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ある日、Twitterユーザーのメリー(@esbrass)さんが、福岡教育大学の図書館を利用した時のこと。
久しぶりに訪れた図書館の受付カウンターに、あるものが新しく導入されていることに気付きました。
メリーさんが目にした、受付カウンターがこちらです。
カウンターに置いてあったのは、カラフルな鉄琴!!
そのすぐそばには、次のような内容の案内板がありました。
ご用のかたは、この(音程の変な)鉄琴できらきら星(らしき曲)を弾いてください。
スタッフが参ります。
なんと、大学が導入していた受付サービスとは「図書館職員を呼び出すために、鉄琴で指定の曲を演奏する」というもの。
とても新鮮で、ユーモアあふれる受付サービスですね!
このような受付サービスが誕生したきっかけや背景とは、どのようなものだったのでしょうか。
福岡教育大学図書館の職員に、お話をうかがいました。
職員に、直撃インタビュー
――どうしてこのような受付サービスを?
鉄琴を導入する前は、1名のスタッフが窓口専門として主に対応し、そのスタッフの手が離せない場合のみ、ほかのスタッフが利用者の対応をするという体制でした。
ある時、複数ある窓口の1つが柱の死角となっている館内の構造上、スタッフが利用者に気付かないことがある状況に対し、「改善したい」という提案が出ました。
対策を話し合う中で、「カメラやミラーを設置する」といった案も出ましたが、昨今の国立大学は厳しい財政状況ゆえに、予算の面で難しいものがありました。
そこで、スタッフの1人が問題を解決するべく、『鉄琴』を購入したのが始まりでした。
――なぜ『鉄琴』を?
『鉄琴』に決めた理由は、2つあります。
1つは、待ち時間という退屈な時間を少しでも楽しく、そして短く感じていただければという考え。
もう1つは、100均で購入できるもので、すでに入口付近に設置していた『呼び出しベル』とは違う音を出す装置が必要だったことです。
――演奏曲を『きらきら星』にしたのはなぜ?
知名度があり、演奏しやすい曲。そして、音の数が少ない鉄琴でも演奏できるものにしました。
正確には『きらきら星らしき曲』です。「らしき」の範囲は非常に広く、1度でも鉄琴をたたけば、スタッフは『きらきら星らしき曲』と認識します。
――利用者の反応は?
利用者は、スタッフが目の前にいても、ついつい演奏してしまうほど、楽しんでくれています。
鉄琴を演奏させることや、発生した音に対して苦情が出ることも考えましたが、次のような点から実行に移しました。
・教育大学であること。いずれ教員となり、音楽を教えることになる学生が多いため、演奏を不愉快に感じる利用者が少ない。
・鉄琴を設置した階は、比較的会話のある学習スペースなどで構成されているため、問題がないこと。
――普段心がけていることや、今後の展望は?
図書館業務の範囲内で、できる限り利用者の要望を取り入れ、実行に移すよう心がけています。
また、利用者に役立つ展示コーナーの設置や設備の充実をはかっています。
今後も利用者をあらゆる面からサポートしていきたいと考えております。
新しい『鉄琴』による受付サービスへの苦情は一切なく、このサービスをきっかけに、スタッフと利用者の交流が増えたのだそうです。
その中で、スタッフは利用者から要望などを直接耳にする機会もあり、お互いにとってよい結果をもたらしています。
たくさんの人たちに驚きを与えた、図書館の受付サービス。
そこには利用者のことを1番に考え、よりよい環境を提供することに力を尽くす、図書館職員たちの真心がありました。
[文・構成/grape編集部]