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人生のクライマックスはこれから 『四住期』という考え方

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

人生のクライマックスはこれから

今の自分は、人生のどのあたりにいるのだろう。最近、よく考えるテーマです。人生とは、いつ幕が下りるかわからない舞台に立っているようなもの。私もそれなりの年齢になってきました。

古代インドの聖典に、人生を四つの時期に区切り、その都度の過ごし方を示す『四住期』という考え方があります。五木寛之氏の著書『遊行の門』によると、このように区切られます。

『学生期』8歳から25歳頃。世間に生きるすべてを学び、体を鍛え、きたるべき社会生活のために備えて勉学に励む青少年の時期。

『家住期』25歳から50歳頃。家長期とも言うべき時期。大人になって職業につき、結婚して一家を構え、子供を生み育てる勤労する壮年期。

『林住期』50歳頃から75歳頃。職業や家庭や世間とのつき合いなどのくびきから自由になってじっくりと己の人生を振返ってみる時期。務めを一段落させ、人生の本質を見つめて自己実現した後の事を考える熟年期、初老期。社会人の務めをおえた後、全ての人が迎える最も輝かしい『第三の人生』=黄金期、収穫期。

『遊行期』75歳から100歳。生の最後の充実と死を迎える準備をする老年期。人生最後の締めくくりである死への道行き=幼い子供の心に還っていく道行き。

今、私はまさに『林住期』の中盤にさしかかろうとしています。五木寛之氏は、『林住期』こそ自分が自分として生きられる輝かしい時期だと書いています。子育てなどが一段落し、仕事も定年を迎えようとする時期、輝かしいものにするのも、年を重ねることにびくびくしながら過ごすのかによって、その輝きは違ってくるでしょう。

今の自分を「人生の中で最も老いた自分」と捉えるのか、「これからの人生で最も若い自分」と捉えるかによって、気持ちも行動も違います。

今の自分の前の20年、まさに子育てと仕事に大忙しで駆け抜けたような年月でした。しかし、これから先の20年はまったく違うものになるのです。『老い』という未知の扉を開けていく時期です。それを嘆きながら開けるのか、おもしろがりながら開けるのか。気持ちの持ち方で、扉の先の風景が違って見えるでしょう。

この春から音楽大学で授業を担当しています。学生たちを見ていて、これから始まるのだなあ、と思います。どんなふうに人生を歩いていくのか、切り拓いていくのか。学生たちに、これからなのだ!という自覚があまりないのも、若さゆえなのでしょう。

そういう意味でいうと、多くの経験を重ねてきた林住期の大人たちには、「まだこれからだ!」という気概が生まれやすいと思います。若い人たちは、はりきっている大人を見ると「痛い」と思うかもしれません。

しなやかに、大胆に扉を開けていく姿を見せていくこと、年を重ねる楽しさを示すモデルとなることは、大人たちの役割のひとつ、いよいよクライマックスを迎える舞台に立っているのです。

※記事中の写真はすべてイメージ

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[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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