手塚先生のところにアシスタントで行ったのに「帰っていいよ」しか指示がなかった
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念願の手塚先生に対面するも…
アシスタントとして手塚先生から呼ばれた大橋さんが手塚ビルに入ると、そこにはアシスタントの先輩が3人いました。
手塚先生は上の階で、作業中とのこと。
「今は待機の時間だったのか」と座って待っていると…
アシスタントの先輩3人が帰る気配!!!
外は大雪だったことから「電車動いているかな?」と呑気なことを言いながら、帰り支度を始めてしまったのです。
すぐさま質問をした大橋さん。
「ボ、ボク、ココに独りになっちゃうんですが」
「あのー。それでよろしいんで?」
これに先輩アシスタントは「大丈夫だよ」と言い残して、本当に帰ってしまったと言うのです。
仕方がないので、そこで待機をしていると大橋さんを呼んだ編集者が手塚ビルにやって来ます。しかし、どうすることもできずに2人で待機。
手塚先生の作品を見ながら、声がかかった時のために絵を描いていたという大橋さん。
編集者は途中で仮眠をとり、朝を迎えたころに牛丼を買いに外に出てしまいます。そして、大橋さんがトイレに立ち、席に戻った時…
なんと手塚先生がいたのです!!!
しかも、大橋さんが描いた絵を見ているという嬉しいような、恐ろしいような、何とも言えないシチュエーション。
絶体絶命とも言える大ピンチ。
すると、手塚先生はおもむろに、こう言ったそうです。
提供:産経新聞社
「キミね。もう帰っていいから」
これは怖すぎます…
そして、ショックで立ちすくむ、大橋さんを残して、手塚先生は帰ってしまったのです。
戻って来た編集者に怒鳴られたことは言うまでもありませんが、どうやら先生が帰ったのは「どうやっても、今晩中には原稿が完成しないから」であって、大橋さんが怒らせたからではなかったようです。
アシスタントの先輩たちも慣れたもので「今日はもう上がらないだろう」と、大橋さんというアリバイを残して去ってしまったのではないかとのこと。
そして、大橋さんは編集者が買って来た牛丼を持って家路に…アシスタントに行ったのに、何もしないで帰って来るという滅多にない経験をしたのです。
手塚先生の人となりが垣間見えるエピソード。
アシスタントとして働くことはできませんでしたが、誰よりも貴重な経験をしたのではないでしょうか。
[文・構成/grape編集部]