連休中の昭和の日、今年は数えて昭和１００年に該当するのだと知った。

かつて昭和がどんな時代だったかと語るテレビ番組を眺めながら、この国の芸能におけるアイドルの立ち位置もまた、昭和から令和にかけて著しく変わったものの一つだと思う。

令和は芸能事務所を経由しなくても個人の発信から誰かの偶像になれる社会でもあるし、同時に不祥事で、アイドルであり続けることが困難になる場合もある。

どこから誹謗中傷の弾が飛んでくるか、自分が何を目指しているのか見えづらくなったこの社会で、道枝駿佑はアイドルとして、そして俳優として真っ直ぐに立とうとしているのだと、第３話を見て思った。

視聴率が凋落したニュース番組、ニュースゲートのテコ入れに招かれたのは、型破りな一匹狼のキャスター・進藤壮一（阿部寛）だった。

違法すれすれ、モラル度外視の取材で次々とスクープを取ってくるが、現場は振り回されて右往左往している。

とりわけ振り回されるのは総合演出担当の崎久保華（永野芽郁）と、ADの本橋悠介（道枝駿佑）だが、三者それぞれに目指す報道のあり方を求め、時に反発しながらも共闘していく。

３話は、新たに発見された画期的な万能細胞の研究データねつ造をめぐるエピソード。

２話に続き、誰しもが「あれか！」と即座に思い浮かべる、有名な現実の事件を下敷きにした内容である。

ねつ造疑惑をかけられた女性研究者・篠宮楓を、のんがテレビドラマの長いブランクを感じさせない存在感で演じた。

無垢で頑固で透明。社会の流れに上手くはまれない硬質さと、無二の輝き。

個人的にはドラマファンとして、これだけの才能を持った俳優の２０代に、もっと多くの映像作品を残せる環境がどうして整わなかったのかと思う悔しさはどうしても消えない。

しかし、今回のゲストとしての演技に、この先彼女が見せてくれる役の数々を見逃さずに見届けたいと改めて思った。

今回は、のんのゲスト出演ともうひとつ、やはり道枝駿佑のフレッシュな演技が強く印象に残った。

進藤に「今、お前は誰なんだ？」と厳しく問われた時の「報道マンです！」という必死の表情からは彼の素直さと品の良さ。

そして研究室への侵入を見とがめられた時の苦い顔には、計算のないかわいらしさが溢れていた。

道枝駿佑を最初に見たのはテレビドラマ『母になる』（日本テレビ系）だった。

実母と養母の間で揺れる少年という難役をみずみずしく演じていて、否応なく名前を覚えた。

その後の仕事ぶりを見ると、宮藤官九郎脚本のテレビドラマ『俺の家の話』（TBS系）、『24時間テレビ』（日本テレビ系）のドラマスペシャルの主演、そして『金田一少年の事件簿』（日本テレビ系）の金田一。

ずらりと並んだこれらは、いわゆるSTARTO ENTERTAINMENT社の俳優としての『登竜門』の仕事である。

アイドルとして、事務所の俳優部門の切り札として、大きな期待とファンの愛情を背負って道枝駿佑は歩いている。

アイドルであることと俳優であることの両立は、案外険しい道だと思う。

仕事は多岐にわたるし、アイドルなればこそ演じることが難しい役柄もある。

飛び石を歩いて渡るように、限られた選択肢を選びながら、キャリアを積んでスキルを磨いていく。

同じ道を行く先達として、木村拓哉、岡田准一、二宮和也らが挙げられるだろうが、それぞれに今や俳優として個性が際立っている。

コツコツと歩いて行く道枝駿佑の先には、どんな味のある『個性』が待っているだろうか。

徐々にメインの３人、進藤・崎久保・本橋以外のニュースゲートのスタッフについても、各々の人物像が見えはじめている。

次回は、いま最も引っ張りだこの俳優の一人である岡部たかし演じる局長・海馬がクローズアップされるようだ。

阿部寛との掛け合いがどんな渋い展開になるか、今から楽しみでならない。

道枝駿佑が主演のサイドストーリーも配信中

『U-NEXT』では、サイドストーリー『恋するキャスター』が動画配信サービス『U-NEXT』で毎週日曜に独占配信中。

ほかにも、永野芽郁さん主演映画や、TBS系のドラマ作品など、さまざまな作品が配信されています。気になる作品を見つけてみてくださいね。

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[文・構成／grape編集部]