カラスに遭遇したら、どうする? 正しい対処法に「そんな習性があったとは」「もう安心」
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- 取材協力
- 杉田 昭栄 Shoei Sugita
道やゴミ捨て場でカラスに出くわした場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
例えば、カラスを怒らせたり、攻撃されたりするようなNG行動を知っておくと安心ですよね。
カラスから身を守る方法を、カラス博士として知られる、宇都宮大学名誉教授の杉田昭栄先生にうかがいました。
カラスは繁殖期以外は近付くと逃げていく
――道やゴミ捨て場で、カラスに遭遇した場合はどうすればいい?
そもそも、カラスは警戒心の強い生き物です。攻撃的な生き物ではないので、基本的にはカラスのほうから襲い掛かってくることはありません。
何もせずとも近付けば逃げていきますし、手を振るなどすれば追い払うことができます。
ただし、4~6月にかけての繁殖期は注意が必要です。この時期に巣の近くを通ると、カラスは巣やヒナを守るために襲ってくることがあります。
――カラスに襲われないための注意点は?
巣の近くを通らないことが一番ですが、巣は高い場所にあるので、どこにあるか分からないかもしれません。
そのため、公園など巣がありそうな場所では、用心のために帽子をかぶる、日傘を使うなどして身を守るようにしましょう。
また、巣の近くでカサを振り回すなど、威嚇のような行動をするのもよくありません。敵が来たと考え、襲ってくるかもしれません。
まれにヒナが巣から落ちることがありますが、落ちたヒナに近付いても攻撃されます。よく、かわいそうと思い、保護しようとする人がいますが、ヒナを拾おうとするのは避けましょう。
巣落ちしたヒナでも自然の成り行きを見守るのが一番です。
カラスは背後から襲ってくるので、万が一巣の近くを通る場合は、カラスに背中を向けずに、巣のほうを見ながら遠ざかるようにすると襲われにくくなります。
外では食べ物の取り扱いに注意!
――そのほか、カラスに対するNG行動はある?
繁殖期以外は人を襲うことはありませんが、食べ物を奪おうとして飛んでくることがあります。
例えば、ピクニックでお弁当を広げたところ、カラスがお弁当を狙って飛んできた、海水浴場で食べ物を取られたなどです。
ほかには、自転車のカゴに入れていた買い物袋から食べ物を取られることもありますね。
――ゴミの取り扱いにも注意すべき?
もちろんです。ネットがかけられていないなど、カラス対策がされていないと、カラスは食べ物が得られる場所として記憶して定着します。
ゴミが荒らされるだけでなく、カラスに遭遇する確率も上がります。カラスに出会いたくないのなら、カゴ型のゴミネットを使うなど、ゴミ対策をしっかりとすべきです。
ネットの場合は、下の写真のようにおざなりな使い方ではまったく効果がありません。ごみ袋すべてを覆うようにすることが大事です。
さらに、カラスが持ち上げないようにネットの裾(端)に重しをすると安心です。
※写真はイメージ
――対策をすることで近付いてくるカラスは減る?
「ここは食べ物が手に入らない」と分かれば、近付くカラスは減るでしょう。
そもそも、カラスは食べ物が得られるから人間の近くに来るわけです。人間側にカラスを寄せ付けている原因がある限り、カラスは寄ってきます。
カラスが近付く原因を取り除くことで人に依存しなくなり、カラスとの距離も適切になるはずです。
カラスは黒くて大きく、迫力があるため、目の前にすると怖く感じるでしょう。
しかし、警戒心が強い生き物なので、攻撃性が高まる繁殖期以外は、基本的には近付けば逃げていくとのことでした。
ただ、食べ物を狙いやすい位置に持っていたり、ゴミが荒らしやすい状況だったりすると、カラスがその隙を狙って近付いてきます。
カラスとのトラブルを避けるためには、ゴミ捨て場を整理するなど、カラスに対して隙を作らないようにしましょう。
【杉田昭栄 Profile】
動物をよりよく理解するための比較神経解剖学が専門。人や動物の脳神経について研究。
1986年から2年間、アメリカ留学で眼球の動きを調節する脳の働きについて研究した(インディアナ大学)。
28年前にたまたま脳の研究の一環でカラスの脳を研究したのが始まりで、カラスの研究に熱中になる。
解剖学のみならず、生態・行動・学習などについても研究し、現在はラボワークの一線は退いている。
著書に『もっとデイープにカラス学』(緑書房)、『カラス博士と学生の動物研究奮闘記』(緑書房)などがある。
ウェブサイト:杉田 昭栄 Shoei Sugita
[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]