獣医師「熱中症で死に至ることも!」 的確な予防で大切な犬や猫の命を守る
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――その他にも犬種によって熱中症になりやすいなどの特徴もあると言います。
「DNA云々という問題ではなく、単純に体の構造上の問題ですが、パグやフレンチブルドッグなどの顔の潰れた犬種は熱中症になりやすいという特徴を持っています」
――どういった理由から熱中症になりやすいのでしょうか?
「顔が潰れた子は愛嬌があって可愛いのですが、気道が狭いため、呼吸での体温調節が苦手です。体内に熱がこもりやすく熱中症になる確率が高いのです」
「また、興奮することで体温が上がり、熱中症になってしまうケースもあります。意外に感じるかもしれませんが、精神面が熱中症を誘発する要因となることもあるのです」
――年齢や体型、持病の有無なども熱中症のリスクにつながる可能性があるとのこと。
「肥満気味の犬は、皮下脂肪が断熱材となって体内に熱がこもりやすく、理想体型の犬に比べて心臓に負担がかかります。子犬は、体の生理機能が未発達で体温調節が上手くできないことも」
「ほかにも老犬は体の生理機能が衰えており、体温調節が上手くできないケースも見られます。心臓疾患や気管の病気を持っている犬も循環機能、呼吸機能が低下し、体温調節が難しい場合があります。こういった理由から熱中症のリスクが高まります」
――犬や猫の熱中症はどのくらい危険な症状なのでしょうか?
「あまり危機感を煽ってはいけませんが、処置が遅れると死に至るケースも。『息遣いが荒い』『ヨダレが多い』『触っただけで体温が高いと分かる』などの症状があったら素早く病院に連れて行きましょう」
熱中症の予防法や対処法は?
――犬や猫が熱中症にならないためには、どういった予防法が有効なのでしょうか?
このようなことに注意してもらえると熱中症の予防になると思います。
――「夕方の散歩を避ける」というのは少し意外な気もしますが。
「日が沈み、『涼しくなったから大丈夫』と散歩される方が多くいらっしゃいますが、地面にはまだ熱が残っており、人よりも地面に近い場所にいる犬や猫は放射熱の影響を受けやすいのです。
「また、熱中症に注意すべき時期は6月~9月です。特に6月は『まだ大丈夫だろう』という飼い主さんの油断もあるのか、気温の割りに多いように感じます」
――犬や猫に留守番を任せて出掛ける時の注意点はあるのでしょうか?
「室内の風通しに気をつけるほか、留守中はカーテンを閉めて、エアコンのドライ(除湿)モードで、室温が上昇しないよう快適な温度を保ってあげましょう。」
「窓際はエアコンを入れても高温になりますが、エアコンの正面は冷気が直接あたって冷え過ぎます。ケージに入れる場合は、置き場所に気を付けてあげてください。全体の目安としては『人が暮らして不快ではない温度』です」
――どんなに注意をしていても、飼っている犬や猫が熱中症になってしまうケースもあります。実際に熱中症になってしまった場合は、どう対処すればいいのでしょうか?
「応急処置は基本的に人間と同じです。意識がある場合は、素早く体を冷やして水分補給も行います。スポーツドリンクなら2倍に薄めて飲ませるといいでしょう」
「冷水で濡らしたタオルや保冷剤を脇の下、内股の付け根に当てたり、冷水を体全体にかけるなどして、急いで体温を下げます。39℃程度まで下がったら素早く動物病院へと連れて行きましょう」
――意識がない場合はどうすればよいでしょうか?
「体を冷やし、一刻も早く動物病院へ連れて行きましょう。ただし、移動中も体を冷やしてあげることが大切です。また、見た目が普通に戻っても体内の循環器や臓器がダメージを受けている場合があります。必ず病院で診察を受けるようにしてください」
「現在は、動物用の経口補水液も、病院やペットショップで販売されているので熱中症予防として購入しておくことをオススメします」
保冷材を正しく使うのはもちろん、ペットの熱中症予防にも十分注意したいですね!
取材にご協力いただいたのは『厚木プリモ動物病院23時』の岡部院長。休診日はなく、毎日23時まで診療を行っています。生活面や費用面の相談なども気軽に行える雰囲気の動物病院です。