追求し、スタッフとの軋轢も臆しない一匹狼ぶりで、周囲を振り回す。

『キャスター』場面写真

そんな進藤と時に激しく対立しながらも、社会正義を信じ、強い信念をもってニュース番組を作り上げようとする総合演出担当の崎久保華(永野芽郁)。

そして、対立する進藤と崎久保の間で、自分なりのあり方を求めて報道と向き合う若きAD・本橋悠介(道枝駿佑)。

『キャスター』場面写真
『キャスター』場面写真

この三人をストーリーのコアとして、番組のスタッフ、政治家、取材相手と豪華な助演陣が全方位を固める。

初回は内閣官房長官・羽生剛(北大路欣也)のスキャンダルと健康問題の報道をめぐり、大物政治家と進藤の虚々実々の駆け引きがスピード感あふれる展開で描かれていた。

『キャスター』場面写真

「意外」というか興味深く感じたのは、進藤をとりまく若手2人のスマートな有能さだ。

崎久保も本橋も職業もののドラマにありがちな、若者としてのわざとらしい未熟さは殆どない。

『キャスター』場面写真

あらゆる手段を用いて必要な情報に最短距離でたどり着き、自分なりに判断を重ねていく。

進藤も彼らの有能さを認めつつ、報道に携わる者として真剣に価値観をぶつけ合う。

「これは今までの日曜劇場とは少し違うぞ」と期待値が更に上がった。

彼らやニュースゲートを作り上げるスタッフたちの物語もこれからより深く描かれていくはずだ。

『キャスター』場面写真
『キャスター』場面写真

医師、教師、弁護士、上司、経営者。いま、この国のドラマや映画でリーダーの役を演じる俳優として、すぐに何人か顔が浮かぶ。

鈴木亮平の慈愛、堺雅人のしなやかさ、長谷川博己の孤高。

もちろん阿部寛はそういった存在の筆頭である。そして彼が演じるリーダー像の個性は『無骨』ではないかと思う。

『キャスター』場面写真

粗にして野だが卑ではない。ときに無茶もするが、情にあつい勝負師。

その個性がただの古くさい男らしさの優位に見えないのは、偏屈な物理学者、結婚できない面倒くさい男、風呂を愛するローマ人といった、コミカルな役を行きつ戻りつしながらキャリアを積んだ軽やかさゆえだろう。

『キャスター』場面写真

フィクションのエンターテイメントで報道を描くのは、細い綱で綱渡りをするような難しいものだと思う。

マスコミの発信の信頼度が揺らいでいる令和の今であれば、尚更だ。

だからこそ、阿部寛と百戦錬磨の制作陣が、どんな希望と活力を日曜の締めに見せてくれるのか楽しみにしている。

『キャスター』場面写真

[文・構成/grape編集部]

かな

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