手塚先生のところにアシスタントで行ったのに「帰っていいよ」しか指示がなかった By - grape編集部 公開:2017-02-11 更新:2017-02-12 手塚治虫 Share Post LINE はてな コメント 念願の手塚先生に対面するも… アシスタントとして手塚先生から呼ばれた大橋さんが手塚ビルに入ると、そこにはアシスタントの先輩が3人いました。 手塚先生は上の階で、作業中とのこと。 「今は待機の時間だったのか」と座って待っていると… ガタッ。おっ。茶色いセーターのスリムなヒゲづらの大先輩が立ち上がった! ついに始動か!? よっしゃあ! 行くでえええ!「じゃあ、そういうことで、僕達は帰りますので、あとはよろしく。」・・・・・・「へ?」— うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 (@uorya_0hashi) 2017年2月10日 アシスタントの先輩3人が帰る気配!!! 外は大雪だったことから「電車動いているかな?」と呑気なことを言いながら、帰り支度を始めてしまったのです。 すぐさま質問をした大橋さん。 「ボ、ボク、ココに独りになっちゃうんですが」 「あのー。それでよろしいんで?」 これに先輩アシスタントは「大丈夫だよ」と言い残して、本当に帰ってしまったと言うのです。 仕方がないので、そこで待機をしていると大橋さんを呼んだ編集者が手塚ビルにやって来ます。しかし、どうすることもできずに2人で待機。 手塚先生の作品を見ながら、声がかかった時のために絵を描いていたという大橋さん。 編集者は途中で仮眠をとり、朝を迎えたころに牛丼を買いに外に出てしまいます。そして、大橋さんがトイレに立ち、席に戻った時… なんと、俺が座っていた机のところに、紙を持った手塚先生が立っているではないか!わ~! 漫画の神様だ~! 神様がついに、原稿持って、降臨されたあ。・・・って、ゲエエエエエッ!手塚先生が持ってるのは、俺が描いた落書きではないか!鉄腕ゴルゴとか、ゲゲゲのブラック・ジャックの!— うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 (@uorya_0hashi) 2017年2月10日 なんと手塚先生がいたのです!!! しかも、大橋さんが描いた絵を見ているという嬉しいような、恐ろしいような、何とも言えないシチュエーション。 しまったあ! 俺、あのまま机に置きっぱなしだったよ!「せ、せ、先生! そ、そ、それは、あのその、ち、ちがいます~! 」「君は誰かな?」「え? はい。あのー、スコラの○岡さんに呼ばれまして、来ました臨時の手伝いです。○岡さんは、いま食料を買いに外出しております ・・・・」— うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 (@uorya_0hashi) 2017年2月10日 「ああ、そう。ご苦労様」ニッコリ。「ところで、これを描いたのはキミかね?」ギクゥゥゥゥゥゥッ! 「ハ、ハイ。いや。あの、その。ちょっとした練習でして。あの、悪気はこれっぽっちもないので・・・ゆ、許してくださいっ!」— うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 (@uorya_0hashi) 2017年2月10日 絶体絶命とも言える大ピンチ。 すると、手塚先生はおもむろに、こう言ったそうです。 提供:産経新聞社 実際のところ、こんなふうには、言えなかったが、とにかく言い訳をする俺。「・・・いやー、なかなか面白いよ。キミ。実にいい」ニコニコ。ハアア。よかった、怒ってないみたいだ。さすが神様。寛大だ。そう思った瞬間、「キミね。もう帰っていいから」— うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 (@uorya_0hashi) 2017年2月10日 「キミね。もう帰っていいから」 これは怖すぎます… そして、ショックで立ちすくむ、大橋さんを残して、手塚先生は帰ってしまったのです。 戻って来た編集者に怒鳴られたことは言うまでもありませんが、どうやら先生が帰ったのは「どうやっても、今晩中には原稿が完成しないから」であって、大橋さんが怒らせたからではなかったようです。 アシスタントの先輩たちも慣れたもので「今日はもう上がらないだろう」と、大橋さんというアリバイを残して去ってしまったのではないかとのこと。 そして、大橋さんは編集者が買って来た牛丼を持って家路に…アシスタントに行ったのに、何もしないで帰って来るという滅多にない経験をしたのです。 と、いうわけで私は、「漫画の神様、手塚先生のアシスタントに行き、いきなり帰れ!と言われた」のです。チャンチャン。うえーん。— うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 (@uorya_0hashi) 2017年2月10日 手塚先生の人となりが垣間見えるエピソード。 アシスタントとして働くことはできませんでしたが、誰よりも貴重な経験をしたのではないでしょうか。 [文・構成/grape編集部] 1 2 出典 @uorya_0hashi Share Post LINE はてな コメント
念願の手塚先生に対面するも…
アシスタントとして手塚先生から呼ばれた大橋さんが手塚ビルに入ると、そこにはアシスタントの先輩が3人いました。
手塚先生は上の階で、作業中とのこと。
「今は待機の時間だったのか」と座って待っていると…
アシスタントの先輩3人が帰る気配!!!
外は大雪だったことから「電車動いているかな?」と呑気なことを言いながら、帰り支度を始めてしまったのです。
すぐさま質問をした大橋さん。
「ボ、ボク、ココに独りになっちゃうんですが」
「あのー。それでよろしいんで?」
これに先輩アシスタントは「大丈夫だよ」と言い残して、本当に帰ってしまったと言うのです。
仕方がないので、そこで待機をしていると大橋さんを呼んだ編集者が手塚ビルにやって来ます。しかし、どうすることもできずに2人で待機。
手塚先生の作品を見ながら、声がかかった時のために絵を描いていたという大橋さん。
編集者は途中で仮眠をとり、朝を迎えたころに牛丼を買いに外に出てしまいます。そして、大橋さんがトイレに立ち、席に戻った時…
なんと手塚先生がいたのです!!!
しかも、大橋さんが描いた絵を見ているという嬉しいような、恐ろしいような、何とも言えないシチュエーション。
絶体絶命とも言える大ピンチ。
すると、手塚先生はおもむろに、こう言ったそうです。
提供:産経新聞社
「キミね。もう帰っていいから」
これは怖すぎます…
そして、ショックで立ちすくむ、大橋さんを残して、手塚先生は帰ってしまったのです。
戻って来た編集者に怒鳴られたことは言うまでもありませんが、どうやら先生が帰ったのは「どうやっても、今晩中には原稿が完成しないから」であって、大橋さんが怒らせたからではなかったようです。
アシスタントの先輩たちも慣れたもので「今日はもう上がらないだろう」と、大橋さんというアリバイを残して去ってしまったのではないかとのこと。
そして、大橋さんは編集者が買って来た牛丼を持って家路に…アシスタントに行ったのに、何もしないで帰って来るという滅多にない経験をしたのです。
手塚先生の人となりが垣間見えるエピソード。
アシスタントとして働くことはできませんでしたが、誰よりも貴重な経験をしたのではないでしょうか。
[文・構成/grape編集部]