ネコの下のザラザラを拡大してみると意外な形だった! 毛づくろいの秘密を解明
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ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
ネコ、毛づくろいの秘密を解明
このほど米ジョージア工科大学の研究チームは、高速度ビデオカメラなどを活用して、ネコの毛づくろい(グルーミング)の『秘密』を解き明かしたとして、11月19日に米国科学アカデミー紀要電子版(PNAS)に論文が発表されました。
これまでもネコが毛づくろいをする目的は、ざらざらとした舌を使って古い体毛や体に付いた汚れを取り除き、毛の状態を整えて清潔を保つとともに、体の匂いで獲物や敵に自分の存在を気付かれないようにするなどの意味があるとされてきました。
ただそれがどのように行われているかまでは詳しく分かっていなかったようなのですが、今回の解明で、それは猫の舌の構造として、『糸状(しじょう)乳頭』と呼ばれる舌の突起があることを発見。それがいわゆるネコの舌のザラザラで、その突起が特別の形をしているためにあることがスムーズに行えることが明らかになりました。
それもなんと、ここで調査した野良ネコを始め、イエネコ、ボブキャット、ピューマ、ユキヒョウ、トラ、そしてライオンといった6種類にもおよぶネコ科の舌の表面上すべてにおいて同じ性質の鋭利で剛性のあるザラザラとした突起物があることが判明したそうです。
論文の著者でもあるジョージア工科大のアレクシス・ノエル氏のブログによれば、研究では高速ビデオ撮影を使用して、短い毛のイエネコが毛づくろいしているところを撮影。そこから一連のネコ科の舌には、角質でできたごく小さな突起=糸状乳頭と呼ばれるものがたくさん付いていることが分かりました。
ノエル氏によれば、ネコの舌のザラザラに関する最初の研究は、1982年にボッシェルらが電子顕微鏡写真で舌表面を採取したものだそうで、ネコのザラザラした舌の表面は、その時は先端がとがった円錐形の爪のような形だとされていたそうです。
ところが今回の研究によって、糸状乳頭は実は杓子(しゃくし)のような形をしていていることが判明したそうなんです。まさかここから「猫も杓子も…」という言葉が生まれたんでしょうか。
これらの舌の杓子のような形のザラザラは、骨に付いた肉を裂くのに役立っていることが分かります。公開された映像では、店頭で買った骨付きの豚肉から肉片が離れていく様子が映し出されていました。
肉は糸状乳頭によって容易に細断され、その後ピンセットで舌の糸状乳頭に挟まったものを引っ張り出して顕微鏡で見たところ、肉の破片だったことが確認されました。
さらにはその杓子の形状によって、舌の上の300個ほどある糸状乳頭のU字型の先端部分がなんと空洞になっていて、ネコの唾液が毛細管現象のように自動的に吸い上げられる様子も撮影されました。そのため口内から舌の糸状乳頭に唾液をたっぷり染み込ませて、体の毛皮をなぞる(グルーミングする)ことで自然に体全体に行き渡らせるようにしているというわけです。
これが毛づくろいの最大の効果だったというわけなんです。
ネコは一生のおよそ4分の1を毛づくろいに費やすとされ、それほど毛づくろいは重要な活動の1つだそうです。
こうしたことが解明されたことで、ノエル氏らは糸状乳頭をシリコン基板に3Dプリントして、ネコのグルーミングを模したブラシ『Tongue-inspired grooming = TIGRブラシ』を開発。これでカーペットのクリーニングなどに大いに役立てたいということです。ネコの舌からお掃除道具が生まれるとは驚きですね。
[文・構成/土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。