昭和→平成はどうだった? 天皇陛下のお気持ち表明に「自粛ムード」の本質を考える
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2016年8月8日、天皇陛下は生前退位へのお考えを示唆する内容のビデオメッセージを公開されました。
この中で、お気持ち表明に至った理由の一つとして、天皇陛下が挙げられたのが「社会の停滞」などへの懸念でした。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、社会全体が陛下の健康不安から「自粛ムード」に包まれてしまうことを懸念された可能性も否定できません。
昭和天皇の健康不安が伝えられた1988年秋以降
昭和から平成に元号が変わった1989年は、どうだったのでしょうか?
昭和天皇が崩御されたのは1989年1月7日。
提供:産経新聞社
日本全体を覆う自粛ムードは、昭和天皇の容体悪化が伝えられた1988年9月19日から始まっていました。
1988年10月から12月にかけては、日本全体が「自粛すべき」といったムードに包まれ、クリスマスケーキの生産量が減少するなど、経済にも大きな影響を及ぼします。
年が明けて、1月7日に昭和天皇が崩御されると自粛ムードは一気に加速し、その雰囲気は2月24日の大喪の礼まで続きました。
提供:産経新聞社
近年の自粛ムードは東日本大震災後
記憶に新しいところでは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の後も、日本は「自粛ムード」に包まれました。
各地でお祭りが中止され、コンサートなどは「電力の無駄」「こんな時に必要ない」といった世論によって、中止せざるを得ない雰囲気に。プロ野球のオープン戦なども一部中止されました。
提供:産経新聞社
また、「不謹慎である」という言葉が頻繁に使われ、「不謹慎な行動をする人を指摘する、あるいは晒す」といった行為が不謹慎狩りと呼ばれるなど、楽しそうにすることすら許されない風潮がありました。
一方では経済への影響も懸念され、内閣府は2011年度の年次経済財政報告の中で、次のように示しています。
震災とその後の自粛ムードが消費活動の停滞を引き起こし、景気全体を押し下げる要因の一つになったと指摘しています。
天皇陛下のお気持ちはどのように反映されていくのか
天皇陛下がお気持ちを表明された理由は決して一つではありませんが、大きな理由として「社会が停滞することへの懸念」があったように感じます。
もちろん、経済的な停滞を避けるためだけに「自粛をする必要はない」といった短絡的な考えが正しいわけではありませんが、「何でもかんでも自粛をすればいい」という単純な問題でないのも事実。
いつか訪れるであろう、その時、私たち日本人はどのように考え、どう行動すべきなのか
陛下のお気持ち表明が、私たちに「自粛ムードとは何か」を考えるきっかけを与えて下さったのかもしれません。