クラスメイトの盾になった黒人の息子 その背景に、36万人が言葉を失う
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- 出典
- Tanai Benard
アメリカで教師をしているタナイ・ベナートさんには、小学5年生の息子さんがいます。
ある日の朝、タナイさんは息子さんに対し、『ロックダウンドリル』について尋ねました。
ロックダウンドリル
海外の学校で行われている訓練の1つ。学校内に銃などを持った不審者が侵入した場合に備え、子どもや先生たちが安全な場所に逃げこみ、部屋をロックして待機すること。
「最近、あなたの学校でロックダウンドリルは行われたの?」というタナイさんの問いに対し、息子であるデズくんはうなずきます。
教育者として、訓練の内容が気になったタナイさんは、さらにデズくんと次のような会話を繰り広げました。
母親:
どんな訓練をしたのか、教えて。
息子:
先生はドアを閉めてロックし、外から見えないように黒い紙をドアの窓に貼り付けた。
それから、僕とほかの3人の男の子で机を運び、ドアの前にバリケードを作ったよ。
クラスメイトは、壁を作った僕たちの後ろに待機したんだ。
母親:
誰の後ろに立つですって?
息子:
僕と、ほかの3人の男の子。僕たちはクラスメイトの前に立つ役割をした。
デズくんの言葉に、タナイさんは言葉を失います。タナイさんの頭には、こんな思いがよぎったのです。
※写真はイメージ
全部で23人いるクラスメイトのうち、黒人は息子を含めて2人。
どうして黒人だからといって、1番前に立たされなくてはならないの。
わき出た不快感をこらえ、タナイさんは「どうしてあなたが立たされたの?」とデズくんに問いかけました。
デズくん本人の口から、ちゃんと事情を聞こうとしたのです。ところがデズくんの返答は、思いもよらないものでした。
「立たされたんじゃないよ。友達を守るために、机でドアを抑える役を自分から名乗り出たんだ」
息子さんからの予想外な言葉に衝撃を受けたタナイさん。「どうして名乗り出たの?」と尋ねると、デズくんはこう答えました。
「いざとなれば、クラスメイト全員が死んで僕1人が生き残るより、友達を守って死ぬほうがいいと思ったから」
人種差別を受けたのではなく、デズくんの中にあったのは「友達を守りたい」という真っ直ぐな思いだったのです。
一連の出来事はタナイさんのFacebookに投稿され、17万件ものシェアを生む結果となりました。
・子どもたちが安心して暮らせる社会を作りたいと強く思った。
・とても素晴らしい息子さんだね。息子さんが危険な状況に置かれないよう、心から願うよ。
・同じように息子を持つ父親としては、まだ若い年齢でこんな事態に直面していることに胸の痛みを覚える。
デズくんの発言に、さまざまなことを考えさせられますね。
人々の心を刺す1人の少年の考えは、今後作られていく社会のありかたに一石を投じました。
[文・構成/grape編集部]